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第89話 信用できない相手

「さて、どうするか。」

そんなことはお構いなしに真壁と八鬼は地図を見る。

「鬱蒼と茂る森の中にある城、この森には無数の魔物が潜んでいる。しかしここを通らなければ魔城の者以外たどりつけない・・・。」

真壁の言葉に八鬼は薄ら笑いを浮かべた。

そして視線を動かした先にいる秋矢を一瞥した。

「魔城の者以外だろう?なら可能だな。後はあのくそまじない師達の救出か。あのまじない師だけは何をしても死にそうにないがな。」

八鬼の言葉に頬をつねりあっていた紀伊と大芝は吹き出した。

「言いつけてやろう。」

大芝がそう呟くと、八鬼は大芝を睨み又地図を見た。

「おそらく捕まった者は皆地下牢にいるはずです。そういう手はずにしてきました。」

秋矢が魔城の地図で場所を示した。

そこは外部からは進入できないようになっていたが、八鬼はあっさりと言った。

「よし、これは竜で何とかなるだろう。」

「え?どういう根拠で?」

軌刃が聞き返すとなんら具体策もない八鬼に睨みつけられ黙りこまされた。

「その更に、二十階下に、秋涼様がいらっしゃる。彼を助け出さないと計画は失敗です。」

秋矢が次の説明を始めた。

「我々の力はおそらく父上の半分、俺と秋涼様と合わせて初めて対等に父上と戦えます。あと、甦った幹部連中が五人居ます。かつては数百人いたということですが、まだ父上が覚醒してすぐということで集まっているのは五人。これが増えると厄介なことになります。ただ五人いる秋涼様の時の幹部とは話がついています。こちらの戦力になってくださいます。」

「いつの間にそんな話つけてたの?」

「皆、前の魔城に戻ってほしいんだよ。」

紀伊はその言葉を聞いてうれしそうに顔を緩めた。

「私もおじさんたちに会いたいな。」

「そうだね。捕まった方々を救出した後、皆さんは各自避難して下さい。とてつもない力がぶつかり合うことが予想されます。何が起こるか分かりませんから。」

そう言うと秋矢は説明を終わらせた。

「避難・・・。ねえ・・・。」

地図を眺めながら大芝が呟いた。

その言い方に秋矢の眉がピクリと動く。

「何か?」

「もし、今までの話しが全て嘘で、俺たちが入ってまんまと騙され捕まることもあり得るわけだ。お前、話によると城主の息子だろう?俺はお前の父親にも秋涼にも偉い目に合わされてここにいる。正直、俺が信用できるのは紀伊だけだ。」

「大芝!秋矢様はそんな人じゃ!」

紀伊は大芝の言葉を取り消すように叫んだ。

しかし無情にも八鬼が続けた。

「そうだ。何度も鬼族は魔城に蹂躙された。簡単に信用は出来ないな。」

秋矢は何も言わなかった。

ただ悔しそうに唇を噛みしめた。

「信用しないなら、二人でやるもん。」

紀伊は秋矢の手を握って絡ませた。

そしてそんな紀伊の目は悔しさで涙が浮かんでいた。


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