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プロローグ

考古学の専門用語が出てくる場合があります。

本文中で説明しにくいような場合等、後書きにて説明することがあります。


***

完結後、プロローグから8話まで書き直します

序盤は慣れていないこともあり、読みにくいからです。

ご迷惑をお掛け致します

「あ、暑い……」


したたる汗を手ぬぐいでぬぐって、雲ひとつない真っ青な空を見上げた。


ここは地元の中心街からそれほど遠くもない丘陵(きゅうりょう)で、丘の一番高いところからは街が一望(いちぼう)でき、春には菜の花などが咲き乱れてデートや行楽(こうらく)には最高の場所だ。


ところが、つい数ヶ月前に街の活性化対策で、ここら一帯を新興住宅地として売り出すために、宅地造成が行われることになった。で、その前にここに遺跡があることが判明し、まずはどんな遺跡かハッキリさせるために試験的な調査をすることになったのだ。


で、しがない公務員の俺に、その仕事が廻ってきたというわけだ。


8月の真夏の太陽が容赦なく降り注ぎ、ショベルカーのやかましいエンジン音がさらに鬱陶(うっとう)しさに拍車(はくしゃ)をかけている。あ~あ、また日焼けがひどくなるなあとため息をついていると


「お――い。雪輝(ゆきてる)せんせ――! ちょいと、こっち見てくんねえかな。ちょっとこれ変なんだよ――」


ん? 何か見つかったのかな?作業員のおっちゃんが手を振っている方へ、麦わら帽を(かぶ)り直しながら行くと、緑色で何か光沢のあるような物体が目に入った。


雪輝(ゆきてる)せんせ! これなんなん?」


作業員のおっちゃんは、緑色で直径30cm程の円盤状のモノに、くっついていた土をパッパッと払いながら、「ほれ!」 っと、いつものように手渡す。


 ……なんだ、これ? 


 緑色をしているから銅製品が()びて緑青(ろくしょう)をふいたものだと思ったが、()びているわけじゃない……。それに形から弥生時代か古墳から出てくる鏡でもない。

それは滑らかで、光沢があった。金属ではないようだし、石製でもないようだ。しかもその円盤の表裏には何やら文字か記号のようなものが刻まれている。


「何だろうね? これって。誰かいたずらして埋めたのかな?」

「いんや。 だって地表から穴を、掘って埋めたような痕跡はなかったよ」


そう言いながら、おっちゃんと、この円盤の出てきたところを確認すると、その場所はきれいな緑色の光沢ある石で、厳重に囲われていた。作業員さんは、つい気になって、その囲いから、この円盤を出しちゃったらしい。まあ、よくやっちゃうことだ。


状況から考えると、これは大切に保管されていたものだ。


「う~ん。これ、何か表面に書いてあるようだから、今日、事務所に持って帰ってみるよ」

「そっかあ、なんだか気になるから、明日、どんげもんだったか聞かせておくれよ」

「ああ、わかった」


そう、作業員のおっちゃんに明日、円盤が何かって結果を教えることを伝えると、おいらは手早く出土位置や地層番号を書いたプレートと一緒に、その円盤をいつものようにビニール袋に入れてしまった。


ちょうど日が(かた)いてきたな……。

夕焼けが色濃く自分の影が長く伸びてきた。


「おおい! そろそろ今日はあがりますよ――!」


  大声をはりあげ、数十人いる現場の作業員さんたちに今日の仕事の終わりを告げた。それぞれ仕事を切り上げ、スコップから土を落とす人、汗を拭きながら水筒から冷たい飲み物を飲む人たち……。


みんな近所の農家や退職した人たちで、この人たちがいなかったら、とてもじゃないが現場作業をこなすことなんてできないんだよな……。 そんなことを思いながら、集まってきた作業員さんたちの笑顔を見ながら点呼(てんこ)をとる。


「じゃ、みんな今日も暑いなか、お疲れ様でした。明日もよろしくお願いします」

「せんせ! じゃ、また明日!」

「先生、明日も暑いようだから、冷てえキュウリ持ってくるわよ!」

「だ――から――、先生じゃないって、俺は――!!」


笑いながら帰っていく作業員さんたちにいつものように手を振りながら、自分も帰り支度(したく)をする。


そう。 そこまではいつもの発掘風景だった。


今日はこの奇妙な緑色の円盤だけだったな……。

ビニール袋に収まってる、今日の戦利品をしげしげと眺めてると、俺は妙なことに気がついた。


あれ? なんだ? これ? 真ん中が光ってる!

ま、まずい! これ……。 地雷か何かか!?


日がかげり、暗くなってきたためか、それまでよく見えなったが、その円盤の中央の四角いところが(ほたる)が光るように点滅していたのだ。


地雷にしてはおかしい……。


 そもそもよく見ると、表面に書かれている文字らしきものや記号らしきものは、どちらかというと古代エジプトで使われていたヒエログリフとマヤ文字の合いの子のような見たことのない妙なものなのだ。

俺は好奇心を抑えきれずに、その場でガサガサとビニール袋からその円盤を取り出すと、光るたびに指でタッチしてくれと言わんばかりに、中央の部分がちょうど指の形が浮かび上がっていた。


つい、その浮かび上がる指の部分に、自分の指を重ねた……。


ビリ!


「わあああ、い、痛え、痛え――!」


 その瞬間、自分の身体がバラバラになるような痛みが走った。

激痛のあまり、気が遠のいていく。


  やべえ。これ、やっぱり地雷だったのかな?

俺は遠のく意識の中で、ふとそんなことを思った。


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