第一の刺客が現れたそうです ④
私はこの建物から抜け出す。するとやはり、敵の人達が私を待つようにしていた。
その中でも、空を飛んでいたり、空飛ぶ箒に乗っていたり、ここが異世界だと示すように、ファンタジー感を漂わせた。
本当に、大丈夫なの?
そして敵の人達は私に手や杖を向ける。すると火の玉や、氷などが現れ、私の方へ向かう。
私は何か起こるだろうと待っていたが、それが当たる寸前まで近付いた時には、もう私は逃げ出していた。
もうこれは絶対何も起こらない。
そんな気がしたからだ。
私はその街を全力で駆けていく。
「やっぱり何もないじゃん!」
またもや、命懸けのレースが始まってしまったのだ。
後ろからはまた色々な物が飛ばされる。一回一回が命懸け。
そうして走っていると、先輩からまるで希望のような言葉が聞こえた。
『よし、もうすぐだ! その通りを右に行けば、もう俺たちの勝ちだ!』
その言葉が私のエンジンとなり、体力を振り絞るように走る。
そして私は、先輩に言われた通り右に曲がる。
やった! これで勝て………。
通りを曲がると、すぐに見えたのは、もとから待ち伏せしていた敵だった。
私は足を止める。そうしている間に、私の後ろも全て取り囲まれてしまっていた。
「もしかして、ここで終わり、なのかな?」
私は腰が抜けて、その場に倒れ混んでしまう。
全ての方向から手を向けられ、私は天を見上げる。そして手を伸ばし、掴んでみようとするが、やっぱり触れることすら叶わない。
もう、無理なのかな?
そうしている間にも、敵の人達は私に手を向けて、さっきの攻撃の準備をしている。
私は俯いて、そして涙を流した。
敷いてある石板に、私の涙で少し染みている様だった。
もう私は、諦めていた。するとそれは、走馬灯のように甦った。
それは、たったひとつの言葉だった。
私が小四で、運動会の日に最下位になって、それが悔しくって、誰もいなくなったグラウンドで延々と走っていた私に、先輩、言いましたよね?
『人は食べ物でも、スポーツでも、教科でも。どんなものにも不得意はあるし、得意なものもある。だがそれを克服できるやつは、まじ最強だぜ?』
………てさ。
私は立ち上がった。
そうだよ、怖がってちゃ、諦めてちゃ、最強なんかにはなれないよね。
だが私が立ち上がる頃には、もう飛ばされた火の玉や氷は私の目前となっていた。
私は怖くて目を瞑ってしまう。だが、突然体に謎の浮遊感を感じ、目を開ける。
すると、私は夢でも見ているのか、空に浮かんでいた。
だが「飛んでいる」とは違う。まるで無重力のような………。
そうしている間にも、敵は数々の火の玉や氷をこちらに飛ばす。
私はそれを手で止めようとする。氷はまだしも、火の玉は無理だと思うが。
それでも私の本能がそうしたのだ。仕方ない。
すると、私に触れた火の玉や氷は、即座に急落下して、地面にめり込んでしまった。
私は驚きを隠せない。
「な、何今の!? これがプレゼント? 結構神様してるねあの人!」
敵の人達は困惑している。これは期と思い、私は空中を歩いて飛んでいる敵のもとにいく。何故かは分からないが、空中にいるのにすいすいと進むことができた。
そして私は敵の前に立つと、胸ぐらをつかんだ。
「お返しです!」
私は精一杯力を振り絞って殴りかかる。
だが、その力は疲労のせいか、弱々しいものとなっていた。
あっちゃー、ミスったな。
私は即座に掴んでいた手を離し、空中を急いで移動する。
「す、すいませんでした!」
だが、その敵は私が手を離すと、地面にへと急落下し、痛そうな音を立てて着地した。
あぁ、あれは骨折だな。
でも、この能力はなんなんだろう? 私を浮かせたり、浮いてる物を落下させたり、まだまだ謎の深い能力。
だけど………。
「私はこの能力を、《無重力》、略して《ゼログラ》と名付ける! そして早く、先輩のもとへ帰る!」
はい、と言うわけで、みらのちゃんのスキルは《無重力》こと、《ゼログラ》です。
名前の通り、重力に関係するスキルです。
なんでこのスキルにしたかと言うと、汎用性を感じたからです。
色んなアニメや漫画でこういう能力があったりしますが、どれもこれも色んな風に使われていて、面白いなと感じたからですね。
後々、解斗くんにもスキルを付けたいと思っておりますので、何か面白いのあるよー! て人は感想か何かにしてくれると有り難いです。
ではさらば。