閑話 小さな勇者の休息
ベッラ出発する前の夜が開ける前のお話になります。
朝、目が覚めた。
皆はまだ眠ってるみたいだ。
でも、疲れてるみたいだししょうがないか。
何時もはクルスの側を離れなかったけど、たまにはいいかな・・・
そう考えた俺様は、散歩に出ることにした。
舎弟のバルも眠ってるな。
でも、こいつはクルスの側を離れたがらないから、放っておこう。
そっと扉をすり抜け、廊下に出る。
まだ暗がりだけど、俺様の目にかかればこんなのどうってこと無い。
もちろん、昼間ほど明るい訳じゃない。
でも、全然問題ない。
テチテチと歩いて、階段を下り建物の外に出る。
やっぱりどの建物を見てもすごく大きい。
仲間達と住んでいた森の木に比べたらそりゃ小さいかもしれないけど。
意気揚々と歩いていく。
さすがに、こんなに朝が早いとあんまり人も歩いていない。
でも歩いていると、たまに路上で寝てる人を見ることもあるが、あれはなんだろう?
家が無いのかな?
だとしたら、可哀想だな。
大概そういう人は、お酒臭いから俺様は近付かないけど。
結構、今の生活には満足している。
クルスもいい奴だし、カインもいい奴だ。
バルの奴も、始めに出会った時は心配だったけど、今じゃ仲良くなったと思う。
それにしても、俺と同じような奴ってのはあんまり人の住んでる街にはいないんだな。
それでも、この街も結構好きだけど。
これまで見たことも無いものが沢山あるし、今まで食べたことの無いものも沢山ある。
でも、沢山食べるとクルスの奴が、俺様が頭に乗るのを嫌がるから最近はちょっと我慢してやってる。
何て言ったって、クルスは俺様の相棒だからな!
あいつの嫌がる事をやろうなんて、これっぽっちも思わない。
それに、乗り心地もいいんだ。
いつも高いとこから周りも見えるし、これだけでも十分楽しい。
カインの上も悪くないけど、もう少し大きくなったらだな。
そういえば、この間乗った馬車も良かった。
俺が走るよりは遅いけど、それでも頑張って走る馬は偉いよな。
いつも頑張ってるよなってねぎらってやったら、喜んでたし。
でも、いつも頑張ってるんだから、少しくらい誉めてあげた方がいいと思うんだ。
それに、流れていく景色が何時もの視界と違って面白かった。
横になって眠っていても、どんどん先に進むし。
ゴトゴト揺れてるのも面白かった。
立ってると、足元が不安定なんだよな。
それに転ばないようにバランス取ってみたりしたけど、これまた面白かった。
あれはいいものだよ、うん。
そんなことを考えていたら、冒険者ギルドの前にまで来てしまった。
アルクの奴もどんな奴かと思ったが、以外といい奴だった。
でも、ちょっと考え方が堅いよな。
まぁ、それはどうでもいいか。
ここは、俺様でも冒険者になれるらしいな。
最近はとうでもいいかなと思い始めててるんだけど、クルスの奴が頑張っているから、下手なこと言えないもんな。
でも、本当になれるのかな?
雲行きが怪しい感じがするんだよな。
なんかおっかなそうな女の人もいるし。
偉そうなおっさんは何て事無さそうだけど。
明日は、またどっか行くみたいだし。
まあ、俺様が考えても仕方ないか。
どこに行くにしても、クルスとカインとバルは俺様が守ってやればいいんだ。
そうやって考えておけば、きっといい。
でも、次はどんなとこに行くんだろうな。
楽しみはとっておくのがいいか。
どうせ、聞いてもわかんないし。
気付いたら大分明るくなってきたかな?
そろそろ戻らないと、起きてきたクルスとかに心配かけてしまうな。
俺様は今来た道を引き返す。
しばらく歩いていると、変な猫がこっちを見ていた。
なんだあいつ?
じっと見てくるから、見返してやるとプイッと振り返ってどっかへ行ってしまう。
でも、結構強そうだったな。
俺様が言うんだから間違いない。
って、誰もいないんだったな。
まあ、いいや。
早く戻ろうっと。
たまには、息抜き。
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