第3話 【冒険者登録】
「ここが大都市【アスガルディア】か...。」
街と外のフィールドの境目には門が設置されており、そこを商人が乗った馬車や冒険者と呼ばれる人々が出入りしている。ここは結構景気もよく、街の中でも盛んな所らしい。
「なんか...RPGの中世でよくありがちな街だな。」
「あーるぴーじー?あ、ゲームですか。まぁ、結構典型的な街だとは思いますよ。」
「そーいえばクリス。」
「はい。なんでしょうか。桂馬様。」
視界上、右上を飛んでいる金髪の妖精は振り返ってそう言った。
「僕の目的って、簡単に言えばコミュ力を身につけることだよな?」
「はい。」
「じゃあ一つ質問させてもらうが、この世界で具体的にどんな事をすればいいんだ?」
「えっと...それは...。」
「例えば、魔王討伐とか、この街の王になるとか、この世界で一番の商人になるとか...。おーい、クリスさーん。聞こえてますかー?」
「あ、はい!えっとですね。えーと...。(桂馬様の目的はあくまでコミュ力の獲得。何人かのパーティーを作って魔王討伐するのならば、仲間と話せてコミュ力が上がるから...。)」
「おーい。クリスさん?まさかのノープランですか?そんなので僕は生き返ったんですか?」
「き、決めました!魔王討伐でいいでしょう。そしたら桂馬様は、コミュ力も上がってると思うので、神になれると思いますよ。...多分。」
「わかった。って待て!今多分って言ったよな!絶対これ適当だよな?」
「はい!適当です!」
「そこは正直に答えるなぁ!」
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「桂馬様。ちょっと質問いいですか?」
「あぁ、構わないよ。」
「なんで酒場に来たんですか?桂馬様まだ未成年ですよね?」
「まぁ、これからわかるさ。」
僕は両手で酒場の扉を開けた。そこには沢山の冒険者で溢れかえっていた。
「ここって本当に酒場なんですか?」
「いや、酒場兼、冒険者ギルドってところだろうな。ちなみに地下にカジノもあるっぽいな。」
「なんでそんなにここについて詳しいんですか?」
「ここは、ゲームとよく似た世界なんだろうな。冒険者がいて魔王がいて、外のフィールドにはスライム級のモンスターがうじゃうじゃいる。」
「モンスターなんていましたっけ?」
「あぁ、いたよ。避けて来たから会ってないだけだ。」
「なるほど、流石は桂馬様です。」
「クリス、お前は魔法とかって使えるのか?」
「一応使えますよ。まぁ、攻撃的なのではなく回復系が多いですが。」
なるほど、一応魔法は使えるのか...。
「とりあえずギルドに冒険者登録しに行かないと。クエストが受けられないからな。」
「はい!」
早速2人はギルドの受付の列に並んだ。
「それにしても、視線が痛いな。」
椅子に座っている人から並んでいる人、スタッフの人にまでジロジロと見られている気がする。長年のボッチ生活からくる、第六感ってところだろうか。そんな事を考えていると順番が来たようだ。
「お待たせしました。新規登録の方々で宜しいでしょうか。」
「「はい。」」
「では、今から冒険者登録をしますので、こちらの魔法具に手をかざしてください。」
「わかりました。」
早速、このへんてこな形をした魔法具に右手を差し出してみる。すると赤いセンサーのようなものが出て、下の台に白色の腕時計のようなものが生成された。その白色の腕時計のようなものをそっと手に取った。そして、ボタンを押すと、プロフィールが表示された。
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佐藤 桂馬 16 Lv.1 male
職業:冒険者 魔法使い
出身:Japan
攻撃力:27
防御力:23
HP :52
MP :6743257
知力 :9999999999
ラック:156
スキル
・オールマジックメモリー
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「って出たんですけど...。」
「あなた何者ですか?!」
「え?」
「...ち、知力がMAXを超えています。そして、常人ではありえない量の魔力...。そして、この【オールマジックメモリー】。これは見た魔法を全て使えるというものです。そして、この出身地...。」
「どういうことだ。クリス。」
「えっとですね。知力が異常なのは桂馬様そもそもの実力で、MPのこの量は転生にかかった時の力がそのまま反映されてるんだと思います。そして、このスキルはきっとアマテラス様が用意したものでしょう。」
「なるほどな。」
受付のお姉さんに再び話しかける。
「まぁ、僕はこの街の遥か遠くの国【Japan】から来たんだ。冒険者になる為にな。知力が高いのは僕は【Japan】で一番頭が良かったからだ。魔力が高いのはここに転移してくる時に身につけたものだ。」
「は、はぁ、そうですか。【Japan】という国は聞いた事ないですが、まぁいいでしょう。佐藤 桂馬様、魔法使いとして、冒険者ライフを是非満喫してください!ご武運をお祈りいたします!」
ギルド中がいきなり騒がしくなった。
「すげぇな、兄ちゃん。」
「遂に魔王を倒すような逸材が生まれたか!」
「よっ!最強の魔法使い!」
「知力MAXってマジかよ!」
などと歓声を浴びていた。
「クリスはいいのか?登録しないで。」
「いいですよ。戦う必要無さそうですし。そういえば次はどうしますか?」
「とりあえずカジノで金稼ぎかな。」
2人は盛り上がっている冒険者の間を通り抜け、地下のカジノに向かった。