●突然の朝
Ｒ１８版を若干リメイクして、２０話まで掲載します。
（１８歳以上の方は、Ｒ１８版（全２１０話）の方をご覧ください）
●突然の朝
チチチチ・・・・
どこからか小鳥の鳴き声が聞こえてくる。
東向きの窓から机の上に、まぶしい朝日が射しこんできている。
「うう～ん。 もう朝かぁ・・・って、し、しまった。 やっぱ寝ちまったかぁ！」
そう、今日は２学期の期末試験初日である。
なのに昨日は、夜遅くまで友達と遊んで、家に帰って来たのは１１時を過ぎていた。
それから、さっとシャワーを浴びて、机に向かったのは良いけれど、ウトウトしているうちにすっかり寝込んでしまったようだ。
しかも、今日は数学と英語の２大難関だったっけ。
「む～う、ここはもうヤマが当たることを祈るしかないな！」
オレの名前は”山口美樹” １５歳、中学３年生である。
「ミキ」と言っても女じゃない！
でも病院なんかの受付で名前を呼ばれる時は、たいがい”女”と間違われる。
小学校の時からクラスの皆によくカラカワレタし、この名前は大嫌いである。
「美樹～！ いつまで寝てるの。 早く起きなさ～い。 遅刻するわよ～！」
下から母さんが、大声で叫んでる。
母さん。 頼むからもう少し優しく起こしてください。
「さあ、しかたない。 それじゃ～着替えるか！」
オレは気合を入れてパジャマを脱ぎ、Ｙシャツに着替え始めた。
「う～ それにしても寒い～」
エアコンは入っているのだが、床の冷たさに思わず爪先立ってしまう。
そして、羽織ったＹシャツの胸のボタンを留めようとした時・・・
ふにょん・・・何かやわらかいものが
ふにょん？
「うん？・・・なんだ？ 胸が腫れてる。 昨日どこかにぶつけたのかな？」
オレは１階に降り、洗面所の鏡に自分の姿を映して見て、驚きのあまり凍りついてしまった。
「なっ、何だこれ？」
そこに映っていたものは、紛れもない女の子の胸。 そう、オッパイだ。
まさか名前が女みたいだからって、胸まで？
「夢？ そうだ。 まだ夢を見てるんだオレ。 な～んだ」
オキマリであるが、頬をオモイッキリツネッテみる。
「ぎゃ～ イテテ！ ゆ、夢じゃない～」
再び鏡の前で、両手を胸に当てて見る。 ポヨ～ン すごい弾力である。
「どうして？ 何で？」
もう何がなんだかわからない。 朝からパニック状態だ。
「美樹～早くしなさい！ もう７時５０分よ～！」
え～い。 しかたない。 とりあえず学生服を着てしまえばわからないだろう。
なんてったって今日は、期末試験だから休めないもんな！
２階に戻って急いで着替え、リビングへ降りていくと母さんが、こっちをじっと見ている。
「美樹・・・ その胸どうしたの？」
「えっ？ な、なんか変？」
「なんだか女の子の胸みたい。 制服の中に何か入れてるの？」
「か・・・母さん。 ちょっ、ちょっといいかな」
オレは母さんの手を引っ張って、風呂場（脱衣所）につれていくと学生服を脱いで、いまオレに起きている現象を正直に見せてみた。
ポヨ～ン
「まぁ・・・りっぱなオッパイ。 いったいどうしたの？」 母さんの目がまんまるくなっている。
「オレにだって良くわからないよ。 朝起きたらこんなになってたんだ！ どうしよ～」
ジャーー パタン
「なんだ？ 美樹、朝っぱらから騒々しい。 どうした？」
ちょうど父さんがトイレから出てきた。
「あら、アナタ大変なの。 美樹の胸が女の子みたいになっちゃったのよ」
母さんがオレの胸をゆび指しながら、父さんの目をゆっくりと見上げる。
「胸？ 美樹、お、おまえ。 もしかしたら冷蔵庫の中の薬飲まなかったか？」
「薬って？ ・・・リポ○タンＤなら昨日帰ってきてから１本飲んだけど？」
オレは、昨日の夜結構疲れてたんだ。
若くても期末試験中は、リポの力も借りたくなるよ。 効果なかったけど・・・
「やだ、アナタ。 それって研究中のあの薬？」
母さんが驚いた顔で、自分の口を掌で覆う。
「あぁ、たぶん。 美樹おまえ・・ ビンのラベル見なかったのか？」
「なんなんだよ。 その研究中の薬って？ なんで家の冷蔵庫の中にそんなもん入れておくんだよ！」
「よく聞け美樹。 その薬はなっ！ 染色体をコントロールする薬なんだ」
「な、なんだって？」
オレはいったい何の事を言われているのか、全く理解できないでいる。
「その薬はね、お父さんとお母さんが共同で研究している薬なの。 子供を生む時、男女の産み分けコントロールが妊娠後からでも出来るようにする画期的な薬なのよ。」
母さんが、ゆっくり説明してくれたけど・・・
「そんなぁ・・・これからオレはどうなっちゃうんだよ！」
「まだ実際の人間に使ったことは無いから良くはわからないんだけど、ラットを使った実験では、１００％性転換する」
父さんが自信に満ち溢れた顔でオレに言う。 それって、ちょっと違うだろ！
「って事は・・・ オレ・・女になっちゃうの？」
「そうだな。 必要ない部分は細胞がアポトーシスを起こし、必要な部分は新しく生成されるハズだが、人ではどのくらいのスピードで変化が起きるかは・・・う～ん・・」
父さんは腕組みをして考え込む。
「ラットでは、どうだったの？」
オレは恐る恐る父さんに聞いてみる。
「実験した動物たちの場合、２４時間以内で８０％性転換した」
「２４時間って・・・それじゃ～今日中にオンナ？」
ブルッ
「あ～ちょっとオレ、オシッコ」
漏れそうなので急いでトイレに駆け込む。
バタン
・・・・
・・・
・・
「ぎゃーーー 無いーーー！！」
次回、「ミキちゃん誕生」へ続く
※１話毎に挿絵を掲載していきますのでお楽しみに♪
