表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/35

第5話 上司メデューサ

霧の城・メデューサの部屋

俺が殺したはずなのに、なぜ生きている。今思えばケルベロスもそうだった。

メデューサが俺の顎を指で持ち上げる。


「アナタに受けた屈辱は永遠に忘れません。蛇族って執念深いの」

「敵なんだからしょうがないだろ。それに、あれは俺だけじゃない。パーティー全員でやったことだ」

「他人のせいにするつもり? 少しずついたぶるように、ワタクシを削ったのは誰ですか? アタッカーは誰? それはア・ナ・タ! そのせいで、そのせいで……」


メデューサは声を震わせながらフードを取る。頭には無数の毒蛇の髪。ではなく、頭頂に一匹だけ蛇が生えていた。


プッ! 案内していたナーガが吹きだす。


「お黙り!」


メデューサの目が赤く光ると、ナーガが一瞬で石になった。


「ねえ、カゲト。部下にまで笑われるアタクシの気持ちがわかりますか?」

「カゲト様、女性の髪を切るのはひどいです!」

「髪じゃない。毒蛇だ。多段攻撃をさせないために、削っていくのは戦いの基本だ」

「お嬢さんのほうが、よくわかっているようですね。ディアナもそうでした」


聖女ディアナ。俺のパーティーの回復役。


「そうか! ディアナがお前やケルベロスを蘇生させたんだな!」

「お前呼ばわりしないで!」

「ぐっ!」


メデューサのヒールが足の甲に突き刺さる。


「アタクシはアナタのボスです。物を聞きたければ口の利き方を覚えなさい。おわかり?」

「……ボス、教えてくれ」

「ええ。カールが見えないように体で隠していたから、アナタにはわからなかったでしょうけど」


ようやく、話が見えてきた。


「カールとは――」


一匹だけ生えている蛇が一枚の紙を俺とメデューサの顔の前に垂らす。


「話は終わりです! はい、命令書! さっさと仕事に取り掛かって! 幹部の大半はアナタが殺したし、ワタシも蛇が生えそろうまで人前に出たくはないの。死ぬまで働くのよ! いいわね!」

「……わかった。ボス」


―――――――――――――――――――――――――――


ナーガに渡された命令書を持って、霧の城を出た。

門の前を通る時、エリーナがあいさつをする。


「ケルベロスさん、行ってきます」


「とっとと失せろ、小娘」

「またね、お嬢ちゃん。危ないと思ったら、城へ逃げてくるのよ」

「いでえー、いでえよー」


エリーナが弟頭の傷を見る。


「この傷、石化されているのですか?」

「ボスの頭を見て『涼しそう』なんて言うから、おしおきされちゃったのよ。馬鹿でしょ、この子」

「もし石化に効く薬があったら持ってきますね。あっ、待ってください。カゲト様」


俺は歩きながら命令書を見る。

そこには「牛人の森・副官を命ずる」と書いてあった――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ