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喧嘩が日常のカップルの瑞輝と凛花が、しばらく喧嘩のしない日々が続いていた。2人が、喧嘩をしないことに友人達は平和に思う一方で、しないことに違和感を感じていた。毎日そこまで大したこととではない喧嘩はここ数日でもあったが、まぁいつもより全然平和だなと言う日々が続いていた。そんなある日のこと、この日は朝から小さなことでの軽く喧嘩は起こしては仲直りしていたが、突然なんの前触れもなく大ゲンカを起こした。何度も喧嘩を起こしては仲直りしているので2人の空気的には確かにあまり良くはなかった。仲直りしたはずのことがぶり返すようにいきなり始まった喧嘩に出てくる。
「...!もう!辞めてっしつこい!」
「んだよ、この前は喜んで受け入れたくせに!」
「この前と今日は違うから!」
「......どういうことだよ?違くねぇだろ。」
いきなり始まったこのケンカ。どうもこの日1日凛花が怒りっぽいようで、些細なことですぐ怒っているよう。
「違うよ!...て言うか、今日は朝から女の子に口説かれてにこにこしていたやつになんか怒られる筋合いはない!」
「......なんでだよ?その話は解決して仲直りしたじゃねぇかよ?...今日はどうしたんだよ!?やけに突っかかってくるんじゃねぇかよ?」
「...それだけじゃない!この前誓ったのにまた女の子と浮気したんでしょ?!」
和解に入った友人達の声にも聞く耳持たず、全く聞かない2人は何を言っても完全に2人だけの世界で喧嘩が始まってしまった。
「...絶対してねぇし!俺の話聞けっての、バカ!なんなんだよ!お前!」
「...絶対嫌だ!!聞いても無駄!次したら許さないと言ったじゃない!」
「うっせえ!聞けって言ってんだろ!?」
もう誰の言葉も聞かずに聞く耳を持たない。言いたいことしか言わない。
「聞かない!嫌だ!あんたが、何回そうやって言ってきたと思ってるの!この前言ったでしょ!次したら絶交だって!もう絶交だから別れる。」
「...あぁ、そうかよ。だがな、俺は別れるなんて認めねぇ。けど今のお前とは俺だって一緒に居たくねぇ。」
完全に別れの危機。友人が和解するために話を聞いても完全に怒っている両者を説得することは出来なくなっていた。今までにないくらいの大喧嘩に発展してしまったようで、相手の名前がでただけで両者共に不機嫌になるほどお互いの名前も聞きたくないし、仲直りもたいしてしたくないようだ。
「...ねぇ、凛花。本当にこのまま別れていいの?」
「...いいよ!あんなやつ!」
「嘘だよね?凛花はどんなに浮気とかされようと許してる程に、あいつのこと大好きじゃないの?」
「...だからだよ。大好きだから...!だから嫌なの!」
凛花は話が通じてるんだか通じていないんだか訳分からない。通じているようだけど怒っているからなのか言っていることがもうゆみちゃんもすずちゃんも訳分からない。ただ分かってきたのはただただ瑞輝が好きで反省して欲しくて、けど反省の色を見せない瑞輝に怒っていると見た。
「瑞輝、いつまで喧嘩してる気だよ。お前いくら浮気まがいな行動したって一途に愛してるじゃねーか。水咲のこと。」
「...うっせぇ。今あいつの名前出すな。腹が立ってんだ。してねえことをしたとかぬかしやがって。」
「...してねぇってこと水咲に証明すればいいだろ?それとも出来ない理由でもあるのか?」
こっちもこっちで腹が立って和解しようとしている友人に睨みつける。
「...出来ねぇから毎回こうなるんだろ。浮気は確かにしてる時はしてる。でも今回はしてねぇよ。だからしてると言い張るあいつに怒ってんじゃねーかよ!」
「...してると認める時はしてるけど、認めない時は俺はしてないと。」
「...あぁ。それはそうだな。つーか聞きくな、ぶり返すな!」
怒っている。でも当たっている。無表情だけど凛花のことを常に考えているから無意識に凛花を瑞輝は見ている。
大ゲンカから1週間が気がつけばたっていた。流石の友人達も1週間も喧嘩している2人は見たことがなかった。実は2人がお互いのことを思っていることは分かっている。だからどうにかして仲直りをさせたい。
「...もう1週間たつな。どうにか元に戻してやろうぜ?」
「...ほんとそうして。凛花のこと見てられない。ああして怒っているけど、根は凄い傷ついてるし、表情には出てないけど悲しく思ってる。」
「どうしたら仲直りするよ?まず原因はなんだ。」
「...たぶん瑞輝の浮気疑惑だろ?」
友人達は仲直りさせるために話し合うことにした。原因から探り、今までのことも思いだし、あらゆる方向から考える。
「...それは日常茶飯事じゃ?」
「...今回の喧嘩の時はしてないと言っていた。この1週間の間にはしてるかも。」
「...じゃあ、何を根拠に凛花は言ってる?」
検討していく上で、疑問も出てくる。今後こんな喧嘩をしないための作戦とか、そういうことまで考えていく。
「...誰かに聞いたんじゃ?水咲って、瑞輝一筋だから目立たないけどモテるし。」
「かもね。まぁ、どうしたら仲直りするかの作戦考えよ?えーと、2人に誓約書でも書かせるとか?」
「...だったら時間つくって教室で模擬結婚式は?」
「...模擬結婚式いいんじゃねぇか?誓えないとでも言ったら今すぐこの場で別れて貰うとか。」
「...でも、それだと今の感じじゃ別れるっていうんじゃ?」
案を出し合って作戦を立てていく。こうでもしないと仲直り出来ない今回はどうしようもないが、仲直りさせるためが余計酷くする可能性もあるわけで、その時どうするか。
「...だったらそこは、本当に別れてしまうのですか?だったら、今ここでみんなの前で別れの言葉を。みたいなこと言えばいいんじゃない?絶対出かかって言えないから、」
「そうだな。水咲は特に言えないか。泣きながら無理ってなれば瑞輝のやつは水咲の涙に弱いからグラッと行くだろ。」
「...だな。この作戦で行こう。結婚式なら牧師だっけ?あれ必要だよな誰やる?」
「...颯やってよ、颯似合いそう。」
作戦の内容がどんどん決まっていく。
「なんで俺?!いいけど...。」
「...じゃ決まりね?いつやる?近いうちに時間もらえないかな?」
「...うーん。先生に聞いてみるか?先生も参加してもらってさ。」
いつ出来るか先生との相談をして日程を決め、この作戦の決行日を話し合った。直ぐにでも先生は時間を作ってくれた。
「模擬結婚式だから、そついう雰囲気作った方が良くね?」
「...じゃあ、ぽくしよう。ブーケぽいの作ったり、結婚式と言えばってものとか?」
決行日の日、喧嘩している2人は別々に友人同士が、一緒にいて話を聞くなど仲直りしたいのかしたくないのかもう一度確認しながら準備が出来るのを待つ。
「凛花は本当は、藤崎と仲直りしたいんでしょ?」
「.........したいよ。」
凛花はゆみちゃんに聞かれ正直にそう答えた。一方、瑞輝も涼太に同じことを聞かれ、
「...瑞輝は本当は水咲と仲直りしたいんだろ?」
「.........したいよ。」
全く同じように答えた。それがいざ、仲直りしようとなると、口からは愚痴しか出てこず、口喧嘩がはじまってしまう。それでも内心は仲直りしたいとお互いに思っているという事だ。しばらくすると準備が終わったとすずちゃん、颯から連絡が来た。これが模擬結婚式のはじまりの合図。別々にいた2人を友人が連れて教室へと向かう。先に入るのは結婚式ぽく瑞輝から登場。
「......は?何これは?」
「まぁまぁ、ここにいる。」
驚く瑞輝は置いておいて凛花の入場。驚きながら入ってくるとその先にいる不機嫌な瑞輝に凛花も不機嫌に連れられるまま彼の横に。2人が入場すると牧師になりきる颯の登場し、模擬結婚式を始める。
「...それでは.....汝、喧嘩しても、喜びのときも、悲しみのときも、これを愛し、敬い、慰め合い、どんなことがあっても共に助け合うことを誓いますか?」
「......誓えません!」
2人は4人の予想通りの答えを同時に言った。予想通りのその答えに用意していた2人へのオリジナル質問をなげかける。
「...誓えないという彼女はこのまま今ここで彼への別れを告げられますか。」
「......告げられる...わけない...!瑞輝とずっと一緒に居たいもん...怒ってても、どうしても瑞輝が好きだもん。」
質問に泣きながら無理と告げる凛花の言葉を聞き入れると今度は同じ質問を瑞輝になげかける。
「...誓えないという彼はこのまま今ここで彼女への別れを告げられますか。」
「......告げられない。どんなに喧嘩したって、俺が浮気しようと、俺は凛花を愛してしまってるから無理。それにこんな泣いてる姿見たら余計無理。」
4人の予想通り、瑞輝は凛花の涙を見て別れなど告げられない。どんなに喧嘩し、怒っていようと凛花に目の前で泣かれると全てを許してしまう。
「...それでわ改めて、誓えますか?」
「.........誓え...ます。」
「もう一度はっきりと」
「...誓います!」
誓いの言葉を同時に答えると喧嘩したことを忘れたかのように頬を染め見つめ合う。
「......では、仲直りに、謝りの言葉を。」
「............ごめん、凛花。この場で誓う。俺、絶対に、もう浮気も、そういう疑いのような行動も絶対しない。どんなに喧嘩したって、浮気行動したって俺は凛花じゃなきゃ...いつも隣にいて欲しいのは凛花だけなんだ。だから、ごめん。」
「.........私もごめん。わかってる瑞輝がどんなに喧嘩したって私を1番に思っていることは。でも本当はしないで欲しかった。今ここで誓ったことは絶対に守ってよね?」
「もちろん。絶対に守る。」
友人達のおかげで仲直りすることの出来た2人は、クラスの皆が見ている前であることを忘れてギューっと抱きしめあった。
「.........仲直り出来たことだし、今ここで誓いのキスを。」
「...そうよ、いつもと同じように仲直りしたんだからキスを...誓いのキスしなきゃ。」
牧師風の颯の言葉に、すずちゃんがのっかり、それにつられるようにゆみちゃん、涼太...と来て、周りのクラスメイトまでキスコールをし始めた。確かに喧嘩して仲直りする時はよくキスを周り気にせずしているが、こんな注目されるなかするのは、さすがに恥ずかしくて仕方がない。けど、誓ったからにはしたいと思う。じっと見つめあってから、牧師風にしている颯の後ろに、あった壁まで凛花を追いやると壁ドン、顎クイにキス。たぶんみんなが求めたのは普通に軽いキス。だけどそんなので終わらす気なく少し激しく。もちろんそんなことこんな注目の中すれば凛花には顔を真っ赤にしながら怒られること間違えないであろう。
「...んっ...はぁ...瑞輝!」
ほら見ろ真っ赤に顔を染めた状態で怒ってくる。それが可愛くてなんとも言えないくらいたまらない。もっとしたいと言う衝動にかられるが、こんな注目されるなかこれ以上して凛花の可愛い姿を見せたくない。
「...そこまで激しくは求めてないけど。」
「...まぁ、仲直り出来て良かったよ。」
「...涼太、颯、ゆみちゃん、すずちゃん、ありがとう。」
とりあえず仲直りさせるために計画たててくれた4人にお礼を言う。フリーズしている凛花はたぶん言わないだろうからその分まで感謝を込めて。
「...まだ、おわりじゃないよ?その凛花の持つブーケ風の花束、投げて貰わないと。花嫁さん。」
「...おーい?凛花?」
「...え?あ、ごめん。これやればいいの?」
フリーズ状態はなんだったのかと言うくらい、しっかり聞いていた。言われた通りにブーケトスもどきを行う。後ろに放り投げて誰が取るかみたいな。取ったのは、ゆみちゃん。いい事あるかなー?なんて、話して凛花と瑞輝の仲直り計画は幕を閉じた。
それからというものの2人が喧嘩をすることが少なくなった。逆にイチャラブすることが増えたために今度はその行為こそが、友人達に見飽きるくらい見たくないものへと変わっていった。
それから月日は流れ、数年後、2人は高校卒業してすぐ本当に結婚して仲良く暮らしていて、2人子供ができていた。そして、大人になった2人の耳にしたのは、あの模擬結婚式のことに関しては周りにまわって違う噂となり引き継がれていると学校の先生になった友人のゆみちゃんから聞いた。話によると、2人の喧嘩伝説はあの高校で噂になり、あの模擬結婚式が、噂の現況で今じゃ、『この学校の喧嘩したカップルはみんなの前でブーケ風の花束をあげるとその後の仲が良くなる。』といった噂になっているという。周りにまわった結果違う話になっている話は今やこの学校の定番にその噂が実行され多くのカップルが仲直り出来ているんだとか。いい噂の元になったようだった。