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24話 好事魔無し

前回後書きを書き忘れたけどまぁいいか。

今回はちゃんと書くぜ!


案の定、前話の閲覧数半数以下のガタ落ち祭り

恒例行事かな?まぁしゃーなし、しゃーなし。


もしも最初から続けてみてくれている人がいたら本当にありがとうございます。

恐らくあと5話かそこらで完結します、あと少しなので

もうちょっと付き合ってくださいね!

せっかくここまで見てくれたならいいじゃないですか

結末を見届けてくださいよ、お願いしますね(笑)



 空が薄暗くなり始めた時刻に焼肉店にて

病院での騒ぎに関わった5名がテーブルを囲って

座っている。メンバーは 

凪音 源太 コン 晴斗 太った看護師 だ。

 あとでもう一人くる予定だが先に焼き始めている。

 因みに晴斗と源太は車椅子である。

半個室状のスペースは車椅子でも

余裕を持って行き来できるように設計してあるため

障害者でも肩身の狭い思いをしなくても済む設計になっている。

 また店内には段差がほぼない、所謂(いわゆる)バリアフリー化がされているのだ。

 この町にこういった障害者を意識している部分は多くそれは

これは現町長が推し進めている『誰でも暮らしやすい町作り計画』の

一環である。


 じゅぅぅぅ!

 網の上の肉が音を立ててみるみる色が変化して行く、それに伴い

肉が香ばしい匂いを辺りに振り撒く。


「わぁ!いい匂い!!」


 コンが自分の頭を撫でながら体を乗り出して

スンスン肉の匂いを楽しんでいる。

 頭を撫でているの入店時にはしゃぎ過ぎて源太と凪音に

拳骨をお見舞いされたからである。

 太った看護師は「やり過ぎじゃね!?」とコンを心配したが

 凪音は笑顔で「この子超おバカなの、体で教えた方が早いわ」

と満面の笑みで答えたのだ。

 その笑みに深い闇を見た太った看護師はそれ以上なにも言わなかった。


「焼きあがったわよ、ほらコンちゃん」


 凪音がタレの入った小皿に焼きあがった肉を入れてあげると

嬉しそうな顏でコンは隣の席に焼きあがった肉を渡す。


「晴斗!ホラ焼けたって!!食べて!!」

「あ!ありがとう!」


 晴斗が口に肉が運ばれていくのをコンがガン見している

超至近距離である。


「アハハ!そんなに穴が開くほど見てたら食いにくいだろ!」


 太った看護師が笑いながら指摘した。


「あ!ゴメンね!おいしそうだったからつい・・・」

「まず自分から食べればいいのに・・・」

「いいじゃん!晴斗に一番に食べて貰いたかったの!!」

「おや、まさか晴斗に惚れたのですかな最近の子供はませて

いますなぁ」

「あら?デリカシー無いのね、これだからお年寄りはねぇ、源太?」

「あ・・・も、もしかしてこの流れ・・・」

「みんなー!今日はこの源太の奢りよ!!

ジャンジャン注文してちょうだい!」

「お嬢様ぁ!?この高級店で給与0の爺やに

金をださせるおつもりかっ!?」

「ゴチになりや~っす!すいませーん!ビールおかわりと厚切り牛タン

10人前!!」

「おい、看護師コラデブ遠慮しろよ、なんだ10人前て

これ一人前5000円もすんじゃねーか、5人しかいないんだぞ?」

「大丈夫だよ!これ私一人分!」

「待って待って、耳が腐ったかも、え?なに

一人分とか聞こえたんだけどそんな訳ないないよね

聞き違いに決まってるよね?」

「あはは!(スイ)」

「おい、こっちを見ろ、俺の目を見ろ

虐待か?金銭的虐待か?」

「きゃはは!とーちゃんとかぁちゃんが似たやり取りしてた!」

「ほら、晴斗君も遠慮しないで!ほらメニュー表!!」

「あ、ありがとうございます。でもやっぱ悪いですよ」

「ちゃんと食べないと体弱くなっちゃうよ!選んで晴斗!

あたしも一緒に同じの食べる!」

「コンちゃんはお店に来ること自体初めてだものねぇ」

「ほら、晴斗君が選ばないとコンちゃんが食べれないわよ!」

「あー・・・」

「ビールお持ちしました~!」

「は~い!私、私!」

「厚切り牛タン10人前お持ちしました~」

「うおぉぉぉ!うまっそう!!こりゃ食ったら幸せになれるわ!」


 ごくり

 晴斗が生唾を飲む、下手なステーキより分厚い肉は初めて見る

焼く前でも美味しそうにみえる、晴斗もかぶりつきたい衝動に駆られた。


「源太さんごめんなさい!!厚切り牛タン2つ!!」

「ガキくるぁぁぁあ!!お前にはまだ早いぞ!

あの肉は二十歳になってからだぞ!!」

「源太ぁ、嘘はいけないわよぉ・・・ヒックッ!」

「お嬢様!?酒に弱すぎですぞ!?一瞬目を離しただけで顏真っ赤!」

「あぁん?なによぉ~、酔っ払ってまぁせぇん~!!見えますかぁ???

この私がぁ!酔ってるように・み・え・ま・す・かぁ????」

「うわぁ・・・酔いつぶれてるヒトの定型文がでてる」

「凪音さんダイジョブ!?病気!?」

「そぉ~よ!あたしは病気!!そう、恋の病に罹ってしまったのよ!!」

「厚切り牛タン2人前でーっす!」

「はーい!どれ焼いておいてやるよ!トング取ってくれ!」


 凪音が人差し指を天に捧げてからその指をコンに向ける。


「そう!私はコンちゃんが好きになってしまいましたぁ~!!

うきゃああああ!私ってば青春~!!」

「流石に私はあのテンションにはついていけねぇ~な・・・

あ、すいませーん!ビールもう一杯!!」

「い、いつもの凪音さんじゃない・・・」

「まぁお酒飲んでるからしょうがないよ、コンちゃん」

「そのお酒ってやつ飲むと変になっちゃうの!?ダイジョブなの!?」

「大丈夫だ!時間が経てば元に戻る!(後遺症の二日酔いが控えているが)」

「源太のジジイさんのもそれお酒?」

「あたぼうよ!酒とタバコは大人の嗜みよ!」

「あたしも飲む!」

「ダメだよコンちゃん!大人しか飲めないんだよ!!」

「えぇ~なんでぇ~?」

「オラ、アンタ等無駄話してる間に肉焼けてるぞ!

どれ私が取ってやるよ!」


 太った看護師がさっき肉を入れた小皿では入りきらない大きさなので

一回り大きな皿の上に焼きあがった2枚の厚切り牛タンを

無理やり乗せて晴斗の前に置く。


「「おお~」」

「あらぁ~!コンちゃんと晴斗君綺麗にハモちゃって

キャ~ワ~ウィ~ウィ~♥」

「な、凪音さんがいつもと違う感じにコワイ・・・」

「いいかガキども、酔っ払いに絡まれたら諦めろ

感情を捨ててあたかも少し感心がある風な対応を取るのだ

無視はするな、もっと厄介なことになる、いいか、心を捨てろ」

「・・・お酒って劇薬なんですね」

「周りが被害被るんだね、あたしお酒飲まない」

「僕も」

「そもそも酒の良さがわかるのはもう少し歳とってからだなぁ

いいかガキども?俺がまだ若い頃なんてナァ(前略)

そんでもってダナァ(中略)

それで何と言っても!そうだぞ!人生ってのは(以下略)」

「ギャハハハ!ジーさんも酒まわってんじゃねぇか!!

おい、酔っ払いども!!!」


 バンバンテーブルを叩く太った看護師も顔が赤くなってきている。


「きゃはは(乾いた笑い)そうだね!

晴斗、肉美味しい?」

「うん!コンちゃんも冷めないうちに速く食べてよ」

「おい、俺の話ちゃんと聞いてんのかぁ?おぉ??」

「はい!モチロン!(棒読み)」


 教えて貰った技を早速巧みに駆使し酔っ払いを

いなしつつ厚切り牛タンを鷲掴み。当然


「アッチィ!!」

「何してんのコンちゃん!?箸使うんだよ!見てたでしょ!!」

「う、上手くできないんだもん!!肉はいつも焼かないし箸なんて

初めてみたんだもん!!」

「きゃー!なんも知らないコンちゃんキャワウィウィ!!」

「うぶ!」

 

 晴斗と反対側の席から凪音の手が伸びてきてガッチリと頭を

抱きかかえられてしまった。


「私が食べさせてあげるわぁ~!

ほらコンちゃん!口開けて!あ~ん」

「あ~ん」

「あげな~い!パク!!」

「あぁ!あたしの肉!!凪音さんズッコイ!!」

「しょうがねぇな!私の焼いたの分けてやるよ

ホレ食え!」


 コンが食べやすいように一口サイズにカットしたものを

太った看護師が渡してくれた。


「わーい!太っちょさんありがとー!」

「ふとッ!?返せこのガキンチョ!!」

「もう食べちゃったも~ん!

んぁ!やわらかい!ナニコレ!?

血じゃない汁が溢れてくる、美味しい!幸せ!!」

「チィ!すいませーん!骨付きカルビ!特上!!5人前!

あとユッケ3人前とぉビール!」

「ふははは!いいぞいいぞ!ジャンジャン注文しろぉ~い!」

「源太さん泣いてるけど大丈夫かな」

「・・・僕たちにはどうすることもできないよ

僕もカルビ食べてみたいな」

「食べようよ!なんだっけ、特上?カルビちょーだーい!」


「すまない晴斗、遅くな・・・」

「あ!晴斗のとーちゃん!」

「・・・雨入家」

「父さん!このヒト達は・・・」

「ああよく知っているよ、まさか雨入家に世話になっていたとは」

「父さん・・・?」

「お!やっと来たか町長さんよ!まぁ

いろいろあるがいったん忘れて俺の隣座れやコラァ」

「・・・息子が世話になっております」


 深々頭を下げる輝也町長。


「堅苦しいことは無しよぉ~輝ミン♪」

「輝ミン!?もしや私のことですか?」

「お前以外居ねぇだろ!いいから座れって!

それよか息子に脱走癖ついてるぞ!なんとかしろぉ!」

「す、すいません、息子が迷惑を・・・」


 輝ミンが源太の隣に座る。


「車椅子・・・足は大丈夫なのか?」

「あぁあん?オメェこの位かすり傷だわ!!」

「いや、骨折れてるでしょう、かすり傷ではないでしょう」

「いいから飲めやぁ!!!」

「ウグっ!?」


 源太が無理やり自分が飲んでいた酒を輝ミンに押し付ける。


「ぶわ!ちょ(っと)なんじゃい!儂の酒が飲めんのかぁ!

あぁぁあんゴラァ!!」

「輝ミンさん、今は素直に従わないと面倒になるよ」

「父さん頑張って」

「勝負しようじゃないかえぇ?飲み比べだよぉ!」

「わ、わかった受けよう・・・(チラ)」


 晴斗に視線を送ると晴斗はうつむいて親指をグッと立てた。

頑張れということだろう。

む、息子の為ならなんでもしてみせるぞ!私は!!


―― 30分後 ――


「「ラ―ラララ♪俺達親友ウウェーイ!!」」

「ちょっと!うるせぇよ!肩組んで歌うんじゃねぇ!男ども!

注目の的になってんぞ!!」

「しかもヘッタクソねぇ、耳が腐るわぁ~ウィック!」

「ねぇ晴斗、最初凪音さんと源太さんみて嫌な顏してたよね」

「うん・・・なんでだろうねあんなに仲良くなっちゃって」

「やっぱお酒って劇薬だなぁ・・・」


 でも嫌なヒトとでもあんなに仲良くなれるならちょっと

飲んでみたくなった。

 大人になったら飲んでみよう。

 ん?晴斗がボーっとしてる。


「晴斗?どうしたの?」

「いや、父さんがあんなに楽しそうにしてるのは初めてみたんだ

呼んでよかった、ちょっと引きそうだけど」

「引いていいと思うよ、アレは。あたしのとーちゃんだったら

地中に埋めるもん」




「ぶぇーっくしょん!!」

「あらタワケがくしゃみなんて珍しいわね」

「誰かが俺の噂をしているというやつか・・・」

「ぶぇーっくしょん!!」

「うるさい!!」


 バシンと銀の尻尾でタワケを引っぱたく。


「あいたぁ!いたぁ!痛いだ・・・」


 言葉が途切れたのは以前コンが3日かけて掘った穴に

また落ちたからである。


「あらまぁ、ちょうどいいわね、埋めちゃお」

「ぶわぁぁ!?なんだ!土が落ちてくる!?やめろぉぉぉぉ!!」

「それにしてもコンちゃん遅いわね・・・」


 当然そのまま完全に埋没されてしまったタワケが這い出てきたとき

「セミの幼虫まじパネェ」と言い残して倒れた。

いよいよ次回が友達編最終回ですぞ!!

今回がこの物語最後の安らぎです、物語が起承転結の「転」に足を突っ込むぜ!

みんな不幸になるかな、特にコンと晴斗。


次回「狐につつまれて25話」「一期一会」

みんな、あと少しだ!絶対にみないでくれよな!!

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