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第12話 3人目の仲間

ディアナが去った後、俺は哺乳瓶を見て言った。

「モウモウが一人で赤ん坊を守ってこれた理由が、ようやくわかったよ」

「わだすの乳には守護の力があるだわさ」

「ありがたく、もらっていく」


牛の森から出発しようとしたとき、テテテッと少女のミノタウロスが駆け寄ってきた。

俺が冒険者と戦っているときに、ずっと背負っていた赤ん坊で名をミュウミュウと言った。そしてこの子だけがモウモウのように黒と白のまだら柄の肌をしている。


「ずいぶん懐いちまったべな。その子を連れて行げ」

「俺には敵が多い。子供は足手まといだ」

「ミノタウロスの成長は早い。すぐに大きくなるべ。それに――いつか、おんめの命を救うかもだべ」


脚にヒシとしがみついている少女を見る。

「俺の命を救うだと?」

「わだすの勘だ。最後の命令を聞くんだべ」

「連れて行きましょうよ。カゲト様は守る存在がいたほうが、強くなれる気がします」


ハンデを背負って戦えば、弱い敵相手でも経験がたまるか……。


「ミュウミュウ。いっしょにくるか?」


ミュウミュウは弾けるような笑顔を見せた。


――――――――――――


霧の城・門前

「どうです? 弟頭さん」

ケルベロスにエレーナが手をかざすと、石化の呪いが解除されていく。

「いだぐねえ! いだぐねえよ! 兄貴ぃ! 姉貴ぃ!」

「騒ぐな、見ればわかる」

「馬鹿な弟のためにありがとう。何かお礼をしないといけないわね」


「いえ、私も魔法を試したかったので、お互い様です」


エレーナはペコリと頭を下げると、こっちに戻ってきた。


「これで石化を怖れることもない。ミルクもあるしな」

「ディアナ様だったら、もっと便利な魔法を知っているんでしょうね」

「当たり前だ。SSランクの聖女だぞ」

「どうせ、私は使えない神官ですものね」

「そんなことはない。お前は充分成長して、役に立っている。比べる相手が凄いだけだ」


エレーナが立ち止まってジト目で見る。

「何だ?」

「ディアナ様と恋人だったのですね。今もパーティーを組みたいのでしょ?」

「終わった関係だ。戦力として欲しかっただけだ」

「ディアナ様はまだカゲト様を好きだと言っていました!」

「嘘に決まっている。ディアナは俺を裏切って、カールと婚約した。それが事実だ」

「良かったぁ!」

エレーナは笑顔で腕を絡めてきた。


霧の城の裏口から入っていく。ナーガたちが働いている事務所をのぞくと、20人いた内の半分が石化されていた。

書類を持って走っている赤髪のナーガに声をかける。


「これはどういうことだ?」

「ボスの八つ当たりよ。アンタのせいで、とんだトバッチリだわ! 王都侵攻計画が全然進まないじゃない! さっさと罰を受けて、ボスの機嫌を直してきて!」


メデューサの部屋の前で哺乳瓶を取り出して飲む。

「飲み終わったら入る。気を引き締めろ」


俺は部屋をノックした――。

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