10話 恩を毛で返す
キャラクターの気持ちを考える際に動作をマネしながら考えることがある。
俺はその時はナルシストなキャラクターの行動に悩んでいた。なので鏡に向かってウザイ髪の毛の搔き上げ方を実行した。
仕 事 の 仲 間 に み ら れ た 。
ふざけんじゃねーよ、なんつータイミングで職場に戻ってくるんだよ
完全に勘違いされてっからね、「お前その面で?w」みたいな顏してたからね。
俺はナルシストじゃねーから。もーダメだ、ナルシスト許さねぇ。
この時に考えてたキャラクターは惨たらしい目に遭ってもらうわ。
ナルシストキャラが今後出てきたら「あ、コイツ死ぬなって」思ってもらって構いません。
コンのお話には出てきませんが。
凪音さんの家からあたしの住んでるお稲荷様の山が見えた。
花火の時に登ったお稲荷様の山の尻尾が目印だから間違い様がない。
今はまさに山に帰る途中の壁に挟まれた狭い道なんだけど・・・
「なんで付いてくるの?源太のジジイさん」
「ジジイと呼ぶんじゃないガキンチョ」
「ガキンチョじゃない!あたしコン!」
「うるさい、だったらジジイ呼ばわりするでないわ」
「凪音さんはジジイって呼んでたのに?」
「雨入家のニンゲンは特別!アンタはダメ!」
「ふ~ん、あ!クッキー食べる?」
「要らんわい」
「じゃあコレは?」
コンがクッキーの袋とは別の白い箱を源太に差し出す。
「うお!!その箱をこっちに向けるな!気色の悪い!!!」
「きゃはは!ジョーダンジョーダン!」
「クソォ、俺のこと舐めてるな?」
「・・・なんか凪音さんといる時とだいぶ口調が違うね」
「あ?なんでお前とお嬢様を同じ扱いせにゃならんのだ」
「・・・変なの、ねぇなんで付いてくるの?ってば」
「お嬢様に病院まで送るように言われたんだよ」
「びょーいん?行かないよ、山に帰る」
「あぁ?俺はお嬢様に命令されてんだよ!引きずってでも連れていくぞ!」
「べーっだ!やだよ~」
「こんガキャ!!!」
源太が掴みかかってきたがコンはひょいっとあっさり避ける。
「きゃはは!源太ジジイのうすのろ~!!」
「テンメェ!!とっ捕まえてエンコ叩ッき切ってやる!!」
源太がダッシュで距離を詰める、結構足が速い。
絵に描いたような老紳士的な風貌からは想像もつかない機動力と口の悪さだ。
「そういえば凪音さんが源太さんのこといい年して現役のヤンキーって
言ってたけどヤンキーどういう意味?」
「うるせぇ!しばくからこっち来いや!」
「え?しばかれるのって男のヒト限定じゃないの?」
「なんだその先入観は!?根性叩き直してやる!オラ来いやぁ!」
源太が鬼のような形相で追いかけてくる、気迫が半端ない。
並の子供ならば泣き叫んで逃げるのだろうがやっぱり
コンは笑いながら逃げまわっている。
オイオイオイ!なんなんだこのガキの身軽さは!!足怪我してたよなぁ!?
あー!ムカツク!あの犬みたいに振ってる尻尾千切りてぇ!!
この手間のかかり具合完全にお嬢様の幼少期の上位互換じゃねぇか!
クリソツな顔しやがって他人のくせにぃぃぃぃ!
「そっちは病院じゃねーだろ!反対だ反対!!」
「山はこっちだも~ん、きゃはは!」
「バカ!そっちに出るな!!」
パァァ!!!パッパァァ!!!
またもや聞いたことのない音を耳にしたコンが音のした右の方角をみる。
コンは狭く見通しの悪い通路から車がよく通る大通りに飛び出していた
音の正体は猛スピードで突っ込んでくるダンプカーのクラクションだった。
コンにとっては突然の出来事で思考はただ空白のままに
視界がスローモーションになる。
源太が走る速度を上げる。小さく『クソが』と愚痴をこぼしたが
源太自身の耳には入らなかった。
パァァァァァァァ!!!
間一髪で源太が助けに入るのが間に合った。
源太が一瞬でも躊躇していたらコンは確実に轢かれていた。
コンはまだ思考が空白のままだった。
「はぁ・・・なんて日だ、買い物に行こうとしたらお嬢様が走り出して
こんなガキを見つけて変態から保護、家に戻れば給料無し宣言・・・
挙句にそのガキ病院に連れてこうとしたら逃げてダンプに轢かれそうになる・・・」
キンッ、シュ、シュ、シュボ!
ベンチに座りライターの火をタバコに移して煙をキューっと口腔内に送り込む。
両足を投げ出して両肘をベンチの背もたれにかけてから限界まで上を向いて
ブフーっと煙を吹く。
「・・・ごめんなさい」
「過ぎたことはいい、次から気を付けろガキンチョ」
「うん、ありがとう」
すっかり元気がなくなっているコンを見て源太は深いため息をついてベンチから
気怠げに立ち上がる。
「ちょっとここに座ってろ」
「どこ行くの?」
「どこも行かねぇよ、座ってろって」
「・・・うん」
源太は近くにある自動販売機にコインを入れて紙パックのリンゴジュースの
ボタンとコーヒーのボタンを押して出てきた商品を
取り出してベンチに戻ってきた。
「おら、飲め」
「あ、ありがとう・・・」
源太が自分の分の缶コーヒーを開けてコンの方を見るとコンは
紙パックをやたら回転させている、開け方がわからないらしい。
「お前、ホント何も知らねぇんだな」
源太がぱっとコンから紙パックを取り上げると紙パックの背中にあるストローを
取り出してストローの差込口にストローを刺してコンに返す。
「それで吸うんだよ」
「へー・・・あむ、ちゅーちゅー、美味しい!」
「はぁ、そうかい」
「ねぇ、ここどこなの?」
「公園だ、まぁガキンチョの遊び場みたいなもんだ 滑り台にブランコ、砂場」
「ふーん、じゃあ源太さんが銜えてるそれはなに?」
「あ?タバコだ、タバコ ・・・お前も吸ってみるか?」
「いいの?」
「食い物じゃねぇからな?あくまで銜えて吸い込むだけだ
あと赤いとこは触るなよすっげー熱いからな」
「わかった、あむ、ちゅー・・・」
吸って少しだけ間を開けてコンの顏が青くなった。
「ゲホゴホ!ウエェェェ!!何こ、ゲホゲホ!!ナニコレ!?」
「ギャハハハ!!どうだ!ガキにゃ不味いだろ!?ウハハハ!!ざまぁみろ!」
「ムッキー!騙したなぁ!?」
「騙してねぇよ!美味いなんて一言もいってない!」
「なんなのコレ・・・?食べ物じゃないんでしょ?」
「あー・・・?タバコは・・・ま、大人の悪い遊びだ 良かったな
ガキの頃にこの味知っておけば将来吸いたいなんておもわないだろ?」
「うん、こっちのがいい」
コンはそういうと紙パックのジュースを一気に飲み干してしまった。
「あー・・・なんだ、その良かったな」
「なにが?」
「クッキー、そんなに崩れてないだろ?」
「うん、結構われちゃったけどダイジョブ」
「・・・あとその白い箱も無事でホッしたよ、マジで
潰れてたらと思うとゾッするわい」
「きゃはは!源太さんのゾッとした顏見たかったな!」
「このガキャ・・・まぁいい、もう雨入の家には来るなよ」
「え!?なんで!?」
「得体のしれないガキを入れるわけにはいかないんだよ!」
「やだもん!あたし源太さんが木のところで叫び声が聞こえたあと凪音さんに
字を教えて貰う約束したんだもん!」
「はぁ!?いやいやいや!!ダメだって!」
「ダメじゃないもん!あっかんベーっだ!!」
「このクソガキめ!」
「きゃはは!そういうことでまた会おうね!源太さーん!」
「あ!待てこの野郎!!」
「助けてくれてありがとうねー!バイバーイ!!」
まるで風のように走ってどっかに消えてしまった。
源太が老体に鞭打って追いかけてももうコンの姿は見えなくなっていた。
「チっ逃がしたか・・・」
舌打ちとは裏腹に最後は元気を取り戻して良かったと
心のどこかで安堵していた。
別人とはいえ昔世話を焼いていた顏と瓜二つ、悲しい顔をされると自分の胸に
何かが刺さった気がして仕方ないのだ。
ポケットに手を突っ込んでタバコを吸う。
ん?ポケットに何か入ってるぞ?
取り出してみると割れていないハートのクッキーが一枚入っていた。
「いつの間に・・・」
せっかくなので食べてみると予想通りの感想が込み上げてきた。
「不味ぃ・・・」
気が付けばすっかり夕方だ。
とーちゃんとかぁちゃん心配してるよね・・・
あった!川!!この川に沿って登っていけば知ってるとこに出られるね!
よし、行こう!!早くあたしが作ったクッキー食べてほしい!!
コンは軽い足取りで両親が待っているであろう祠まで駆け上がっていった。
「ん?足音よ!」
「お!帰って来たか!!」
「とーちゃん、かぁちゃん ただいまー!」
「「コン」ちゃん!!」
ウツケとタワケがコンに駆け寄ってきて飛びついた。
「心配したんだから!!どこ行ってたの?」
「きゃはは!ダイジョブだよ、川から落ちてニンゲンに
助けられたり攫われたりしたの」
「大丈夫な要素少なくないかしら!?」
「まぁ無事に帰って来ただけよしとしようじゃないか・・・」
「・・・とーちゃんなんかズタボロじゃない?」
「これは深いわけがあってだな・・・」
「大切なお守りを無くしやがったからお仕置きしたのよ」
「ふーん、そうだ!お土産があるんだ!!」
「「え!何ナニ!?」」
ウツケとタワケがコンから少し離れる。
「えへへ・・・じゃーん!!クッキーという食べ物を作ってきた!」
「え!ニンゲンの食べ物!?どうやって作ったの?」
「あたしを攫ったニンゲンが一緒に作ってくれたの、楽しかったよ」
「どういうこと!?攫われた先でイッツァクッキング!?」
「ダイジョブだってばあたしが変態に攫われそうになった時に攫ってくれた
ヒトだからいいヒトだよ」
「いやいやいや!わからん!状況が全くわからんぞ!!」
「・・・とにかく無事でよかったわ、クッキー食べさせてもらいましょう」
「どーぞ!」
「・・・まぁ後で詳しく聞くとしようか」
食べなれないヒトの食べ物は新鮮で不思議な触感、夢中で食べたら
あっという間に食べ終わってしまった。
「美味しかったわねぇ」
「うん、んまいんまい」
「ね!頑張って作ったんだよ!」
「実はコンちゃん、私たちもコンちゃんに渡すものがあるの!」
「ほんと?やったぁ!」
「「じゃじゃーん!!」」
淡く青い鱗が一枚だけあしらわれたシンプルなネックレスがお披露目される。
鱗は分厚く頑丈、さらにゴッツイ明らかに魚の鱗ではない。
「さっき言ってたお守りよ!」
「みつかったんだね、どこにあったの?」
「崩れた祠に埋もれてた」
「ほら、首に掛けてみて」
かぁちゃんから鱗のお守りを渡されて首に掛ける。
なぜだか心が落ち着くような気がする、なんでだろう?
「うん、似合うわね」
「いいね!うんピッタリ!」
「ありがと!実はかぁちゃんにはもう一個お土産あるの!!」
「まっ!ほんとに!?嬉しいわ!」
「お、俺は?」
「ないよ~っだ!」
「ですよね・・・グスン」
コンは満面の笑みで白い箱をウツケに渡す。
「上から勢いよくドーンってやると開くんだよ」
「わかったわコンちゃん!」
「どーせ俺にはなんもないですよー・・・
皆からさげすまれてますよーだ・・・グスン、グスン」
「せーの!ドーン!!」
コンに言われた通り箱の上から勢いよく前足で踏みつけたら
ビリっと穴が開く。
「どれどれ中身はっと・・・」
ウツケが前足を抜くと抜いた前足にびっしりと毛虫がくっ付いていた。
「△※〇☐◇◎※※☐〇★●▼△▼※◇!!!!!!!!!!」
ウツケが聞き取り不可能の雄たけびを上げて泡を吹いて倒れた。
「きゃはは!!引っかかった引っかかった~!」
「・・・俺、お土産なくてよかった」
ウツケはその後3日3晩寝込んだ。
流石のコンももう二度とやるまいともう反省したのは言うまでもない。
ウツケが起きた後メッチャ怒られたのはさらに言うまでもないのであった・・・
やべーよ、俺の痴態を目撃したやつは結構SNSやる奴なんだよ、やべーよ #ナルシスト拡散希望 とか やられちゃったらどうしようかな、いや過ぎ去ったことを気にしても仕方がないか・・・いやでもSNSにさらされたら一生モンだからな・・・いやいやいや、それやられたらやられたでココでのネタ増えるしな、うん写真もないし大丈夫か、いやでも、ココが特定厨の目に留まったらバレる可能性も・・・?
あ、大丈夫だ、コレ読んでるヒトほぼいないや。(遠い目)
次回「狐につつまれて11話」「ナル 即 斬」
みんな絶対に見ないでくれよな!!!




