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25話 生児の齢を数える

友達編が今回で終わりだと言ったな?

アレは嘘だ!!

嘘つきガチ勢なのでカンベンおなしゃっす!!

あと4話で最終回!コレは絶対だ!!

コレは絶対だぞ!・・・多分

絶対だからな!!・・・きっと


それはそうとこの前うっかり空の弁当箱の上に座っちゃって

弁当箱割っちゃたんですよ。

だめだわ、尻に敷いて壊れるようなオンボロは。

いいわもう、ハズキルーペに買い替えるわ、尻に敷いても大丈夫だもん。

CMで使った中古のでいいよ、女性が尻に敷いたやつ。

買うわ、言い値で買ってやるよ!!

買わせてください、いくらですか!?

売って下さい!!お願いします!なんでもしますから!!!

 一定の間隔で機械の音が部屋に広がり続ける。。

すっかり日が暮れてしまった、もう戻らないと。


「じゃあね、晴斗」


 口と鼻を覆う半透明のマスクを付けた晴斗は

あたしの声に反応しない。

 晴斗の代わりに機械音のピッピっという音が返事をしているように

感じる、あたしが聞きたいのは機械の音じゃなくて晴斗の声なのに。


「コンちゃん、気を付けて帰ってね、晴斗君いつでもコンちゃんの事

待ってるからまた来てあげて」

 

 いつも晴斗の面倒を見ている看護師がコンに手を振る

寂しそうな笑顔を見ると胸の奥が切なくなる。

 あたしに出来ることは何にもない、晴斗はあたしを助けてくれたのに

あたしは晴斗を助けてあげることができない。無力だ。

 うつむいたまま部屋を出ようとしたら輝也さんが入ってきた。


「やあ、いつも晴斗を見舞いに来てくれてありがとう」

「晴斗・・・いつ起きる?」


 我ながらバカな質問をしてしまった。

だってもう・・・


「今日で、三か月も晴斗は寝たまんまだな、いつ起きるのだろうね」

「・・・ごめんなさい、輝也さんが一番心配してるよね」


 輝也さんはすっかりやつれている。

頬がこけて顔色が悪くなった。ロクに眠れもしないのか

目の下にはクマがずっとある。


「三か月前、君たちが晴斗を焼肉に連れて行ってくれて本当によかったよ

最後に楽しい思い出を作ってあげることができたし・・・

なにより、『父さんの良い笑顔を初めて見た』って言ってくれたんだ

君たちには感謝してもしきれない・・・ありがとう」


 晴斗の眠るベッドに腰を掛けた輝也さんは晴斗の

顔を見て動きを止めた。


「また、明日来るね」

「ああ、頼むよ」


 こっちを見ないで返事をした輝也さんの顏から

液体が零れ落ちたような気がする、きっと気のせいではない

 その時に頭にある言葉が浮かんできた。

いや、浮かんできてしまった。


「・・・魔族化」


 死にゆくはずだったあたしが今ここに居られる理由。

あたしが友達を殺そうとした原因。

あたしを殺そうとした熊。

あたしの中にいる虫。

その虫はどこに居るの?

 きっととーちゃんとかぁちゃんは知ってる、だって

あたしを魔族化させた張本人だんもん。

危険な賭けだってわかってる

最悪、晴斗に手を掛けなければならなくなること。 

晴斗の手を血で汚す結果になってしまう可能性。

きっと、高くはない成功率。

 でも・・・それでも。


「輝也さん、魔族化って知ってる?」

「・・・なにを」

「あたしはヒトじゃない化け物、魔族なの」

「!? どういう・・・」

「あたしは元々ヒトだったけど

魔族化することで命が助かったんだよ」

「まさか・・・」

「あたしが、あたしが晴斗を魔族化させる!!!」

「君は一体・・・」

「・・・ん、ポォン!!」


 ボフンとコンの姿が変わる、銀の尻尾に金の耳。


「あたしは、お稲荷様の山のコン、魔族に育てられた子」

「お稲荷様の・・・そんな!! コン、君の歳は!?」

「12歳」

「・・・・・・・・・!!!」


 輝也に衝撃が走る。

金銭目的に引き起こした12年前の誘拐事件。

 今、その業と向き合うことになるとは。

よりにもよって晴斗の何より大切に思っている友人だとは。


「私は、なんてことを・・・」

「輝也さん?」

「すまない・・・」

「なんのこと?」

「いずれ話す、償いもする、到底許されることではないが・・・」

「そ。あたしの中には寄生虫がいるの、その虫が魔族化の原因

もしかしたら心が魔族に飲まれちゃうかもしれない。

そうなったら、晴斗を今度はあたしの意志で殺さなきゃ

いけなくなるかもしれない。そうなったら責任は取る!

だからお願い、晴斗をあたしと同じ化け物にさせて!!」

「・・・何が化け物なものか、私の方がよっぽど化け物だ

君はヒトだ、本当の化け物は私の心だ・・・

どんな結末になろうと私は受け入れる、晴斗を頼むッ・・・!!」


 深々と輝也は頭を下げた、一呼吸おいてコンが返事をする。


「うん!行ってくる!!!」




「はぁ!?晴斗を魔族化させる!?」

「コンちゃん!それはダメよ!!何を言ってるかわかってるの!?」


 とーちゃん、かぁちゃんの反応は当然だ。

だって友達に虫を寄生させようというのだから。

 でも可能性があるなら縋るに決まってるでしょ?


「いいかコン!お前はまだ赤ん坊だった!

心が完全に出来てない状態だったから!だから魔族になっても

魔族としての心を上書きできたんだ!!」

「そうよ!それでさえも奇跡と呼べる出来事だわ!

アナタは友達の心を汚すことになる!」

「わかってるよ!全部わかってる!!晴斗を・・・今度は

自分の意志で殺さなきゃならなくなる可能性も、あたしや

輝也さん、病院のヒト達を晴斗が殺すかもしれない事も

あたしなりに理解してるつもり、だからお願いその虫がいる場所を教えて」

「・・・だからって、ハイそうですかとはいかなわ!」

「ねぇ、あたしの心がまだ完全じゃなかったからって言ったよね?

完全な心ってなに?自分の意志を曲げないこと?

間違った選択をしないこと?

ヒトの想いって思ったより簡単に変わるよ

辛いとき、楽しいとき、苦しいとき、幸せなとき

コロコロ変わるものって完全とは違うと思うんだ」

「違う、そういう意味で言ったんじゃない」

「お酒を飲んで敵意を向けてたヒトと打ち解けるヒトを見た

弱い者を見下して、いじめて満足するヒトをみた

それを謝れって怒ってくれるヒトをみた

みんな違うの、だから完全な心なんてない!!

やらないと後悔する!輝也さんと約束もしてきた!!」

「いくらコンの頼みでもこればかりは・・・」

「それがあなたの心?どんな結末が待っていてもやるの?」

「ちょ、ウツケ!何言ってるんだよ!」

「タワケは黙ってなさいな!!」


 銀の尻尾がタワケの顔面ぶん殴る。


「あいたぁ!」

「どうなの?友達を殺す覚悟はある?」

「ない、ないけど、そうなったら晴斗の為にもちゃんと・・・」


 ウツケがため息をこぼす。


「あなた、人里に降りるようになってから変わった・・・

いえ、成長したのね」


 ウツケの静かな笑みにはあたしのことを

少し寂しそうに見つめる目があった。


「タワケ、行きましょう」

「へ?行くって??」

「ノアの結界の端っこよ」

「!? 虫探しか!?何言ってるだよ!晴斗は心を飲まれるんだぞ!」

「その時は私たちが手伝いましょう、あの子の友達の命を奪うこと」

「珍しいね、こういう時はとーちゃんがあたしの味方になるのに」

「そうね、あなたはもう自分の意志でやりたいことをやれるように

なったって、ちゃんと分かったから」

「ウツケ・・・わかったよ!付き合う!!おら、コン!背中乗れ!!」

「いいの?」

「おう!子供の想いを叶える為の準備も親の責務ってもんだ!!」

「ありがとう!」


 コンが背中に飛び乗ると「よし」と言ってグンっと加速した。


―― 10時間後、休憩中 ――


「あれ?かぁちゃんあたしのタオルケット持ってきてくれたんだ」

「そうよ、あたし達でも丸一日掛かっちゃう距離なのよ

だから持ってきたの」

「そうなんだ・・・ねぇ、あたし凪音さんのとこで3か月ちゃんと

勉強したから文字読めるようになったんだ、少しだけど」

「それがどうしたの?」

「・・・かぁちゃん、あたしにかけてる幻術解いて?」

「!?・・・気が付いてたのね」

「うん、字が読めるようになってからそのタオルケットの文字が

なくなったから、かぁちゃんの幻術だって思った」

「・・・いいわ、もう知る権利はあるものね」


 ウツケが尻尾でコンの顏を撫でると

消えていたタオルケットの文字が現れた。


 タオルケットの隅にひらがなで

「あまいり・・・雨入って、凪音さんの・・・え?だって・・・」

「ちゃんと話していなかったけどアナタは赤ん坊の頃に誘拐されて

その誘拐犯達が逃げ込んだのがお稲荷山だった」

「そんな・・・じゃああたしは・・・」


「本当のアナタの名前は『 雨入 鈴音 』 」


現在登場しているキャラクターで一番強いのはポメランです。

タワケ&ウツケよりも強いです。


え!?晴斗の病名とな!???

あ~・・・えーっとぉ・・・

こ、この世界特有の病気でぇっす!!(なんの病なのか設定がないなんて

口が裂けても言えない!!!)


じ、次回「狐につつまれて26話」「今度こそ『一期一会』あとCMで使ったハズキルーペ買いたいです」

みんな!絶対にみないでくれよな!!

今度は絶対だから!絶対に友達編終わるから!後4話で最終回だから!!

終わる終わる詐欺したとしても1話延長程度だから!!!

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