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最終話 狐につつまれて

どうも「狐につつまれて」作者ガチ勢のχダニャンです。

なんとか最終回までたどり着くことができました。

所謂処女作だったんですがイキナリ連載式っていうね、バカですねぇコイツ!!

最初は漫画で書こうと思っている作品でした、しかも30ぺージで。

過去の自分をぶん殴りたい。


一番初めに書こうと思ったのは実は「狐につつまれて」じゃなくて

「正義のヒーローカンパニーはブラック企業」ってタイトルでした。

調べたらクリソツのタイトルがあったから止めたんですけどね。

そのおかげでこのサイトを知ったわけなのですが。


最終回が嬉しいような悲しいような複雑な気分ですけど

こんなゴミ作者の作品を最終回まで付き合っていただいて

嬉しい限りです!!感謝ぁ!!!


付箋なんて何一つ貼れていないし、異世界転生のタグを間違って付けて

そのまま放置してるし、ほのぼのタグも息してないし、そもそもがつまらないし!!

後書きを書き忘れるし!! 

晴斗の病気とか症状とか実はなんも考えてないし!!

なぜこの作品を最後まで見てくれたのかわからん!!

とにかくありがとう!本当にありがとう!!

よかったらコレからも見てね☆

あ、次は見ない?やっぱり?ですよねー・・・


因みに次回作は「魔王の花」です。

チラッと宣伝しますね


これは、ありふれた物語。

勇者が魔王を倒し姫を救う、よくあるお話。

これは、ありふれた物語。

愚かな王により滅びゆく、よくあるお話。


そして、これは始まりの物語。


どうです?見・・・あ、見ない!そうですか!!

失礼しました。


最後に、物語が終わった後、下の広告が移り込むのが個人的に嫌なので

「完」の文字の下にものっそい空白があります

過剰に伸ばしてある上に後書きも書かないので「完」の文字が出てきたら

そのままブラウザバックしてください。


それではいつものやつをここでやって本編へ移るとしましょう

次回「魔王の花第一話」「見てくれると嬉しいなアァ~(チラッチラッ)」

12月5日投稿予定? みんな!絶対にみないでくれよな!!今までありがとー!!

愛してるぜー!!

 コンは父への手紙を落さないようにしっかり持って

ウキウキしながら山を登っている。

 もうすぐいつもの祠の前にたどり着くのだが

両親の気配がない。


「?」


 やはり祠に到着しても両親の姿が見えなかった。


「狩りに行ってるのかなぁ・・・

チャンス!祠の屋根の下に手紙隠しておこっと!」


「あら、コンちゃん何してるの?」


 コンの肩がビクンと跳ねた。


「か・・・かぁちゃん居たの?全然分からなかった」

「俺も居るぞ?」

「げ!とーちゃんまで!?気配消すの上手だね・・・」

「そりゃあ、俺達が本気だせばな」

「きゃはは・・・そう・・・」


 なんで?

なんで、とーちゃん、かぁちゃんから威圧感を感じてるの?

話し方とか声のトーンとかがいつもと若干違うのはなんで?


「ど、どうしたの?変な物食べた?ダイジョ・・・え・・・?」


 コンが言葉を止めてしまったのは無理もない。

物陰からもう一組、ウツケとタワケが出てきたのだから。


「幻術?あ、今日は戦う訓練なんだね!」

「・・・」

「な、なんで何にも言わないの?ねぇ・・・」


 木々の影から何組も何組もウツケとタワケが現れて

コンを取り囲む。

どれが本物なのかはわからない。

コンは言葉を失ってしまった。


「なあコン、俺がお前を育てた

本当の理由がわかるか?」

「本当の理由?えと・・・なに言ってるの?」

「いままでアナタに話したことないけど

結界を維持する為に私たちはニンゲンを喰らってきたわ」

「だけどニンゲンを喰う機会・・・

この山に生贄をささげる文化は100年前に廃れて消えた」

「ひ、ヒトを食べてた・・・?」


 コンの瞳に恐怖が宿る。


「そうよ、ニンゲンは魔力が豊富でいい食料になるわ」

「お前を魔族化までさせて生かしたのは

お前を育てて喰うためなんだよ」

「冗談だよね・・・?いつもの悪ふざけなんでしょ!?」


 ウツケ達はコンの問いかけに応じることなく

ジリジリと距離を詰めてゆく。


「ああ、そうそうせめてもの情けにコレをあげるわ」


 ウツケがタオルケットをコンの前に落とし

それをコンが拾い上げる。

そのコンの目は完全に怯え切っており

耳と尻尾は垂れ下がり体は震えている。


 嘘だ、冗談だ、とーちゃんとかぁちゃんがそんなことを

本気でやるわけないもん。

 違う、違うに決まってる。悪い冗談なんだ。

だって、だって、だって!あたしは、あたしは特別なん・・・


「アナタが悪いのよ?ニンゲンの文化を学んで

私たちの元から離れる魂胆なのでしょう?」


 声を出して「違う!」と反論したかったが

その前にヒュンと何かが風を切る音を立てて

コンの右手を掠めた。


「ッ!?」


 ポトリ

ウツケの前に肌色の小枝のような物が落ちる

それが何なのか痛みで理解するよりも目で

理解する方が早かった。


「いや・・・いやだッ・・・!!」


 コンの右手から小指が無くなっていたのだ。

 欠損した指を視認した直後に激痛が襲い

流れ出る血液がタオルケットを赤く染めていく。


「ッ!!!~ッッッ!!」


 痛みが言葉にならない。

 この痛みで幻術ではないとコンが悟る。

 実際にウツケがコンの指を千切って見せたのだ。

何が起きているか理解したくなくて

頭が思考を止めようとしている。


「どれ、ちょっとつまんでみようかしら」

「かぁちゃん・・・?やめて!やめてよぉ・・・」


 ウツケが切断された小指を銜えると

バキボキと骨を砕く咀嚼(そしゃく)音を立てながら

コンの前でコンの指を喰らって見せる。


「・・・・・・・・・・・・・・」


 体の震えが一層増した。

足が動かない、汗が噴き出す、心臓が喉の代わりに

悲鳴を上げる。


「味はどうだ?」

「ええ、予想通りの味よ・・・」

「そうかい」


 ウツケ達とタワケ達が全部同時にべロリと

舌なめずりをしてコンを見据えた。

 獲物に向けられる目線が注がれて

コンはゾワリと肌が泡立つ。


「ぅぁ・・・」

「抵抗するなよ?」


 ウツケとタワケが一斉に飛びかかる

走って逃げる隙間なんてなかった。


「や、やめてぇえぇえぇえぇ!!!」


 コンは咄嗟に頭上に両手を掲げて掌の中で

狐火を炸裂させた。


「うお!?」

「ぎゃぶぇ!!」


 爆風でコンに飛びかかった幻覚諸共

本物も吹き飛ばす。

 手紙を隠した祠も完全に崩壊してしまった。


「うお!?木に燃え移ってるぞ!」

「マズイ!火を消さないと!!」


 両親が気を取られている隙にタオルケットを持って

コンがその場から逃げ出す。


「あ!待て!!」

「先に消火よ!!手伝いなさいタワケ!!」

「チッ!」


 コンの後を追おうとしていたタワケが火を消す為に

ウツケの元へ戻てゆく。


 一方コンは涙ぐんだまま一心不乱に走り続ける。


「うっく・・・うぅ・・・なんで・・・

なんでぇ・・・えっく・・・きゃっ!」


 倒木に躓いて転んでしまった。

躓いてしまった木は無数の棘で覆われた種類で

コンの足に無数の小さな穴を開けた。


「痛いっ!痛いよぉ・・・でも、早く行かなきゃ・・・」

 

 ここで死んでしまったら晴斗との約束が果たせなくなる。

コンは足と右手にある痛みを必死に堪えて走り続けた。

痛みは堪えることができたのに、なぜか涙を堪えることは

出来なかった。

 山を下るまでタワケもウツケも追いかけてくることはなく

コンは無事に下山することに成功したがその頬には涙が滴った

ままであった。

 夕刻の晴れ空に天気雨が降ってきたが

コンは意に介さずただ雨入家に向かって

走っていった。




「なんとか火が消えたな」

「ええ、なんとかね」

「あ~あ、コンの手紙も燃えちまったな・・・」

「読みたかったわね、残念だわ」

「・・・どうだった?」

「・・・・」


 言葉を無くしたウツケをみて

タワケは小さく「だよな」と呟いた。


「不味かったわ」

「そうか」


 タワケはウツケの隣に移動しちょこんと座った。


「元々ニンゲンは美味しくなかった」

「確かにな」

「でも、コンの指は特に不味かったっ!!」

「よくやったよ、ウツケは」

「私はもう、ニンゲンを食べることが

できない!二度と!!うっ・・・

ごめんね、コンちゃん・・・ごめんね・・・」


 涙を流すウツケをタワケが尻尾でさする。


「これで良かったんだよ、本当の親に巡り合えたんだから

コンはニンゲンとして生きていくべきだ」

「わかってる、わかってるけど・・・」

「泣くなよ、俺まで辛くなってきたじゃんか・・・」


 ウツケはよくやった、大切な子が幸せに暮らせるように

山への未練を残すことなく生きていくために

指を切断し喰らう所までやった。

 俺には、そこまではできない。

 

「いい天気だなぁ」

「子供を送り出すのにうってつけの天気ね」

「ああ」

「見送りはできないけど、あの子を送り出しましょう」

「無理するなよ」

「この辺一帯に幻術を掛けるだけよ、大丈夫」

「寂しくなるなぁ・・・」

「ほんとにねぇ・・・」

「じゃあなコン、雨入家で楽しく暮らせや」

「幸せにね・・・コンちゃん」


 タワケが空を見上げる、溢れたものが零れないように。

そっと金の背中に銀の尻尾が触れる。

 黄昏時の空の下、金と銀の二色がお互いを尻尾で

さすり合っていた。




「お嬢様!雨が降ってきましたぞ!」

「あらホントだ!洗濯物を入れちゃわないと!!

こんなに天気がいいのに雨なんて!!」

「狐の嫁入りですなぁ・・・ん?」

「なにしてるのよ!速く取り込みなさいジジイ!!」

「いや、この雨は変ですぞ?」

「は?・・・んん?」


 源太に言われて凪音も雨の不自然さに気が付く。

この雨は手を出しても水滴が手に当たらないし

洗濯物も一切濡れないのだ。


「?? え?なにこの現象・・・」

「ジジイも初めて経験しますぞ!

こんなこと!!」


 二人で首を傾げているときだった。


「凪音さん!」


 凪音が門の方に振り返るとそこには

コンが大粒の涙を流しながら立っていた。

服と手に持っているタオルケットは血で所々汚れている。


「大変!どうしたの!?」

「大丈夫かオイ!?」


 凪音と源太が洗濯物を放りだして

コンに駆け寄る。


「これ・・・見て」

「え?」


 コンがタオルケットを凪音に見せると

凪音が一瞬固まった。


「このタオルケット・・・」

「ここ見て・・・」

「!!!」


 タオルケットの『あまいり』と

書かれた部分を見せる。


「あたしの本当の名前は鈴音!!雨入鈴音!!!

おがあざんって!!よんでい゛い゛でずか!!!?」


 コンが凪音に抱き着いて大声で泣き叫ぶ。


「・・・落ち着いて、何があった話してみて?」


 凪音がコンの頭を優しく撫でる

少し落ち着いてからコンはゆっくり

起こった出来事を話し始める。


「とーちゃんと、かぁちゃんが・・・

あたしを育てたのは食べるためって言って

あたしの指を・・・・・切って・・・

食べ・・・・・グスっ」

「うん、わかったわ・・・手を見せて?」


 コンがすすり泣きながら切断された

小指を凪音に見せる。

 指がないと分かっていても実際に目に入ると

ぎょっとしてしまうものだ。

 でも血はもう止まっている。

魔族化で治癒力が異常に高い為である。


「・・・痛いね、中に入ろうか?」

「うん・・・」

「あ、その前に!」


 凪音が地面に膝を着いてギュッと抱きしめる。

もう二度と帰って来ないはずの子が突然戻ってきた。

まさか、コンちゃんが鈴音だったなんて・・・

実感は沸かないのにコンちゃんを鈴音として

迎え入れることに抵抗も違和感もなかった。

 もしかしたら心のどこかでこの子は鈴音だと

分かっていたのかもしれない。


・・・違うわね、ただ、そうだったらいいなって

思っていただけ。

 とにかく今は離れていた時間の距離を少しでも

埋めたくて、ギュウっと力いっぱい抱きしめた。


「お帰り、鈴音」

「・・・ッッッ!!~ッ!」


 鈴音もギュッと抱き返す。


「ただいまっ!ただいまッッ・・・!!」


 二人してボロボロ泣きながら思いっきりギュって

していた。

 あたしを受け入れてくれた温かさと

言いようのない寂しさがあたしの中で混ざり合っている。

 でも今日からあたしは鈴音になる

それに変わりはなかった。

 源太のジジイさんも目元が濡れてたけど

「雨だ」って言って認めようとしなかった。

 



 ―― 一月後 ――


 紅葉シーズンである。


「テルミン!いらっしゃい!!」

「その呼び方はやっぱりこそばゆいな・・・

指は大丈夫なのか?」

「うん!ほらもう元通り!!」


 輝也町長が雨入家を訪ねている。

鈴音の指はすっかり元の長さまで再生していた。

耳と尻尾の無い姿も馴染んできている

ように感じる。


「よぉ輝也、待ってたぜ」

「源太か・・・エプロンが似合わないぞ」

「うるせぇ!!お嬢様の手伝いしてんだよ!!

俺だって着たかねぇけど・・・」

「あたしが着せたの!きゃははは!!似合わなーい!!」


 バタバタと鈴音が台所に戻っていく。


「・・・苦労してるようだな」

「・・・わかって貰えて嬉しい」

「でもまんざらでもないんだろう?」

「へっどうだか。鈴音が居ると面倒だろ?

今お嬢様をこっちによこすよ、待ってろ」

「すまない」


 あの子、鈴音が雨入家に戻ってから

凪音には会っていない。

 当然謝罪をしなければならないし

したところで許されるつもりも無い。

 生涯をかけて償うつもりだ。

その覚悟を伝えに来た。

 源太はそのことを見抜いていたようだ。

 まさか心が通じる友が出来るとは

なにがあるか本当にわからないものだ。

 全てあの子、コン・・・鈴音のおかげだ。


「町長さん、丁度いい所に来たわねぇ」


 凪音が源太と入れ替わるようにして現れる。


「・・・聞いているだろうが12年前の誘拐事件を

手配したのは私だ、謝って済む問題ではないのはわかっている

許してくれとは言わない、ただ生涯をかけて償っていく

つもりだ、あなたの大切な人を奪い本当に申し訳ございません」


 輝也が深く頭を下げる。


 ガン!!


「グワ!?」


 輝也の頭に激痛が走る。

頭を上げて確認すると凪音の手には

トンカチが握られていた。


「おほほ、ごめんなさ~い♥手が滑ったわ」

「・・・貴方に殺されても文句は言えません」

「そうねぇ、私が町長を許すことはありませんよ

でも感謝はしているんです」

「感、謝・・・?」

「あの子、コンにとって晴斗君はかけがえのない存在に

なりました、あなたが手段を選ぶ男だったら

晴斗君はきっとコンと会うことがなかった

だからこそ感謝はしてるんです

いいお子さんに育ちましたね」

「それを言うなら貴方の鈴音も・・・」

「いいえ、コンを育てたのは私じゃないんです

ご存じでしょう?」

「でも、喰うために育てられたと・・・」

「おかーさん!早くぅ!!」


 鈴音が凪音を呼びに来た。


「まぁ、上がりなさいな町長さん!手伝いなさい!!」

「え?いったい何を・・・」

「いいからっ!!」

「は、ハイ!」


 輝也も台所に連れていかれてしまった。

 今現在、業務の僅かな休憩時間であるが

どうやらこのまま仕事に戻ることはできなさそうである。


「ところでコレってなに作ってるの??」

「スポンジよ」

「スポンジ!?あの食器洗う、マズいヤツ!?

なんだ、ガッカリ」

「いや、そのスポンジじゃねーよ」

「これはケーキのスポンジよ!」

「ケーキ?ってなに??」

「・・・食べれる食用スポンジよ」

「えぇ・・・マズそう・・・」

「お祝いの時にヒトはケーキを食べるものなのよ!」

「お祝いってなんの?」

「今日はコンちゃんの誕生日なのよ!」

「へー」

「この反応は誕生日をわかってないですぞお嬢様」

「面倒だから説明はいいわ!!さあ!みんなで

ケーキ作るぞー!!」


 凪音が拳を上に突き上げる。


「おー!!」

 

 一緒に拳を突き上げたのは鈴音だけだった。


「ノリの悪いあなた達は呪死の呪いかけておくわね」


「「おー!!」」


 二人とも血相を変えて拳を突き上げる。


「やっぱり男より女の方が強いんだね」

「そうよ、主導権握ってしまえば男なんて楽なもんよ」

「お嬢様、その英才教育やめてくださいまし!!」


 ―― 3時間後 ――


「おぉー!!!」


 コンが目をキラキラと輝かせる。

白い大きなホールケーキが完成した。

大きなイチゴをコンの耳に模してトッピング

した特性ケーキだ、特注したチョコの尻尾も

付けて完成である。


「コレはなかなかセンスがある」

「お嬢様随分このケーキに拘ってましたからなぁ」

「さぁ行くわよ!!」

「はい?」

「紅葉狩りよ」

「紅葉狩ってもたべられないよ?

変化には使えるけど」

「黙らっしゃいおバカさん」

「ムッキー!久々にバカって言われたぁ!!」

「ほら男衆!そのケーキを運びなさい!!」

「外でケーキっていうのはどうかと・・・」

「あ゛?」

「いえ、なんでもありません」


 輝也:戦意喪失(リタイア)


「お嬢()あ゛??」

「いえ、なんでもございません」


 源太:戦意喪失(リタイア)


「紅葉見ながらケーキ食べるわよ!!

あ、ケーキ落としたら殺すわよ?」


 ニヘラと凪音が笑った、トンカチを握りしめて。

男どもは「ガチの奴だ・・・」と震えた。

ガックしと肩を落として出発する男衆。

やはり哀れである。




「到着!!」

「おかーさん、ここは・・・」

「流石にここはやめた方がいいですぞ!」

「なぜここを選んだ?」


 鈴音の体が震えている。


「帰ろう?ね??」


 震える手で母の服を引っ張るが

聞き入れてもらえなかった。


「このお稲荷様の山が一番紅葉綺麗じゃないの

登るわよ」

「いやいや!お嬢様!!マズいですって!流石に!!」

「お願い帰ろうよ!おかーさん!!」


 鈴音は今にも泣きそうだ。


「大丈夫よ!大丈夫!!」

「何を根拠に言ってるのだ」

「以前ね、ニンゲンに化けた「かぁちゃん」に

あったことがあるのよ」

「へ?ホントに?かぁちゃんと・・・?」

「間違いないわ、コンちゃんのこと可愛いって

目をキラキラさせて言ってたわ

ほんとに、目に入れても痛くないってレベルだったと

思うわよ?」

「かぁちゃんが・・・?でも・・・」

「コンちゃんが鈴音って名乗った日、雨が降ってたわ

天気雨で当たっても濡れない不思議な雨」

「ああ、あの雨は不思議でしたなぁ」

「源太が言ったんだけど狐の嫁入りだったのよ

あの雨は」

「狐の嫁入り?」

「狐は嫁入りするときに天気雨を降らせるとう

言い伝えのようなものがある、濡れないということは

幻術だったんだろうな」

「なんでそんなこと・・・?」


 鈴音の疑問は深まるばかりだ。

その疑問に凪音は一言で答える。


「親心よ」

「親心?」

「ウツケ様が私にあったときにコンの

本当の親だと知った。

最終的に私たちと暮らす方があなたの

幸せだって結論をだしたのよ。

そして自分の娘を送り出す言葉の代わりに

雨を降らせたのよきっとね」

「そんなこと・・・」


「そんなことあるわ、だから言ってきなさい

『あたしはコンだ』って、子供には親が必要だけど

親にとっても子供は必要なのよ?」


「・・・わかった、でもあたし一人でいく!!」

「うん、いってらっしゃい、待ってるわ」


 少女が一人山に入っていくあの少女の名は

コンか、鈴音か。


「よかったのですか、お嬢様」

「子供が居なくなるっていうのがどういうものか

私が良く知ってるつもり。あんなに真っ直ぐな子に

育ててくれたんだもの、私と同じ思いをするべきではないわ

少し、いいえ、かなり悔しいけどあの子の親はお稲荷様なのよ」




 山を登っていつもの場所へ向かう。

震えつつも、いつもより強い足取りで。

 そうして『両親』が居るいつもの場所にやってきたのだ。


「・・・ッ!!コン・・・ちゃん」

「なんで戻ってきた?コン?」

「なんでって?言いたいことがあるからだよ」

「・・・なんでもいい、わざわざ喰われに戻ってきたんだ

今度は逃がさずに喰ってやる」

「コンちゃん?今度はどこからバラバラにして欲しい?」


 ウツケとタワケの舌なめずりに恐怖と緊張が増す。


 ダイジョブ、ダイジョブ、ダイジョブ!!

必死に自分に言い聞かせる。


「あたしは!!『雨入鈴音』じゃないッッ!!!」

「「え!?」」


 ウツケとタワケが視線を合わせる。


「もう何も知らない『コン』でもない!!」

「「は!?」」


「あたしは鈴音だけど、コンでもあるの!!」

「なにメチャクチャ言ってるんだよ!意味わからねぇ!!

エキノコックス移すぞ!!」

「そうよ!菌移すわよ!帰りなさい!!!」

「ねぇ、前に熊に追われてる時も言ってたよね。

知ってる?エキノコックスて菌じゃなくて

寄生虫なんだよ?」

「へぇ・・・いやいや!だからなんだ!!

お前を喰うだけだ!関係ねぇ!!」


 コンがその場に座り込んだ。


「な、なによ?ビビちゃって腰抜けたの?」

「食べれるなら食べてみてよ!」

「なんで出ていかねぇ!!さっさとどっかに行けよ!!」

「そうよ!目ざわりなのよ!!」

「目をキラキラさせてあたしの事可愛いって

凪音さんに言ったんだよね?」

「うっ!そ、それは演技よ!!」


 ウツケの反論を無視して

タワケに視線を向ける。


「とーちゃん、手紙読んでくれた?」

「いや、燃えちゃったよ・・・」

「読んでないんだ・・・酷い・・・」


 コンが顔を覆ってうずくまってしまう。


「わー!悪かった!!でも燃やしたのは・・・


タワケは思わず近くに寄っていく。


「クスクス、これから食べる相手に謝るんだ?」

「うっ!?」


 顔を上げたコンはしてやったりの笑顔だった。


「だ、騙しやがったなコンニャロー!!」

「先にあたしを騙したはそっちでしょ!!」


 二匹の態度をみて確信に変わる、おかーさんの言った通りだ。


「お前はもう普通のヒトとして生きていけ!!」

「お願いよ、コンちゃんの為なの、普通に生きなさい!」


「・・・とーちゃんが言ったんだよ」

「え、何を??」

「とーちゃんが言ったんだ!あたしは普通じゃないって!!

普通じゃないってことは特別な事だって!!

あたしは特別な幸せ者なんだ!!!

あたしはとーちゃんもかぁちゃんも大好きなんだよ!?

お願いだから・・・一緒に居てよ!!!!!」


 笑顔から一転して真面目な顏で思いを告げる。


「コン・・・」

「コンちゃん・・・」

「あなた方の子供がこんなに頼んでるんですよ?

聞いてあげないんですか?」

「うわ!?誰だお前!!」

「雨入凪音です、お稲荷様。

よろしくお願いしますね、お供え物も持ってきましたよ」

「え?いやいや、わざわざありがとうね!

悪いね気を使わせちゃって・・・じゃねぇだろっ!!」

「なんでここに来たんだお前!!」

「私がコンちゃんをここに差し向けたからですよ?」

「お前!自分の子供なんだぞ!!こんな危ない場所に!!」

「危なくありません、この子が育った場所ですよ?

この子はあなた達の子供です」

「育児放棄か!?お前の子供だっ!」

「まって!」


 言い合いを止めたのはコンだった。


「ん!ポォン!!」


 服は現代風の服装のまま

コンに尻尾と耳が付く。


「おかーさんがあたしを生んでくれた

とーちゃんとかぁちゃんがあたしを育ててくれた

どっちもあたしにとって大切な親なの。

あたしがどれだけ大きくなったって、年を取ったって

ずっと、ずぅッッッと!あなた達の子供だよ」


 一呼吸置いてコンが続ける。


「親が3人もいるなんてあたしはやっぱり特別だね!

あたしは鈴音コン!決~まり!!」


 恥ずかしそうに後ろに手を組んでもう一言

付け加える。


「あたしを愛してくれてありがとう」


 一瞬の静寂が道を通る。


「・・・あれ?なんで泣いてるのよ凪音さん」

「あなたもですよ?ウツケ様!」

「とーちゃん!手紙にはね、世界一カッコイイ

とーちゃん大好きって書いてあったんだよ!」

「え!?本心か!!?」

「うん!ずっと言い出せなくて手紙書いたの

でも直接言ったほうがいいよね!

とーちゃんカッコイイ大好き!!」


 コンがタワケにギュッと抱き着くと

金の尻尾が頭を撫でてくれる。


「うぅ、コンが俺にそんなこと思ってたなんて・・・」

「きゃはは!とーちゃんも泣いちゃった!!」

「お前も泣いてるぞ!?」

「え?ウッソ!あぁ!!ほんとだ!!」


 そうなんだ、嬉しい時にも涙ってでるものなんだね。


「おーい、お嬢さ・・・」

「なんだこの状況は・・・」


 ケーキ輸送部隊は非常に困惑した、目的地に着いたら

二人と二匹が泣きながら抱き合っているのだ。


「あ!テルミンに源太ジジイさん!来て来て!!

おかーさんも!!!」


 コンが紅葉をかき集めてニンゲン組を集める。


「動かないでよ!!んんん~!!ポポポポーン!!!!」


 ぶわっと葉っぱを巻き上げてる。

それぞれお互いの姿を確認すると皆に尻尾と耳が付いていた。


 みんながお互いを指さして笑い始める。


「あははは!!!似合わねぇぞお前!!」

「ククク、ひ、ヒトの事言えないだろう!!」

「私も似合ってないわよ!!

あはは!あなた達ほどじゃないけどねぇ!!」


「これでみんなお揃い!!ねぇ!ケーキ食べてみようよ!!

食用スポンジのケーキ!!」

「そうね!みんなで食べましょ!お稲荷様もほら!!」

「・・・仕方ないから食ってやるか!食用?ケーキとやら!!」

「前のクッキーも美味しかったものねぇ!楽しみ!」


 ケーキ輸送隊は箱からケーキを取り出しお披露目すると

ウツケとタワケが「おぉ~」と唸った。


「今日はコンちゃんの誕生日なんですよ!」

「なに!?ホントか!?」

「えぇ、だから今日を選んだんです」

「コンちゃんおめでとう!今日で13歳ね!!」


 凪音がろうそくに火を点ける。

「コレを吹き消すのよ!」

「うん!!」


 あたしは幸せ者だ、でもあたしの周りのヒトもみんな

笑ってくれている、みんなも今幸せなのかな?

 だったらあたしは色んなヒトを幸せに

できているのかもしれない。

 いつか、晴斗と一緒に世界中のヒトに

幸せをまき散らしてみたい。

 そうでありたいと、ただ願った。


「「「「「ハッピバースデイ・ディア・コーン♪

ハッピバースデイ・トゥーユー!!」」」」」


 秋晴れの下、美しい紅葉の山の中。

狐とキツネの耳の尻尾と耳を付けた変人たち

みんなが笑ったり泣いたりなんとも騒がしい日だ。

 



 狐につつまれて幸せそうな少女は

ろうそくの火を消すために

大きく息を吸い込んだ――――――――





~狐につつまれて~

    

    完














































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































 ―― クビクニ ノアの結界付近 ――


「きゃははは!!」

「くっそぉ!!獣人モドキが

チョコマカとぉぉぉ!!」

「ここまでおいで~あっかんべぇぇぇ!!!」

「あぁあ!!もう許さないんだからッ!!」


 緑の服に金髪ポニーテールの少女の背中から

天使のような翼がバサッと生えた。


「うわマジ!?変形した!きゃはは!ウケる!!」

「調子に乗るなァァァ!!!」


翼の少女が槍のような刀のような奇妙な

武器を持って上空から突進してくる。


「激ヤバ!」


 学生服の中から葉っぱを取り出して

葉っぱを武器に変化させる。


「狐に金棒!!激おこぷんぷん丸!!」


 葉っぱがトゲトゲの金棒に変化して防御態勢に入る。

ガァァァアアァン!!

 素直に突っ込んできた得体の知れない武器を

トゲ金棒で受け止める。


 お互いのパワーはほぼ互角か

お互い鍔迫り合いのような体制で止まった。


「だいたいなによ!!そのアンタの胸!!

牛かよ!!言っとくけどチャルに色仕掛けとか

効かないからっ!!無駄だから!!!何食ったら

そんな胸になんの!?理解不能なんですけどぉ~??

あ~あ!やってらんねーわ!!ぺッ!ぺッ!!」

「うわ!止めてよ!マジで汚い!!あんたは逆に

なに食ったらそんな断崖絶壁になるの!?」

「今私ん胸のことなんつったぁぁぁあぁ!!!」


 翼の少女が地面をダンッ!と踏みつけると

足元の地面が鋭利な針となってこちらに向かってきた。


「うっ!?」


 相手の武器を弾き瞬時に後ろに飛び退いて回避した。


「あたしはまだ成長途中なんだよ!!

まだこれからデカくなるんだよ!!

まだまだメロンの芽が出てないだけだからッ!!」

「今何歳なのぉ~?」

「ピッチピチの17よ!!

なんだったら永遠の17よ!!」

「きゃはは、あたしまだ16なんだけどぉ??

ん??どんな気持ち??ねぇ?今どんな気持ちぃ???」

「ウガァァァアアアアア!!!!!ぶっ殺す!!」


 翼の少女がその場で地団太を踏むと地面から

土塊の大砲が現れた。


「死にさらせぇぇぇ!!!ヘルファイアじゃぁぁ!!」


 ズドォン!!!


 土塊大砲から砲弾が放たれる。

衝撃で大砲も粉々になった、あくまで

強度は頑丈な土塊程度のようだ。


 激おこぷんぷん丸を投げ捨てて次の

武器を作る。


「目指せ人生の逆転満塁ホームラン!!

チョー・ベリー・バット!!」


 有刺鉄線グルグル巻きの金属バットが

作られた。


「ヘイ!砲弾ビビってる!

ヘイ!ヘイ!ヘイェェェイ!!」


ガッコォォォン!!


 ノリノリで砲弾をバットで打ち返す。


「嘘ぉ!?そんなノリでこの技返すの!?

チッ!オラァ!!」


 翼の少女は返って来た砲弾を両断する

相手も魔族、砲弾の切断程度は予測簡単である

隙が出来る瞬間を予測していればその隙を

狙うのは簡単だ。


「狐火、ムカ着火ファイアー!!」

「!?」


 翼の少女はバランスボールほどの大きさの

火球を武器で縦に割り、それとほぼ同時に翼を

全力で一回羽ばたき後ろに大きく飛び脱出した。


「わぉ!器用な逃げ方!!」

「ッ!面倒な相手ぇ!ムカツク!!」

「きゃはは!おこなの?ねぇおこなの??」

「舐めてると・・・」


 翼の少女が前傾姿勢気味に走り出すと

一歩踏み込むごとに地面が針になって

襲ってくる。


「うわわわわ!!」

右に左に、前後左右にステップしまくって

一本一本躱していく。

 何本かは服や肌を掠めて制服に血がジワリと滲む。


「痛い目見るよ」


 ステップして針を回避したタイミングで

真横から相手の声が聞こえた。

 胴体を真っ二つにする斬撃が飛んでくる。


 この斬撃、殺意パねぇ!!


 尻尾で相手の武器を叩き斬撃の軌道を下にずらして

対処するも左足のふくらはぎがバックり斬られてしまう。

 当たり前だが多量の血が噴き出す。


 切断まで行かなくてマジでラッキー・・・

相手の追撃が来ないようにしないと!


「狐火、カム着火インフェルノォォォウ!!」


 真下に軽車両サイズの火球を叩きつけて大爆発を

引き起こす、辺り一帯を焼き払ってしまうが仕方ない。

 この威力なら相手も無事では済まないだろう。


「おいおいおいおい、環境破壊は感心しねぇぞ

エセ狐さ~ん?」

「そんな!分断したはずなのに!?」


 空中に水色のコートの男が羽も無いのに

フワフワ浮かんでいる。

 一帯を焼き払う炎はどこも燃やしていない

あの男にかき消されたのだ。

 翼の少女はその男にお姫様抱っこされていた。


「きゃー♪チャルゥ~!怖かったよぉぉ!!」


 翼の少女が男にほっぺたをスリスリしている。


「うおぉ・・・マジかアイツ、ないわ~・・・」

「ちょっとソコ!ドン引きすんなぁ!!」

「邪魔」

「あ!」


 男が翼の少女を空中でポイ捨てする。


 ドスン!!


「いったぁぁぁい!!酷い!チャル!!

乙女を投げ捨てるなんてぇ!!」

「うっせぇ、さっさと駆逐しちまうぞ

あっちいけ、しっし」

「うぅ、チャルが言うなら・・・

料理作って待ってる・・・」

「よし、一緒に戦おう!料理しなくていい!!」


 チャルと呼ばれている男が料理のワードを聞いて

血相を変えて引き留めた。

 この態度の豹変ぶりから察するとよっぽどなのだろう。


「レンは他のヤツ集めてきてくれ、その間に俺がやる」

「あい!了ー解!!」


 レンと呼ばれた少女は敬礼して颯爽と飛び去って行った。


「・・・さて、ずっと気になってたんだ

首から下げてるその鱗のヤツ」

「・・・これは、お守りとーちゃんとかぁちゃんから

貰ったもの!ガチで大切なの!あげないよ!!」

「いいさ、欲しいもんは奪うのが一番早ぇべ?」


 チャルが空中に辞書のような本を

召喚して手を突っ込む。


「ネクロノミコン・・・っ!?」

「そうだ、自己紹介がまだったな

俺はカルマだ、よろしくな」

「・・・コン、鈴音コン」

「おう、お前が死ぬまでは覚えておいてやる」


 カルマが本から手を引っこ抜くと剣が握られている

剣を取り出したら本は消えてしまった。


「どっこらしょ」


ドボッ!!


「ぐぶ・・・」


 一瞬で間合いを詰められて膝蹴りを

腹部に入れられた。


「あれまぁ?痛かったかな?」

「うぐ・・・妖刀、マジ卍!!」

 

 不意打ちでカルマの腕を斬り落とした。


「いてぇぇ!!何するんだよ!!暴力反対!」

「ウゼェよ!先に手を出したのはそっちじゃん!?」


 切断したカルマの腕が既にくっついている。

この再生速度はかなり上位の魔族だ。


 あたしの剣術じゃ絶対に勝てない。


「・・・」


 コンの体が淡く青い光を纏い始める。


「・・・!退魔の魔力!

お前純粋な魔族じゃねぇのか!」

蒼火(そうか)、狐花火!!」


 コンから放たれた蒼い火球は

竜の姿になりカルマに大口を開いて向かっていく。


「おいおい、僕ちゃまに青い竜差し

向けるって嫌味かよ」


 蒼い竜がカルマを丸飲みにして上空へ

運んでいく

 グングン高度を上げて遥か上空で花火のような

大爆発をした。


「はぁ、はぁ、どうだ・・・

割とガチめに効いたっしょ?」

「おー、びっくりしたした、効く効く」


 背後だ、後ろからカルマの声がした。

退魔の魔力は魔族に最も有効な・・・


「俺ってば純粋な魔族だけど

退魔の魔力の効果薄いんだわ、

残念でちたね~♥」


 今度は蹴りではなく剣が振り下ろされる

避ける体力はない。

 半分魔族のコンは退魔の魔力のダメージを

自身も負うことになるのだ。


「判決を下す 鈴音コン、死刑」


 振り下ろされた剣はカルマを背中を大きく裂いた。


「ゲブ!?」

「コン!大丈夫かい!?」


 白髪の大剣を握った少年が間一髪で

コンを救出したのだ。


「晴斗ぉ!!助かった!!激アツ!!

キュン死にしそう!!」

「くわ~っ!!いいところで邪魔が入ったのぉ~!!」


 カルマがムクリと起き上がる。


「まぁいいぜ?二人相手でも」


 剣を持っていないカルマの左手にビキビキと

氷の剣が作られていく。

 右手の剣は肩に、左手の剣は逆手に持つ。


「来いよゴミ共、遊んでやるよ」

 

 相手の気迫が数段階増す。

肩に重りが乗せられてるような重圧感。

 二人がかりでも勝てないかもしれない。


「まずソッチの白いヤツからな」


 まるでワープでもしたかのように

カルマは晴斗の目の前にいた。 


 バチン!!!


「「「!?」」」


 カルマが晴斗に攻撃しようとした直後

空間に亀裂が入る。


「・・・確定だ、晴斗は天使だな」


 カルマがぼそりと呟いたが

誰にも聞こえなかった。


 空間の亀裂から細身で眼鏡の男性が出てくる。


「ひゃははははは!!次はこの異世界かぁ!?」

「なにコイツ・・・登場がイミフすぎる!」

「んん?丁度ヒトが居るところに出るとは

俺様流石!日頃の行いが大変よろしい!!」

「どうせロクな奴じゃねぇだろ?」


 カルマが眼鏡男に切りかかる。


「遅ぇ!!」


 カルマは顔面を殴られて遥か

彼方まで飛ばされて言った。

 カルマが一撃で退場したことで察する

何があっても勝ち目も逃げる隙もないことに。


「俺様はラグナ様な、よろしゅう」

「何者・・・なの?」

「俺様は異世界を渡り歩いてその世界を滅ぼすのが

趣味なんだ・・・たまんねぇぞぉ?」

「ッッ!?」


 ジトリとした目線を向けられただけで

金縛りにあったかのように体が動かなくなる。


「とりあえず、殺したくてうずうずしてんだ

女ぁ、お前から死ね」


 ビュンビュンビュン!ガン!!


「あだっ!」


 どこからか薄茶色の毛玉が飛んできて

ラグナに直撃する。


「誰だ妙な毛玉投げてきや

がったのは!?」


 飛んできた毛玉がもぞもぞ動き

顏が見えた。


「ね、ネコ?」

「さっきぶっ飛ばしたヤツの方向から飛んできたぞ

こいつを投げつけてきやがったのか!?」


 ガタイのいい猫が不機嫌な顏でラグナを

下から上に引っ掻いた。


 雷の柱が発生しラグナを中に閉じ込める。


「!? ふふ、ネコ風情にしちゃぁやるじゃないか」


 ラグナにダメージが通っている様子はない。


「死ね!クソネコっ!」


 ボムン!


「「え!?」」

「へぇ・・・!」


 猫が人の姿に変身して

ラグナの拳を片手で止めた。


「へぇ!面白ぇ!!俺様の攻撃を

止めるたぁ!!ちょっと覗いてみるかぁ?

おっと、説明してやろうか!!

これはお前の能力を数字化して認識する

能力だ!!限界は各ステータス999だが

俺様は固有スキル限界突破により全ての

ステータスが2000を超えている!!

800のステータスが一つあれば星が破壊できる

と言われている!!実際に俺が破壊した異世界は

1000を超えているのだッ!!!

この2000という数字が

どれだけ恐ろしいものか分かったかぁ!?

俺を異世界に転生させた女神も!!

最後は泣いて俺に縋り付いて命乞いしてきた!!

あの表情・・・たまんねぇ、たまんねぇよ・・・

あぁもう一度あの女神を殺したい・・・」


 ラグナがうっとりした顏をしていると


「話長い、なんかするなら早くしろよ」


 猫人間がせっつく


「ひゃは♪いいだろう・・・その表情が恐怖に染まる

瞬間がたのしみだぁ!!!!!ひゃははは!!

ステータスリーディングっ!!」


対象名:キャラメル・メルト 

種族名:イエネコ(雑種)


攻撃力:0

防御力:0

魔力 :0

移動 :0

反応 :0


属性 :火、雷

スキル:なし


状態変化:無気力


0!ん?0っておかしいだろ

さっきの攻撃は200はあっただろ?

ん?状態異常無気力?それで0なのかチッ!


「おい、俺様を一撃だけ攻撃させてやる

なんかやれ」

「はいよ・・・」


 猫人間欠伸しつつデコピンの構え。


「いや舐めんなよ!!デコピンじゃ0に

変わらな・・・・

いち、じゅう、ひゃく、せん、まん、ひゃくまん

せんまん、おく・・・・ん?

二億?え?デコピンで??

無気力状態で?え?うそだよね?

うそだよ、システムバグってんよ

いやだねーまったくよぉ・・・

こんなときによぉ、バグんなくてもさぁ・・・」

「どうした、顏真っ青になったぞ?

いいんだろデコピンして」

「まって、待って下さい、さっきお前の攻撃は?」

「さっきのは攻撃じゃねぇよ、威嚇だ」

「威嚇で200?国消し飛ばせる数字なんだけど」

「あ?あんなんで国が消し飛ぶわけないだろ」


 吹き飛ばされたカルマがテコテコ歩いてきた。


「え?お前怪我してないのか!?」

「ん?魔族は直ぐ治る、コンと晴斗は・・・

やっぱ無事か、晴斗、お前天使だぞ、気を付けな」

「え?天使って一体・・・」

「げっ!?あの蒼いヤツステータスが

平均5000越え・・・」


 開いた口が塞がらないラグナに

カルマが語り掛ける。


「なに驚いてんだよ、お前が見てきた世界が

小さかっただけだよ」

「そんなばかな!!」

「なんで異世界から来たお前が

俺達の言葉を理解できる?」

「は?」

「なんで違う空間にある世界にウサギとかキツネとか

イヌとかネコとかハシビロコウとか

タスマニアデビルとかウォンバットとか・・・

同じ姿の生き物が居ると思う?」

「??」

「正解はどの世界も『地球』って星をベースに

作られた世界だから」

「地球?それがなんだってんだよ!」

「お前が渡り歩いてた世界は恐らくこの星

星母マリアの影響下の世界だってこと

お前は狭い世界でイキってるだけなんだよ」

「んなわけあるか!俺様は神共も虐殺してきた!

俺様は最強無敵の男!!」

「このマリアって星は宇宙外生命体が作った星だ

ここの生き物もな、宇宙の中の常識が効くと思うな」

「く、クソォ!この星ごとお前たちを

滅ぼしてやる!!!死ねぇぇ!」

「無理だよ、普通の惑星砕く程度じゃ

クレーター作るので精一杯だ、おい」

「あいよ」

「うおぉぉぉぉぉぉぉ!殺すぅぅぅ!!」


 ピンッ

 猫のデコピンがラグナに当たると

ラグナは眼鏡も肉片も残らず消滅した。


「さてっと・・・なあ、コンだっけ?

晴斗を差し出せば命だけは

助けてやらんこともない的な?」

「い、いやだ!!」

「じゃあそのお守りごと殺して

奪うとしようかねぇ!!」

「やっと逢えたんだ!!

つないだ手は放したくない!!

もう一発!蒼火、狐 

・・・よっ!なんだよ下には何もないからブラウザバックって

書いてあっただろ?

もしかして評価を付けに来てくれたとか?

そうだとしたら、わざわざありがとよ。

評価ポイントが入りゃこのポンコツ作者も

やる気出るだろうから俺からしたら

願ったり叶ったりだ。


俺は、そうだなこのポンコツ作者のもう一つの人格ってところだな。

あ、言っておくが閲覧数の水増しはしてねぇぞ

やる意味ねぇからな。

あと俺のことはこのポンコツ作者は認識できない。


せっかくだから説明しておくか。

俺は星母マリアで魂を砕かれたはずなんだけど

何故かこのポンコツ作者の中で魂が再生したんだよ

なんで地球に飛ばされて再生したか理由はなんとなく

わかるんだが・・・

あ、異世界転生のキーワード入れたのは俺な!

俺が異世界転生してるから入れておいた。

次回作からはこのワード入れるのやめておくよ。


あと一回俺が後書き書いてるんだぜ!「絶対にみないでくれよな!!」が

無い後書きがそうだぜ!晴斗の病気について書いたやつだな。

あいつ晴斗の獣化症までは覗けなかったんだよな~・・・

ホントポンコツ。

もっと別の人間の中に転生したかった・・・


俺が異世界転生してから千里眼みたいな

能力が身についててよ。

星母マリアのどの場所もどの時間も覗く能力だ。

あんまり詳しくは覗けないんだけどな。



俺のこの能力は本体の人格、この作者も使用しているんだ。

こいつに本来物語を練るだけの発想はないけど

俺の能力を使って覗いた世界を自分で考えた物語だと

思ってる。

・・・ただよくわからないのが俺が覗く世界とコイツが

覗く世界に微妙なズレがある事なんだよなぁ。


例えば、コンはカルマと出会うことはなかったんだけど

でもコイツが覗いた時はカルマと出会ってる。

俺は転生前カルマとずっと一緒に居たから分かる

出会ってないんだコンって女とは。

俺が覗いた世界じゃ、コンは結界を出た後に

ラースって山賊に捕まって10年以上オモチャにされて

世界を呪いながら衰弱死していった。

これが本来の正しい結末。


何かが原因で世界の出来事が

書き変わってるみたいなんだよ。

この世界のズレの原因を今は探してるんだけど・・・

まだわからねぇや。


それとは別に俺の目的達成には人を集める必要があるから

良かったらこのポンコツ作者の次回作もみてやってくれよ。

「魔王の花」な。


あ、ポンコツ作者が明かし忘れたことがあったな

この「狐につつまれて」のテーマは「親心」だとよ。

とても一貫してるとは言い難かったけどなぁ・・・


はぁ、先が思いやられる、目的を達成するのは

難しそうだ・・・

落ち込んでも仕方ないか・・・


そのうちどこかの後書きでまた会えるかもな。

ここまで来てくれてありがとうよ!作者に変わって

この俺『罪』がお礼を申し上げるぜ!!


じゃっ、またな!!!

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