忠臣は主を支える
掲載日:2020/07/05
昔はふっくらしていた。
空気が抜けることを知らぬ、わがままボディ。
私は大人気の取り合い。
恐れを知らぬ肉体に、ふんぞり返った主。
それを支える私を、さぞや嬉しそうにしていた主。
それも遥か昔のこと。
今は痩せ細った硬いまな板。
主を支えることのできぬ、出来損ない。
でも、それでも主は使ってくれる。
時には着せ替えてくれた。
豪華な紋様。
かわいいイラスト付き。
昔ながらの無地。
こんなに尽くされているのに、返すことのできない。
何て空しい。
そんなある日、主の奥さまは私を引き抜いた。
あぁ、もう役目を終えたのか。
いつもは服を着させたまま外で日向ぼっこさせてくれる。
でも、今日は違う。
すべてをさらけ出した私をどこかへ連れていく。
あぁ、もう終わりだ。
私は座布団生を終える。
今までありがとう。
目を覚ますと、主がいた。
そして、抱き締め、再び、私の上に乗った。
馬鹿な、こんなことがあってたまるか。
私が主を支えているだと。
奥さまは私を見限ったのではなかったのか。
そうか。
奥さまは私に再び力を与えてくださったのか。
ありがとう。
私はこれからも、主を支える。
私は主の座布団。
私は主の御輿だ。
十年以上使ってる。




