表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
52/117

第52話 再会

店に着くと女が札束勘定をやめて出てきた。

手元や足元にも金の入った箱が積みあがり、皆の視線がそれに向いているときがつくと慌てて、足でのけ営業用の笑みを浮かべた。

「まだ、開店してまへんけど。」

女は八鬼達を客だと思ったらしく、丁重に応対する。

「ここに紀伊という女はいないか?」

「紀伊・・・ですか。」

「隠し立てするとためにならんぞ。」

武人らしく八鬼が女を睨むと女はすくみ上がり、楽屋に通した。

中は花で溢れていた。

「紀伊出てきて。」

一度目は返事がなかった。

「なあ、紀伊!どこにいるん!はよ来て!」

女が大声を張り上げると、奥から女が飛び出てきた。

「何ですか?びっくりしたあ!あの、まだ、私自身が準備中なんですけど。」

紀伊がいうように髪は見事に結いあがっていたが、顔はまだすっぴんだった。

それでも、どこかその非対称性が可愛く見えた。

「それでお前は充分だ!」

すぐそこまででてきた「可愛い」という言葉は感情が高ぶりすぎて紅雷は伝え切れなかった。

紅雷が喜びをかみしめて肩を掴むと紀伊が小さく悲鳴を上げた。

「ど、どこの変態かと思ったら…!」

見知った顔を見つけて紀伊は顔中で喜びを表現した。

そして目を動かし幼馴染を確認する。

「紫奈、柳糸まで。何で?何してるの?皆、元気だった?どうやってここに!」

紀伊は嬉しそうに段から飛び降り仲間の輪に入ると、それぞれの手を取ってはしゃぎまわった。

「よかった!皆元気だった?怪我ない?」

紅雷は鼻の頭を掻いて、自慢げな顔をした。

「おう、お前の行くところだったらわからねえところなんてないからな!ほら感謝しろ!お前の仲間見つけてきたぜ。」

紅雷が後ろを見ると同時に紀伊も後ろを見た。

そこには二人の鬼族が立っていた。

「初めまして、紀伊ちゃん。私、砂鬼。さっちゃんて呼んでね。」

「八鬼だ。この国で軍師をしている。」

その言葉をきいて紀伊の目は輝いた。

「皆、探してきてくれたの!ありがとう!」

そう言って二人の下へと歩いてゆく。

一方、二人の鬼族は紀伊の目から連想させられる両親へと思いを馳せた。

幼い頃、村でよく走り回った忠鬼によく似た目と、自分たちをよく子供だと叱った雅鬼に似た輪郭。

紀伊はそんな二人の思いなど気がつくことなく微笑みかけた。

「初めまして!この国にいる鬼族の方ですね。お探ししていたんです。良かった、お会いできてとっても安心しました。」

紀伊は二人を見ると心のつかえが取れたようだった。

「処で紀伊はここで何を?明らかに紀伊のいる場所ではないだろう?」

柳糸が周りを見回しながら訊く。

紀伊は頭を掻いて、路銀を稼がなければいけないということを説明した。

「なるほど。」 

柳糸が納得すると、紀伊は伸びをした。

「でもこれで仕事が辞められるわ。だって毎日毎日変な人にはつけられるわ、変な手紙は渡されるわで大変だったんだから。」

「何だと!紀伊を付け回す奴だと?俺が斬ってやる!」

「紅雷!その言葉どれだけ聞きたかったか!」

紀伊は紅雷の思い通りの反応に懐かしみつつも喜び両手を握って訴えかけた。

すると紅雷は頬を赤らめる。

「でも大丈夫!ちょっとまっててね!辞めるって言ってくる!」

紀伊は嬉しそうに女の所に走っていった。

女は突然やめると言い出した紀伊を引き留めようと必死であったが、後ろから軍服を着た八鬼がにらみをきかしていたので渋々引き下がったようであった。

「良かったら、皆さんうちに寄ってください。紹介したい人もいますし。」

「何だ、お前、一人前に家があるのか?」

「まあね。じゃあ、ついてきて。怖いおばあちゃんがいるけど、慣れたら大丈夫!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ