第101話 足手まとい
「危ない、危ない・・。」
秋霖は笑う。
紀伊は血まみれで横たわっていた。
秋霖は紀伊の白竜に強大な魔力をぶつけてきたのだ。
巻き添えになろうとした黒竜を庇いその力を白竜全部で受け止めた紀伊は防御もできず、体中に重く鈍い衝撃を受け動けなくなっていた。
「手間をかけさせる。さて、殺してやる。」
秋霖が紀伊に剣を刺そうとした時、誰かがそれを防いだ。
「そうか、まだ、お前が居たな・・・。」
秋霖は面白そうに笑う。
そこにいたのは黒雷だった。
「いい時に来たね、こくりん。」
紫端の言葉に黒雷は舌打ちした。
秋霖は口の端を持ち上げると剣を振り上げた。
「だが、お前も忘れているようだな。碧!」
すると剣を持った幹部が黒雷に激突した。
「ちょっと、しっかりしてよ!こくりん!」
「五月蝿い。」
黒雷は敵の攻撃をを受け止めるとそれを相手にすることなく秋霖へと刃を向けた。
「雑魚を相手にするつもりはない。俺は強い奴と戦う。」
「かあっこいい。」
「おい、紫端、お前も気を抜くな!」
そう言っている霜月は白の蹴りを食らい、地面に激突した。
そしてその上から剣が迫ってくる。
体を反転させて退くと、剣が石でできた地面に刺さった。
霜月は逆にそんな女を蹴り上げると、笑みを浮かべた。
「強いなあ。さすが、元幹部。でも、うちの妻よりは弱いだろう。怒らせると怖いんだ。うちの妻は。暫く家事放棄をするんだ。」
そう言って剣を構えた。
「秋涼のお守りはやはり秋涼のように甘い奴らばかりだな。全員殺してやる・・・。」
秋霖は手に気を集めると魔法弾が炸裂し、その場に居た幹部に襲い掛かった。
紀伊の前にもその弾が迫っていた。
「まずい!きぃちゃん!」