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森の中のリス道場

ようやくトゥーンが仲間達と暮らしている住み処に着いた。

そこは森のどこと見比べても全く違いの無い場所。

よくよく見ないと違いが分からない。

しかし、よく確認してみると木の洞や地面に細長い穴が空いており、どうやらその穴のなかで生活をしているようだ。


トゥーンの体の大きさを見れば、確かにそれで十分だろう。

なんだかんだいってリスなのだから。


その住み処が密集する場所に踏み込むとトゥーンが勢いよく肩から飛び降りる。

そして、一目散にその住み処の一つに駆け込んでいく。

俺はほったらかしかい。


周囲に気配はするものの、姿は見えない。

目線が突き刺さるような感じがして居心地が悪い。

こちらとしては特に敵意は無いのだが、彼らからすれば得たいの知れない生き物が近づいてきたとの考えだろう。

警戒しない方がおかしい。


さて、どうしようか。

この場でただ立ち続けていても仕方ない。

トゥーンが飛び込んでいった穴に近づいていく。

そして、その側まで来ると、ドカッとその場に座る。

特に変なことをせず、トゥーンの出てくるのを待つことにした。


その間も視線をぶつけられ続けているようだが、気にしても仕方ない。

もう踏みいってしまったから、ある種の開き直りを決め込んでしまえ。


しばらく待ち続けていると、穴からトゥーンが顔を出す。

後ろにはトゥーンより少し大きなリスがついてきていた。


『クルス!待たせた!』


『あぁ、ま、仕方ないだろ。家に帰ってきたならそれを伝える相手もいるだろうからな。』


『それで、じっちゃん連れてきた。仲間達の中でも一番長生きしてる長老なんだぜ!』


少し自慢げに言う。

そうか、トゥーンの後ろについてきたのはトゥーンのじい様か。

トゥーンはじい様が自慢なのか。

その様子になんだか優しい気持ちになる。


『はじめまして、お客人。ワシはこの集落を束ねる役を担っとるトゥーイというものじゃ。』


どうやら念話が使えるようだ。

“意思疎通”というスキルはそれほどレアスキルではないのか?

なんにしろ会話が出来るなら好都合だ。

“神眼”を発動させ、トゥーイと名乗ったリスを見る。



名前 トゥーイ

種族 ハンタースクイレル


スキル

敏捷増大(LV.3)、魔力増大(LV.2)、土魔法(LV.1)、意思疎通



やはりトゥーンの能力はずば抜けているのか。

しかし、俺の持っていないスキルを所持しているな。

ここは上手いことコピーしたいところだ。

と考えたところでちょっとした悪知恵を閃く。


『はじめまして、長老殿。』


そういって手を長老の前に出す。

その動きを、トゥーンと長老は不思議そうに見ている。


『俺の住んでた所では、初対面と方とは挨拶の後握手をするのが決まりでね。こいつは手に武器を持っていない。つまり敵意は無いから、仲良くしてほしいって意味があるのさ。』


何となく、昔聞いた蘊蓄を思い出しながら話す。

鼻をスピスピしながら長老は俺の差し出した手を掴む。

その瞬間“複写”を発動。

土魔法をコピーさせてもらう。



土魔法(LV.1)・・・土属性の魔法を操る。



『それは素晴らしい習慣じゃのう。』


しっかりと手を掴んでくれるので、こちらも長老の前足をしっかり掴み返す。

そして軽く上下に振る。


『あぁ、対等な関係性を築いていく第一歩としては最適な挨拶だと思う。』


『うむうむ、これは良き事を聞いた。』


『ただ固執するのは危険だけどな。たまにこの握手を悪用して不意打ち食らわせようとする不届き者もいるみたいだからな。』


『うむうむ、そうなのか。それは注意しとかんといかんのう。』


本心から良いことを聞いたと思ってくれていそうな長老を見て少し不安になった為、一応の注意を促しておく。

仮に敵対している勢力があったとして、なにも考えなしに握手を求めて攻撃を受けられてしまっては申し訳がたたない。


『おい、クルス!俺様には握手無しかよ!』


『トゥーンとはもう友達だから必要ないだろ?むしろ拳を交えあった戦友みたいなもんか?』


『戦友?そうか!戦友か!』


拳を交えあったというより、一方的に吹っ飛ばされただけだけどな。

そのままで言ってしまうと、カッコがつかない。

それしても、簡単に丸め込めるトゥーンは扱いやすくていい。

俺も子供の頃はこれほど純粋に人を信じる事が出来ていたのか?

トゥーンを見ていると、時折眩しく見えてしまう。


『皆の衆、こやつはどうやらこちらに危害を加える輩ではないようじゃ。トゥーンの客人じゃ。』


そう長老が言うと、今の今までこちらに向いていた視線はそのままに、穴から飛び足してくるリスたち。

出るわ出るわですごい数だ。

いったい何匹いるんだ?

数えるのも面倒になるほどの数に驚かされる。


『トゥーン、すごい数いるんだな。』


『そうか?昔からこんなもんだぜ。』


『そうなのか・・・』


リスは確か齧歯類だったか。

ということはネズミの仲間みたいなもんか。

ネズミ算的に増えればこのくらい普通なのか?


『それよりも、皆に挨拶してやってくれよ。みんなー、俺様の友達のクルスだ!仲良くしてやってくれよー!』


『おー、よろしくー』


この場に集まったリス達が一斉に声をあげる。

いや、念話だから念を送るのか?


たくさん集まったリス達の中から一匹が俺の前に出てくる。

じっとこっちを見ながら前足を差し出す。


『さっき長老となんかやってただろ。俺もやりたい。』


というので、握手をしてあげると嬉しそうにその場で跳び跳ねる。

それこそ、アニメ映画に出てくる動物のように喜びを全身で表現しているかのようだ。

それを見ていた周りのリス達も我も我もと前足を差し出す。

皆一様に目を輝かせているのが見てとれる。


こうなってしまっては仕方ないか。

それこそ大量にいるリス達一匹一匹と握手を交わしていく。

勿論、その間も“神眼”を発動させ続けながら、所持していないスキルをいくつも獲得していく。


一時間以上握手をやり続けただろうか?

集まったリス達は満足したのか、口々に


『ゆっくりしていけ。』


と言ってくれる。


『握手面白い!』


とおどけながら、仲間達同士で握手を交わし会うのもいた。

それまで存在してなかった文化を面白がってる様子だ。


『他にも面白そうな事ないの?』


とぶつけてくるリスもいた。

収集のつかない状況にどっと疲れを感じる。

こうして、気づけばお祭り状態のリス達の集落は騒がしいまま夜明けを迎えるのであった。

獲得したスキルについては次回公開ですかね。

恐らく獲得スキル説明回となるはずです。

さぁ、今の内に言い訳考えとかなくては。

タグにご都合主義といれるべきかな?


ちなみに前回でも作中で軽く触れてますが、固有スキルは複写で獲得出来ません。

あくまでも各々の固有ですので。

逆に言ってしまえば取得が難しくとも汎用スキルはなんでも複写出来ます。

チート万歳!


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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