第2話「報告」
アルテイル帝国、大陸にある大国だ。
人口は1000万ほど。
工業、商業、農業、水産業共に盛んで、人々が忙しなく行き交う。
それが昼の光景。
夜は酒場などが一斉に開店し、夜もまた賑わいを見せる。
アルテイル帝国はここらの国では最も栄えていると言われている。
帝国には騎士団が存在する。
第一騎士団から第五騎士団まで存在し、国の警護などを行っている。
騎士団は選ばれた数少ない者だけがなることができ、それぞれ精鋭揃いだ。
ガルアはその騎士団ではなく、特別部隊として存在している。
部隊と言ってもガルア1人だけだが。
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仕事を終えたガルアは報告へと向かった。
上官室にたどり着き、そのドアをノックする。
するとすぐに返事が返ってきた。
「入れ」
重く、低い声だ。
この声の正体は、バルザード・トリアスだ。
バルザードはガルアの上司にあたる。
ガルアに仕事の指示を出している。
「失礼する」
ガルアが一礼し、部屋に入る。
そして、事の顛末を告げる。
「任務は全て完了した。
後の事は任せた」
「よくやった、ガルア。後の事はこちらでやる」
「それでは、俺はここで失礼する」
ガルアは部屋から出ようとした。
その時、バルザードがある事を思い出したように声をかけた。
「ああ、そうだった。ガルア、明日の正午、ここへ来てくれ。話したい事がある」
「了解した」
ガルアは部屋を後にした。
そのまま自室に戻り、部屋の椅子に腰かける。
辺りは静まりかえっている。
部屋は明かり一つなく、ただ月の光が窓から射し込んでいるだけだ。
ガルアはふ、とため息をつく。
「もう、この仕事を始めてから6年か...。
あとどれくらい続けるんだろうな...」
ポツリと呟いた。
「そんなこと俺が考える事ではないな」
ガルアは自分の考えを、封じ込めた。
もう、時刻は深夜2時をまわっている。
明日に備えるべく、ガルアはベッドに横になり、目を瞑る。
毎晩目を瞑るたび、あの日の情景が頭の中に浮かんでくる。
―――俺はあの日の事を忘れられない。
―――俺はあの日の事を忘れてはならない。
―――それが俺に残された業だから。