表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
100/117

第100話 この親にしてこの子あり

「お離し下さいませんか。」

紀伊の前に幹部が二人立った。

紫端と霜月であった。

二人は手に魔法をためていた。

「私に攻撃する気か・・・。面白い。紅、相手をしてやれ。」

そう言うと女が後ろから現れた。

「紫端、お前は母に刃向かうのか?」

「もう、子供じゃないんだから。善悪の判断は自分でつけられます。まったく母上は子供のこと全く信用してないんだからさ。ねえ、霜月。僕、こっちやるからさ、きぃちゃんお願い。」

紫端はそう言うと、楽しげに目を輝かせた。

「面白い、ならばその力見せてみよ。」

紅が笑うと、紫端は剣を抜き、斬りかかっていった。

「白。」

「はい。」

秋霖の後ろから目を閉じた女が現れる。

「まだいたか。女を相手にするのはあまり好きではないが、仕方ないか。」

「女と舐めていれば後悔するのは貴方ですよ?」

霜月は穏やかな顔をして服をなびかせた。

白という女は剣を両手に持ち、霜月の前に立った。

「お前はとんだ荷物だな。おとなしくしていればよいものを・・・。お前のせいでこれだけの者が戦いあうのだ。」

紀伊には秋霖の挑発であるということが分かっていた。

けれど、自分を助けるために今二人の人が戦っている。

それを自分は動けず見ているだけ。

(私のせいで・・・、私が弱いから。)

そんな時だった。

紀伊の目に東の方角で黒竜が暴れる姿が見えた。

そしてその竜は口をあけてこっちへとむかって来た。

それを止めるために秋霖の手は紀伊から離れ、なおも、秋霖を後ろへと押してゆく。

(軌刃が助けに来てくれた。)

「軌刃!」

大声で黒竜に向かって叫んだ。

紀伊もその場で白竜を召喚した。

「出でよ!白竜!」

紀伊の声と共に大爆発が起こり、大きな白竜が空に現れ、秋霖を飲み込んだ。


建物内にもその振動が届き、砂が降ってきた。

「紀伊なのか!」

大芝が叫ぶ。

八鬼は牢の前で手を止めた。

「今の爆発、あまり良くないな。お前・・・。霊体だったな。」

八鬼が不意にポツリと呟いた。

「何で、今そんなこと。」

大芝は全く意味がわからず、頷いた。

「この扉、結界が張ってある。だが鍵はない。結界だ。爆発させるぞ・・・。」

「お前まさかはなからこのつもりで・・・。」

大芝が相手の意図に気が付き、寄ろうとすると八鬼は口元を緩めた。

「黙っていろ。忠鬼にできて俺にできないことなんてあってたまるか。」

八鬼の体から、どこともなく血がこぼれ落ちた。

「お前!」

白い閃光があたりを包み、大爆発が起こった。

大芝が目を開けると、扉や壁は無くなっていた。

ただ埃が舞い上がりその向こうに気配を感じた。

「おい、今の爆発は!」

誰かが大芝の腕を掴んだ。

巳鬼だった。

「誰の自爆だ!今のは。誰がここで!」

巳鬼は取り乱していた。

その隣を紅雷と柳糸がすり抜けてゆく。

けれど紫奈は動かなかった。

その場で膝を抱えていた。

「巳鬼、今は大芝に詰め寄っても仕方ない。とにかく出よう。」

時鬼に諭され、巳鬼は走り出した。

廊下に戻ると、尚浴と透影が何事もなかったかのように立っていた。

その足元には秋霖の幹部二人が倒れ、拘束されていた。

「あんたら、強いな。」

「・・・一人足りないが?あの鬼族は?」

「ああ・・・。」

大芝が言葉を濁すと、尚浴は透影の背中を押した。

「とにかく、俺達はほかの者の援護を。」

尚浴は幹部を連れると透影と消えた。

大芝は一人、紀伊の居場所を探そうとした。

一人のはずだった・・・。

「琉陽様。」

大芝は驚き、隣を見た。

「花梨!」

「・・・私も参ります。紀伊の処へ・・・。」

「ダメだ!お前は逃げろ。」

「嫌です!秋涼も紀伊も私の大切な家族なんです!」

「だからって、お前が行っても戦えないぞ!」

「でも!嫌!あの二人が戦っているのに!逃げられない!」

大芝は少し花梨の顔を見つめていたが、花梨の手を取った。

「行こうか・・・。」

「え?」

「何か、紀伊はお前に似てる気がしてきた!」



「秋涼様!」

「お前秋矢なのか!何でそんなに大きくなったんだ?ああ、透影の技だな。処でどうなってるんだこれは?」

怪我一つ無く、捕らわれ身であった秋涼は入ってきた秋矢に軽く声をかけた。

「説明は階段を上りながら致します。とにかく早く!」

秋矢は秋涼の腕を掴んで引いた。

「おい、痛いぞ。秋矢!分かったから。」

けれど秋涼は扉の血を見てすぐに、状況を飲み込んだようで、呼吸を一つすると鋭い目を向けた。

「で?どんな状況だ?」

「最悪です。紀伊が捕まってます。早く助けてやらないと。」

「何だと!」

秋涼の顔から血の気が無くなり、真っ青になっていった。

「とにかく早く・・・。」

二人はそう言うと階段を上っていった。


こんにちは!ここまでお付き合いいただいてありがとうございますww

話数が大台に突入しました!あと少し、お付き合い下さい^^

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ