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第2話 【第二の人生】

ここは何処だろう。少し頭痛がするな。それにしても薄暗くてよく見えない。そんな暗闇の中にただ1人突っ立っていた。

「誰かいませんかー!」

...返事がない。

「とりあえず明かりをつけてみるか。」

ポケットからスッとゲーム機を取り出した。しかし、どれも画面にヒビが入っていた。

「嘘だろっ!?全滅じゃないか!あぁ、カバンは置いて来てしまったし...。クソッ!なんでこういつもいつも邪魔が入るんだよ!」

「よく来たな。佐藤 桂馬よ!」

「うるさぁい!今取り乱してるから、あとしてくれる!?」

「あ、すみません...。じゃなくて!話を聞け!佐藤 桂馬よ!」

「だから、今取り乱して......って誰?」

「我は、日本の神様【天津神 アマテラス】だ。」

「で、俺に地獄にいけということだな。」

「そんなこと一つも言ってないから!ゴホン、佐藤 桂馬、お前は生まれながらにして才能が優れている。そう、それは神にもなれる程にな。だが、お前は今まで人とあまり関わってこなかったな。」

「僕は、こんなにもヌルゲーな世界のモブキャラ達と関わる気はそもそもないさ。」

アマテラスはため息をして、再び話し出した。

「お前には、もう1度、人生をやり直してもらう。もちろん、記憶も体もそのままでな。」

「つまり、生き返ってもっと人と関わる人生を送れと。そういう事だな。」

「その通り、だが、あの世界ではお前の体では耐えきれないかもな。......よし、お前にはある能力を与えよう。」

「あの世界?能力?一体どういうことだ?」

アマテラスは目を閉じ、両手を僕に掲げ、小さな声で何かを唱えた。

「さぁ、佐藤 桂馬よ!あの世界で、共に戦う仲間と共にお前のやりたい事をやるといい。」

「戦う?だから一体どういう事なんだよ!おい!こら!」

「では、佐藤 桂馬のいく先に幸あらんことを!」

と、最後だけ神らしいことを言い残すと、アマテラスは消えた。

「あ、言い忘れていたが、移動先にナビゲーションしてくれる妖精を派遣させている。あと神の管轄も変わるから、何かあればそいつに言うといい。では、お前が立派に成長したらまた会おう!」

何故か声だけが脳内で聞こえてきた。また、それと同時に足元に光る水色の魔法陣が展開されていた。

「これは...魔法陣......」

体が浮かび上がり、魔法陣がとても眩しい光を放つと、変な感覚に襲われ、後に草原に放り出されていた。

「...え?」

そこには、何も無い草原が広がっていた。いや、なんかいる。空中にふわふわと浮かび、羽が生えていて、やたらと小さい人形の生物が目の前で飛んでいた。

「おっきたきた!あなたが佐藤 桂馬様ですね!」

「...誰だ。お前。」

「これは失礼しました。私は、神々に仕える者、天使のクリス=アトランティス。気軽にクリスと呼んでください!」

「天使?でもビジュアル的には妖精に見えるけど...。」

「あ、今は下界に来ているので、この妖精の姿なんですよ。というより、リアクション薄いですね~。」

「まぁ、色々あったからな。とりあえずよろしくなクリス。」

「はい!宜しくお願いします!」

クリスは笑顔でそう答えた。

「それで、ここは何処なんだ?俺は一体なんで生き返ることになったんだ?普通なら天国とか地獄とかに行くだろうに。」

「ここは、桂馬様の故郷【地球】のある世界とは異なる世界で、生き返ることになった理由は、桂馬様が神の資格を保有しているからです。しかしながら、桂馬様には欠点があるとアマテラス様がおっしゃっていました。それは、桂馬様がコミュ障だということ。」

「コミュ障?フッ、ふざけるな。僕は今もこうしてしっかりと話せてるじゃないか。」

桂馬は、やれやれと言わんばかりに片手を頭に添え、微笑した。

「それは相手が対等の立場、すなわち人間ではないからではないでしょうか。うーん...。一つ質問してもいいですか?」

「あぁ、別に構わないよ。」

「桂馬様には、仲間、すなわち友達と呼べる存在はいましたか?」

「別に、僕にはそんな者は必要ないさ。なってったって、僕にはゲームがあるからね。って壊れてるだったぁぁ!!」

ポケットから取り出したPSγは、ヒビが入り、おまけに血痕まで残っていた。

「それにしても酷いな。ごめんね。僕のゲーム達...。」

「そんなにその...ゲーム?が大事なんですか?」

「勿論だ!ゲームっていうのはな、全てのジャンルにおいて、現実リアル以上の経験ができる。それに、現実リアルはクソゲーだ。大体の事が思い通りにならないし、不確定要素も多い。だから、はっきりと言わせてもらおう。僕は現実リアルになんて興味ない。」

「はぁ、そうですか...。とりあえず、近くにある大都市【アスガルディア】へ向かいましょう。ここで突っ立ってても何も始まりませんからね。」

「そうだな。で、その大都市はここからどのくらいの距離なんだ?」

「えっと...確か、2km程ですよ。」

「...は?2km?なんで、そんな不便すぎるこの場所に召喚したんだ?」

「まぁ、一番の理由が人目につかない場所だから、ってところですかね。そんなに落ち込んでないで、行きますよ。桂馬様。」

そして、僕は肩を落としながら、第2の人生をスタートするハメになった...。

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