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邂逅

疑問を浮かべながら、目の前のリスは威嚇を止める。

警戒は続けているものの、攻撃する意思はひとまず引っ込めてくれたようだ。

このままなんとか矛を納めてもらわねば。


『おい!お前俺様の言ってること聞こえてんだろ!どうなんだよ!』


『あぁ、聞こえてる。』


『何で俺様と会話が出来るんだお前。俺と姿かっこ違うくせに!』


『ちょっと特別なんだよ。』


『特別ってなんだよ!お前、ズルいぞ!』


喋り口調から幼さを感じる。

もしかしてまだ子供か?

しかし、子供だとしても恐るべき能力だ。

ただでさえリスの癖にあれだけの強さを誇っているのだ。


『それよりも、君の方が特別じゃないか?』


『どういうことだ?』


『あまりにも強すぎないか?』


ひとまず、目の前のリスをもちあげることにした。

少しでも気を良くすれば話し合いで何とか解決出来るかもしれない。

予想通りというか、俺の言葉に気を良くするリス。


『そうだろ。俺様は特別なんだ!仲間達の中でも一番強いんだ!』


『そうなのか。確かに君ほど力を持ってる奴、見たことないよ。』


この世界に来て出会った動物はこのリスしかいないけども。

まぁ、嘘は言っていないしいいだろう。


『それで君は何で俺に攻撃をしてきたんだ?』


その言葉にハッと気付いたのか、再びこちらを威嚇するような表情を浮かべる。


『いや、待ってくれ。争う気は無いんだ。ただ何でこんなことになったのかが知りたいだけなんだ。』


『お前、リンガの実食べただろ!俺が先に見つけてたんだ!これは俺んだ!』


そういうことか。

理由も実に稚拙。

まさに子供の言い訳だな。

それなら同じ土俵で話をすればいいか。


『この木を自力で?』


『そうさ。俺様だから見つけれたんだ。』


『たまたまな訳だね?』


『そうだけど、何が言いたいんだよ!』


『それじゃ、君の持ち物じゃないわけだ。』


ムッとした雰囲気が醸し出されるのがわかる。

それはそうだろう。

せっかく見つけたものが自分のじゃないと言われたら、腹もたつというものだ。


『何でだよ!』


『俺は君と違って自力では見つけられなかった。この場所に、この木が立っているということを教えてもらったから来ることが出来たんだ。先に見つけた方が所有権があるなら、俺にその事を教えてくれた存在の物だろ?』


『むむ・・・だとしても、俺様の方が先かもしんないだろ!』


『きっと君より長生きしてるからそれはないと思うよ。』


『誰だよそいつ!ここに連れてこいよ!』


『それは出来ないんだ。この場所を教えてくれた彼らはその場から動くことは出来ないから。』


俺はリスを手招きすると、ある一点に指を指す。

そこには俺にこの場所を教えてくれた古代樹の内の一本がそびえ立っている。


『おい、木が喋るわけないだろ!そんな訳の解らない事で惑わされないからな!』


『それなら話しかけて見ればいい。君は特別なんだろ?』


『そうだな・・・わかった!やってみる!』


けしかけてみると、直ぐにそれに乗っかるところもやはり子供のようだ。

不思議なもので会話していると親近感のようなものが出てくる。

子供の無邪気さのなせる技なのだろうか?

古代樹に駆け寄ると、


『おい!話できるって本当か!』


『なんだ、君か。よくここに来てる子だね。』


『本当に喋った!』


素直に驚いているようだ。

まあ、“意思疎通”のスキルを保持しているなら、問題ないとは思っていたが無事会話が出来たようで何よりだ。


『お前があいつにこの場所教えてやったのか?』


『そうだよ。それにさっきまでのやり取りは見ていたよ。そこの彼の言う通り、僕はそのリンガの木が生まれる前からここにいたからね。君の言いぶんから言うと、リンガの木は僕の物になるよね。』


『うっ・・・そうだな・・・』


木に諭されるリス、というファンシーなやりとりが目の前で繰り広げられるとはね。

俺は悄気込むリスに近寄る。

もう危険はないだろう。


『皆仲良くしなくてはいけないよ。外の世界はしらないけど、この森で生きてくならそれは絶対だよ。』


『まぁ、そういうこと。別に独り占めする気は無いんだ。分けあって仲良く食べたらいいさ。』


『いいのか?お前に攻撃しちゃったんだぞ。』


『そういうことなら僕も異存は無いな。』


『わかった!』


どうやら丸め込むことに成功したようだ。

あまり深く考えないタイプのようだな。

それに、カラッとした感じで好感が持てる。

子供はそうじゃなくちゃな。


丸め込むのに協力してもらった古代樹に礼を言うと、リンガの木の元へと戻る。

気付けばリスが肩の上に乗っかってきていた。

先程までの険悪な雰囲気は無い。

本来は人懐っこい性格なんだろうか?

いや、今はそれよりもリンガの実なのだろうな。


実をもぎ、手渡すと器用に前足で持ち食べ始める。

その間も肩の上に乗ったままであり、よくもまあそんなとこで食べれるものだと思う。

腹でも減っていたのだろうか?

一気に平らげてしまう。


『おい!お前、名前なんていうんだ。』


『俺はクルスだ。君は?』


『俺様はトゥーンだ!お前いいやつだな、気に入ったぜ。俺の住んでるとこ遊びこいよ!』


何故かトゥーンというリスの住みかに誘われることになった。

名前 トゥーン

種族 ハンタースクイレル


スキル

勇者、体力増大(LV.MAX)、敏捷増大(LV.MAX)、腕力増大(LV.MAX)、魔力増大(LV.MAX)、状態異常回避(LV.MAX)、風魔法(LV.MAX)、神聖魔法(LV.MAX)、意思疎通、成長促進



トゥーン・・・単純過ぎだわ。


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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