学校をサボると異世界転移するそうです
今は8時15分、そして学校への登校時間も8時15分まで。
俺達は夏休みが終わり、早々に遅刻することとなっていた。
俺と後輩は、全速力でアスファルトの上を駆けていく。
「遅いぞ後輩! もっと走らんかい!」
俺は二年である後輩にそう言い放つ。
「だって、暑いですもん~」
後輩はもう限界のようだった。
じゃあ、と、俺は走っていた足を止めた。
「今日はサボるか!」
「え、え~」
後輩は迷っていたが、結局はサボることにした。(俺が言い聞かせた)
俺と後輩は近くの神社に入り、少しの間日光を避けていた。
何が夏だよ、運動部だけ楽しくやっていればいいじゃないか。
インドア派の俺は、コンビニで買ってきたポテチを貪りながら密かにそう思った。
「ですけど先輩、もう三年ですよ? 大学受験とか大丈夫なんですか?」
「あぁ大丈夫。俺大学行かないから」
俺はどうでもいいとばかりにそう言った。
だが、後輩にはそんなことはないらしく、俺に詰め寄った。
「な、なんでですか?」
「大人どもに仕事で誘われててな。あと顔近い」
俺はそう言って超接近していた後輩の顔を下がらせた。
「そうですか、でもやっぱり先輩は凄いです! テストではいつも一位ですし」
「あぁ、まあな」
ここらで自己紹介でもしておくか。
俺は天空寺 解斗。
今年で高校三年の、本来は受験生な健全中の健全男子だ。
頭は自負できるくらいによく、先ほど述べたように学校のテストなどでは普通に上位に居座れている。
この可愛い女の子の後輩ちゃんは赤波みらの。
前の中学校も一緒で、もう何年もこいつとは過ごしており、仲は同級生と比べても一番というくらいに良く、毎日いつも一緒に登校している。
全学年から人気が高く、俺が友達から敵視されるようなケースもなかった訳ではない。
まぁそれでも、友達なんて一人いれば十分だがな。
「でも、卒業するときの第二ボタンは私のですよ?」
「バーカ、俺のは一生俺のものなのー」
そう言うと、みらのは納得していないと言うようにむっとしてしまった。
俺が笑う。ふと、神社の砂利道に誰かいたような気がした。
だが見てみても、そこには誰もいなかったので、放っておこうと思ったのだが、みらのが何かを見ていた。
その視線の先には、白髪の男が、俺達の他には誰もいなかったはずの神社の中に現れていた。
「全然教室に来てくれないから探してたんだよー? 解斗くん」
男が腕を上に上げると、俺とみらのの周りに魔方陣のようなものが現れた。
「せ、先輩!?」
「なんだよ、これ」
俺がそう溢したのを最後に、俺達はこの世界からいなくなってしまった。