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●ウソと罰

●ウソと罰


「おー、これは! 美樹、扁桃腺が凄い腫れてるゾ!。 熱は?」

「う゛~。 さっき計ったら、まだ38度もあ゛った」

「それじゃ、この抗生物質と解熱剤を飲んでおきなさい。 たぶん2日くらいでよくなると思うよ」

「うん、ありがとう。 お父さん」

「それじゃ、ゆっくり休みなさい」

親が医者だと病気の時、わざわざ病院に行かなくてもよくって、とっても便利だ。


それはさておき、この2日間が勝負だ・・・何か上手い方法はないものかな。

この声も明日には元に戻ってしまうかもしれない。

確かオーディションは6月10日だって言ってたよな。

まだ4日も先だし! はぁ~

オレは、どうしてもオーディションを受けたくなくって、一晩かけて小さなウソを考えたんだ。

そして思い切って、みどりさんに電話をかけた。


「あっ、みどり? うん、あのね。 昨日お父さんに診てもらったんだけど・・・その、く、薬の効果が不安定なのかも知れないって。 だからね、急に元に戻るような事は無いけどオーディションは、やっぱり無理だと思う。 そう・・・残念だけど。 じゃぁ、またね」

みどりさんって、勘が鋭いから電話中、ばれるんじゃないかって、もうドキドキしっぱなしだった。


次の日、熱は何とか下がって、遅い朝食を食べていると・・・

ピンポ~ン

ふいに玄関のチャイムが鳴った。

誰だろう? 平日のこんな時間に??

「は~い」

わたしが急いでパジャマの上にカーディガンを羽織り玄関のドアを開けると、そこには恐い顔をしたみどりさんが腕を組んで立っていた。

「げっ、み、みどり・・さん。 どどど、どうしたの?」

思わぬ人の不意の訪問に激しく動揺する。


「・・・・」

みどりさんは、無言のまま睨んでいる。

「あ、あの~学校は?」

「ちょっと、中に入れていただいて良いかしら?」

「あっ、ごめん。 どーぞ上がってください」

ドキドキ・・・

心臓は、もうバクバクだ! もしかしてバレた? でもいったいどーして?

「あ、あの・・・・ど、どうしたの?」

上目使いで恐る恐る聞いてみる


バンッ

「ちょっと、ミキ。 どうしてあんなウソをついたの?」

みどりさんは、テーブルを叩くといきなり本題に入った。

うわっ、やっぱりバレてた!! でもどうしてぇーーーー


「そ、それは。 わたし・・・どうしてもオーディションを受けたくなくって。 でも、みどりが凄くやる気満々だったから・・・・」

「そんなに嫌なら、ちゃんと言ってくれればよかったのに」

「でも、どうしてウソだってわかったの?」

「アハハ、あの後ミキのお父さんから扁桃腺が腫れてるから、しばらく家で休ませるって電話がかかってきたのよ」


はぅ~。 しまった。そこまで気が付かなかったよ~。

父さんも、そんなことまでみどりさんに連絡するなんて!! まったく余計なことをしてくれたもんだ。

「そんなワケだから、6月10日の件は、キャンセルしておいたわよ」

「えっ、オーディション受けなくていいの?」

「ええ。 その代わりに・・・」

「その代わりに?」

ゴクッ

「ふふっ、ごにょごにょごにょ」

「ええっーーーーー!」


次回、「そしてアイドル」に続く


挿絵(By みてみん)


『おまけ』 イラスト右の女の子は、R18版の本編107話で登場する美少女ロボットです。



少女は目を開けると、首を動かさずに瞳だけをゆっくり左右に動かした。

しかし、その視界に何も変わったことが無い事がわかると、またゆっくり

瞼を閉じてしまった。


未来ミク!」

秀一が少女の名前らしき言葉で呼びかけると、こんどは少女の瞼が瞬時に開き

「ハイ」と返事をした。


そして少女は返事をすると同時に上体をすっと起こしたが、その時その体に

かかっていた白いシーツがスルリと滑り落ちてしまった。


「あっ!」

シーツが落ちた途端、ミキとエミは、まるで双子のように声を上げ、口に手をあてた。


それは無理が無かった。

何故なら、その少女の胸から下は、金属の骨組みや束になったコード類が無数に

ぶら下がっていたからだ。


「まだまだ、人と同じようにはいかない部分も多いけど、この娘は日常生活の

  範囲なら、大抵は順応することができるんだよ」

秀一は、二人が声が出せないほど驚いているのを面白そうに見ながら、そう説明を加えた。


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