表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

第一の刺客が現れたそうです ③

私は玄関に立った。そして緊張して高鳴っている胸を撫で下ろす。

大丈夫、大丈夫、私は先輩に頼られてるんだ。私が先輩を、助けるんだ!

落ち着かせると、すぐに全力で宿を抜け出し、街の中を駆けていく。

その間にも、後ろに衝撃が起こっている。きっともう、戦いは始まっているのだ。


「死ぬ! 死んじゃう! 死ぬー!!」


『そこを右だ!』


私は先輩の言う通りに軸先を変える。

それでも変わらず後ろでは風や大きな音を巻き起こしていた。

こんなに現実離れしたものが本当に敵の攻撃なのか、少し思うところもあるが、そんなことでスピードを落として御陀仏にはなりたくない。

私は振り返ることなく全力で走っていた。

だが、次の通りで左に曲がる頃にはもう、私の体力は底をついていた。


「や、やばい。休まないと………」


辺りを見渡すと、建物のドアが開いていることに気が付いた。

私はすぐにその建物の中に入る。

入ってみると、敵の人達は全くさっきの攻撃をしてこなくなった。


「た、助かった、のかな?」


いや、きっとまだ外で待ち構えているのだろう。

私が休もうとしたことで、盤面が崩れてしまったのだなと、後悔した。


『後輩、大丈夫か?』


「あ、はい、大丈夫です。まだ行けます」


『そうか、無理はす……』


すると突然、先輩の耳越しの声が聞こえにくくなった。


「え、先輩!? どうしたんですか!?」


いや、違うな。私はそう察することができた。

私が辺りを見渡すと、そこはモノクロで色の黒、白、灰で染まった、昔の映像のような世界となっていた。


「何、これ?」


私がその世界に呆然としていると、後ろから目隠しをされた。


「わっ!」


「だーれだ?」


だ、誰だ? この人。

だけど、どこかで聞いたことのある声だ。そうだ、何処かで………。


「ぶっぶー! 時間切れー」


そう言ってその人は私の前に姿を現した。

その姿は、非常に見覚えがあった。

逆にこんなのと生で会ったら忘れる人はいないだろう、と言うくらいの白色の髪に、ド派手な服。

それは、ここに来る前に最後にあった人間。

私たちをここへ追いやった、あの……。


「どうも! この世界に勤めております、神様です!」


「は、は?」


この人が、神?

神と言うくらいなら、この状況を打破してもらいたいものだ。

そして元の世界に返してくれ。


「ごめんね? 君、ちょっと巻き添え食ったイレギュラーだから、調整が間に合わなかったんだ! はい!」


そう言って神と名乗る男は私に、黄金に光る林檎を投げ渡した。

私は男の方を見るが、どうぞという顔でこちらを見ている。

きっとこれを、食えと言うのだろう。

私はその輝きに、少し不信を抱きながら、一口だけ食べた。

すると、その林檎は輝きを失い、かわりに一瞬だけ私の目が黄金に光った。


「はい、それが僕からのプレゼント! 大事にしてよ?」


すると、モノクロの世界は元に戻り、男も消えてしまっていた。

何が変わったかは分からないけど………。


「このプレゼントで、先輩を守って見せます!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ