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久々の街並

移動すること約一週間。

村へと辿った道を引き返して、街へと戻っていく。

無論、村の生き残りの連中は心配だが、戻ると決めた以上早めに街に着き、支援を送り込む事が肝要だろう。

道中は特に何も気になるような事は無かった。

森からはぐれて出てきた魔物を、片付ける事があったくらいか。


それから、何故か移動の間の食事の準備をやらされ続けていたが、何故なんだろうか?

いや、別に構いはしないが。

カインもよく手伝ってくれていた。

事件を起こした側の連中の分も作ってやらなくてはいけないので、多目に作らなくてはならなかったので助かった。

犯罪者の食事の準備などしなくてもいいかとも思ったが、ちゃんと世話してくれる者がいるだけで、反抗しづらくなるものだ。

馬車の中で暴れられたら、迷惑この上ないからな。

そのせいか、カインの調理の腕が上がっているように思えた。

もしかして“調理”のスキルを獲得したのか?

と思い、カインの能力を確認する。



名前 カイン

種族 人

性別 男


スキル

腕力増大(LV.4)、敏捷増大(LV.4)

命中補正(LV.3)


短剣熟練(LV.4)、弓熟練(LV.3)


気配遮断(LV.2)、加速(LV.2)

意思疎通、調理(LV.1)


やはり、スキルを獲得しているな。

それに地味にスキルレベルが上昇している。

もしかしたら、スキル所持者と共に修練に励むと、スキルの獲得が速いのかもしれない。

とするなら、魔法を覚えさせることも出来るのかもしれないな。

他にも、素手での戦い方を覚えることが出来れば、より攻撃の幅が広がる。

すぐには無理かもしれないが、今後の目標と勝手に定めておこう。

足手まといになることは無いし、俺はそう思うことは無いだろうが、カイン自身は悩むこともあるかもしれないからな。


街に着くと、一番に冒険者ギルドへと向かう事になった。

さっさと依頼の結果の報告を済ませてしまうに、こしたことはないだろう。

後に引っ張ったところで、意味は無いからな。

馬車に乗ったままで街中を抜けていく。

半月ぶりくらいではあるが、何故か街並みを見て懐かしく思ってしまった。

別に故郷でもなんでも無いんだが、水が合うというか、不思議な安心感があった。

人の往来を見て、心が落ち着くのだ。

訪れた村は人の姿が無かったこともあるだろう。

雑多な感じが自分にあっているのだろうか。

元の世界で住んでいたところが、人が特に多い都市であったことも影響があると思う。

人は一人では生きていくことが出来ないというが、本当にその通りだと思ってしまった。


やがて、馬車は冒険者ギルドにたどり着く。

冒険者ギルドの建物周りも、人の姿が数多く確認できる。


「よし、到着だ。」


「ああ、お疲れアルク。」


「ありがとうございました。」


道中、馬車の御者を続けていたアルクに、俺とカインは礼を述べる。

仕事の一環であると言われてしまえば、それまでの話ではあるが、それでも様々な場面で助かったのは事実だ。


「いや、仕事だからな。それに御者を任せるには不安があったからな。それなら素直にこいつらの監視をしておいてもらった方が余程助かるというものだ。」


そう言って、アルクは馬車の中に捕らえている連中を指差す。


「さて、馬車の片付けをしなくてはいけないな。クルス、誰か職員を呼んできてくれ。とっととこいつらを引き渡す。」


「あ、それなら僕が行ってきますよ。」


俺が動こうとする前に、カインが冒険者ギルドに走っていってしまう。

疲れもそろそろ出てきているだろうに、相も変わらずカインは真面目な事だ。


『おい、トゥーン。そろそろ起きろ。到着したぞ。』


犯罪者達の中で、腹を見せて眠っていたトゥーンに声を掛ける。

何かしでかしてくるとは思っていなかったが、それにしても無防備なことだ。

まぁ、バルがすぐ側で座っていたから、心配はしないが。

トゥーンもこの一週間で、大分体の中に血が生成されたのだろう。

以前のようなスタミナが、段々と回復しているようだ。

やはり、トゥーンは元気にチョロチョロしているくらいで丁度良い。


『おおぅ?もう着いたのか!よし、バル!外に行くぞ!』


トゥーンが、ピョンと身をひるがえし、軽業師の如くにバルの背に股がるというよりしがみつく。

それに反応して、バルが小さく吠えると馬車の中から降りてくる。

もう、言葉が通じているとしか言い様の無いバル。

一番に懐かれているのは俺だが、最近はトゥーンやカインにも馴れたようだ。

アルクにもそれなりに懐いているように見える。


『おいおい、そんな慌てて出なくてもいいだろ。』


『いいからクルスも出てこい!馬車の中も悪くないけど、やっぱり地面は良いな!』


いや、トゥーン。

お前だってまだ、自分の足で立ってないだろ?

それで良いなら別に構いやしないが。

さて、俺も降りるか。

久々の街だ。

すぐにでも何処かに遊びにでも行きたくなるな。


俺が馬車から降りると、丁度冒険者ギルドから何人かこちらに向かってやって来るのが見えた。

先頭にはガイエンが立っており、カインと何事か話している。

かなり気になっていたのだろう。

こちらに軽く手を振っている。

やれやれ、これでようやく肩の荷が下りるか。

さて、街に到着です。

カインも成長しました。


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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