第4話「模擬戦スタート」
三人は模擬戦闘場に到着した。
模擬戦闘場は周りを塀で囲まれていて、地面は土が敷き詰められている。
大きさは縦50メートル、横100メートル、高さ20メートル程だ。
ガルアとソフィアは戦闘場の中心に立った。
バルザードが木剣を持ってきた。
「二人とも、好きな剣を選べ」
バルザードが言った。
ガルアは短剣を2本、ソフィアは中型の剣を選んだ。
「ルールを説明する。戦いはその木剣で行う。
基本的に魔法は使って良いものとする。
但し、魔法で武器を生成するのは反則とする。
どちらかが、負けを認めるか、戦闘不能になった時点で模擬戦は決着とする」
バルザードがルールを説明した。
「おっと、そうだった。
ガルア、あの魔法は使うな。いいか?」
バルザードが付け加えた。
「ああ、分かってる」
ガルアは短い言葉で答えた。
「よし、それでは開始するとしよう。
二人とも、準備はいいな?」
「ああ」
「ええ」
ガルアとソフィアは剣を構え、答えた。
「それでは、始めッ!」
バルザードの掛け声で、模擬戦は始まった。
ガルアとソフィアは同時に攻撃を仕掛けた。
ガルアが2本の剣を振るった。
ソフィアはこれに反応し、剣で捌いた。
お互いの剣が触れ合う度に、衝撃波が発生する。
バルザードが用意した木剣は表面を鉱石でコーティングあるため、
少しの衝撃で壊れるような事はない。
二人は同時に後ろに下がった。
ここまでの実力はほぼ互角。
次はガルアが先に動いた。
ソフィアはそれを迎え撃つ準備をする。
ガルアがソフィアとの間合いを詰めると、左手の剣で一閃。
その一撃はソフィアの剣によってガードされた。
ガルアは少し笑みを浮かべると、その場から姿を消した。
否、消えたのではない。
前からの追撃のみに意識が向いていたソフィアには、後ろに高速で回り込んだガルアの動きを捉える事が出来なかった。
ガルアは剣を降り下ろした。
「――しまっ···!」
ソフィアは慌てて振り返るが一瞬遅い。
ガルアの一撃が直撃し、後方に吹き飛ばされる。
戦闘経験の差ではガルアに分があるようだ。
吹き飛ばされたソフィアは受け身をとって体勢を立て直した。
「流石は帝国の葬送人だな。では、次はこちらから行こう」
そう言ってソフィアはガルアに向かって走り出した。
そして、剣を振るった。
ガルアはそれを2つの剣で受けきる。
「何度やっても同じだ」
「それはどうかな?」
ソフィアは剣を上に強く振り上げ、ガルアの剣を一瞬上に弾く。
たかが一瞬だが、その一瞬が大きな隙となった。
ソフィアが右に持った剣でガルアの剣を弾いた瞬間に、ガルアに向けて魔法を放った。
超至近距離で、魔法が炸裂した。
魔法が放たれた瞬間、ガルアが剣を戻すが剣だけでは魔法の全てを殺す事は出来なかった。
「ぐっ!」
今度はガルアが後方に吹き飛ばされた。
すかさずソフィアが魔法を何発か放った。
地面に着地したガルアをソフィアの魔法が襲う。
「追撃か」
ガルアは後ろに自ら跳び、剣で魔法を振り払った。
そこにソフィアが一気に間合いを詰め、跳んだ。
上方からの一撃。
ガルアは避けられないと判断し、剣でソフィアの斬撃を受け止めた。
その足元がクレーター状に沈む。
それでもガルアは剣に力をこめ、ソフィアを押し返した。
ソフィアは後ろに下がった。
―――強い。今まで出会った奴の中でもかなり上の方だ。
ガルアは危機感を感じた。
そこでガルアは魔法を発動した。
ガルアが黒紫色の気に包まれた。
発動された魔法は攻撃魔法ではなかった。
自強化魔法――名前の通り自らを強化する魔法だ。
発動している時間は限られるものの、パワーやスピードを大きく強化することができる。
「次はこちらの番だ」
ガルアはそう言うと、地面を蹴った。
先ほどまでとは比べ物にならないスピード。
そのスピードでソフィアとの間合いを一気に詰めた。
ソフィアはその紫紺の瞳を見開いた。
―――さっきまでとは明らかに違う!
剣で受けるのはまずいと判断し、ソフィアは右に回避した。
しかし、回避した先にガルアが現れた。
―――速い!
ソフィアは剣でガルアの攻撃を受けた。
剣を通して強い振動が伝わってくる。
ガルアはソフィアの剣を弾き、がら空きになった腹部に蹴りを入れた。
「――ぐっ!!」
ソフィアが宙を舞った。
そして地面に落下した。
「く、ぅ」
痛みが全身に広がる。
「そろそろ終わりにしよう」
ガルアがゆっくりと近づいてくる。
そして、ソフィアの近くまで来ると、剣を降り下ろした。
ガルアとソフィアの戦闘はまだ続きます。
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