第2話 勘十郎、骨休めする
カッポーン
風呂は命の洗濯って誰が初めに言ったんだろう。
勘十郎は、大きな湯舟に浸かっていた。
温度は少しぬるめだが、いくつもの種類の湯舟があるのだ。
ワインの湯、日本酒の湯、死海の湯などなど、エンターテイメント性あふれている。
中でも彼が気に入ったのは泡風呂で、ぶくぶくと床面から泡を感じながら、風呂のヘリにある枕に見立てた木に頭を預けている。
水着着用のフロアであるため、隣にはカガリが寝ていた。
透き通るような白い肌だが、最近少し痩せたか?そしてなんだか筋肉質になってないか?家でも、男装をしていることが増えていた。なんとなくお兄さんは心配です。
「お湯加減はいかがでございまして?」
従業員の少女が話しかけてきた。
「素晴らしくいいです。最近疲れていたので、とても気持ちいい。」
プリンセス・ホテル。
江戸に新たに出来たスパ・リゾートホテルである。
勘十郎は褒美にこのホテルへの滞在を30日間、認められている。
よくよく聞いてみたら、ここは久利呉藩が関係していた。
このホテルの社長は、佐竹三雲。藩主である竿竹の実の姉である。
「いらっしゃい勘十郎くん。話は聞いているっス。ゆっくりしていくっスよ。」
思いのほか気さくな女性であった。社長なのに気さくすぎなやしないだろうか。
身長は140cmほど、、体重も羽のような軽さのロリッ娘であった。
「歳の割に若く見られるっス。すっかりアラサーなのにっス。でも若く見られることはいいことっス。あとは、旦那が欲しいっスね。勘十郎くん。おねえさんと夫婦めおとにならないっスか?」
勘十郎は主家に簡単に嫁げるわけないので、冗談と思ってやんわり辞退しておいた。
しかし三雲は結構マジだった。ここで攻めても仕方ないと一旦引いただけではあった。
そんなこと、彼は知る由もない。妹はそんな兄がなんとなく心配であった。
話は風呂場に戻る。
「お背中お流しいたしますわ。」
従業員の馬野さんはと、三人で背中流しあいっこをした。
妹ともずいぶんしていないので、何年ぶりかとほっこりした。
部屋にてほかほかしていると、夕食が運ばれてきた。
「お夕食でございましてよ」
同じく従業員の鹿野さんが料理を運んでくれる。
なんと幸せな時間なことか。
「料理は美味しかったっスか?」
食べて満腹なところに三雲が現れる。
「気に入っていくれたならいくらでも逗留してくれていいっスからね。」
なんだかソワソワしはじめる
「実は、、、頼み事があるんスよ…」
ぽつぽつと話し始める三雲。
果たして、勘十郎たちの休暇はどうなってしまうのか。
次回に続く。