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依頼としての魔物討伐

森に踏み入ると、やはり雰囲気がまたがらりと変わる。

あまり人の進入することがないのだろう。

それほど伐採されることなく林立する木々から、自由にあちらこちらへ伸びた枝が視界を奪う。

そんな劣悪といっていい環境の中を、奥へ奥へと進んでいく。

今のところ、魔物と遭遇することはない。

トゥーンが視線を感じていたわけだし、いずれは出てくるだろう。


『今回の討伐対象ってウェアラットでしたよね?』


『あぁ、それを一匹狩ってくるだけでいいそうだ。特に出現しやすい魔物なんだと。』


『でも、一匹だけでいいんですか?』


『Eランクにすらなっていない扱いならこんなもんなんじゃないか?俺と一緒に講習受けてた連中の全てが遣い手って訳じゃなかったしな。』


『なんだ?一匹だけか?』


『いや、狩れるだけ狩っていきたい。』


そうは言っても、出てきてくれないことには始まらない。

ただ踏み入っていくのも、損な事かと考え、“神眼”を発動しあたりを見回す。

するとびっくりするほどの量の薬草が、何種類も雑多な感じでその辺に生えている。

ガイエンには討伐依頼をこなしてくるように言われていた。

でなくては、特殊依頼なるものを出せないと。

だが、このままではその特殊依頼をまともに受けることなど出来ないだろう。

なにせ、懐の中が寂しすぎるのだ。

トゥーンにしても、カインにしてもまだ現在のところは余裕があるものの、何もしないままではいずれ寒風吹きすさぶ状態になることはわかりきっている。


『カイン、ここら辺にはずいぶん薬草が生えてるみたいだな。』


『そうですね。あまり人が入ることもなさそうですね。薪とかどうしているんでしょうね?』


『あぁ、それなら常時依頼としてギルドのボードに貼り付けられてたな。』


『すごいですね。薪すら依頼に出すなんて。』


『それだけ、この森が人を受け入れてはくれないんだろうな。でだ、魔物もどうやらすぐには出てこないみたいだし、この辺の薬草を採集しようかと思うんだが、どうだ?』


『そうですね。ただうろうろしているより建設的なのかもしれませんね。トゥーンくんには見張りをお願いしてもいいですか?』


『お?いいぞ!俺様に任せとけ!』


こうして、トゥーンに見張りを任せ、二人で薬草を採集し始める。

さすがカインといったところか。

俺のようにズルをしなくても、薬草の目利きが出来るようだ。

山菜のように、いくらか残したほうがいいかカインに聞くが、目に入る分を採集しても問題ないという。

この森は、魔素に満ち満ちており、ほっといても自然と生えてくるという。

あれ?

魔素って体に悪いんじゃなかったっけ?

・・・まぁ、いいか。

専門的な話は知らないし、魔の森さんの薬草を使用するのは俺でもないし。


採集し終えたら、薬草をカインに託す。

魔法の袋はやはり便利だな。

どこかで販売されていないだろうか?

恐ろしく高いかもしれないが、これを手に入れた際の利点を考えれば安いものだ。

ランクの高い魔物の討伐にでも成功すれば、すぐに元くらい回収できるだろう。


しばらくは、薬草の回収に励み続けることとなった。

いっこうに魔物が顔を出さないのだ。

いったいどうしたというんだ?

そのうちに、あたりに生えていた薬草をあらかた採集しつくしてしまう。

もう、冒険者なんて辞めて薬草回収業でも専門にした方が、よほど儲かりそうな気がしてきた。

残りの薬草もカインに託し、そろそろ移動をしようかとしたところでトゥーンから魔物の接近を告げられる。


『クルス!結構たくさん来てる!』


『少し惹きつけていてくれ、魔物の姿が見たい。』


ようやく魔物が現れてテンションがいやがおうにもあがるトゥーンに、攻撃を控えるように頼む。

討伐条件に必ず討伐の証明の為に、指示された部位を持ち帰ることになっていたのだ。

何も考えず攻撃を繰り出して、その部位を無駄にしてしまうのはあまりに惜しい。

魔物の姿を確認するのは、魔物の討伐を行うのならば最も重要なことだろう。

やがて、狼の姿をした魔物が多数顔を出す。

あれはたしか・・・


『ハイウルフです。連携を活かした波状攻撃に注意してください。』


そうだそうだ、ハイウルフだ。

常時依頼にも名を連ねていたな。



種族 ハイウルフ


スキル

切り裂き(LV.1)

敏捷増大(LV.2)

連携(LV.2)



適当に何匹かを“神眼”で確認する。

どの個体も似たかよったかのスキルだ。

街に来る前にも、何匹も倒していたし苦労はしないだろう。


『トゥーン、証明部位はたしか右耳だ。そこ以外なら、いくらでも攻撃していいぞ。』


『わかった!』


言うが早いか、一匹に飛び掛ると鼻先を爪で引っかく。

すると、鼻先だけじゃなく、頭がさっくりと裂かれる。

鋭利な刃物で切り裂かれたかのような切断面が見える。

なかなかグロテスクだが、トゥーンは気にしない。

人間とリスでは感性が違うだろうからな。


俺もなるべく気にしないようにしながら別のに接近し、腹部を蹴り上げる。

見た目より大分遅く感じた。

以前戦ったものの方が、俊敏かつ力強かった気がする。

魔の森とはいっても外周部だ。

それほど強いタイプはいないのだろう。


カインも腰から短剣を引き抜くと、打撃と織り交ぜながら戦っていた。

遠距離から矢を放ってくれているだけで十分なんだが、ここはそのままにしておく。

経験を積むことで新たなスキルに目覚めるかもしれないし、現在あるスキルを伸ばすのも大事だ。

どちらかといえば遠距離攻撃が得意だが、懐に入られてしまったときの対処法を自分の中で確立しておくことも大事だ。


三人がかりで確実に倒していく。

たいした時間をかけずに全滅させることに成功する。

全員、怪我一つ負うことなく倒すことが出来た。

上々の戦果だろう。

俺も戦闘中に獲得したスキルを確認する。



切り裂き(LV.1)・・・切り裂く威力を増幅させる


連携(LV.1)・・・仲間の動きに対応しやすくなる



“切り裂き”の説明がいまいちわからない。

切り裂く威力?

その辺の草に対してナイフを振る。

若干威力が上がって・・・る?

あまり実感できないな。

道具を使用しての発動はしないのか?

まあ、しばらくは様子見か。


その後も順調に魔物を狩っていく。

魔物といってもハイウルフしか姿を現さないんだが。

いっこうにウェアラットの姿を見ない。

仕方ない。

もう少し森をうろつくしかないんだな。





新たにスキル獲得です。

以前の森の中の個体は、今回獲得したスキルは持ち合わせていませんでした。

所変われば品変わるといったことです。


名前 クルス・カミヤ

性別 男

年齢 18


スキル

神眼、複写


体力増大(LV.4)、敏捷増大(LV.3)

腕力増大(LV.5)、魔力増大(LV.3)

精神力増大(LV.5)、命中補正(LV.2)


蹴撃熟練(LV.1)、短剣熟練(LV.4)

槍熟練(LV.1)


打撃(LV.4)、切り裂き(LV.1)


火魔法(LV.3)、水魔法(LV.2)

風魔法(LV.3)、土魔法(LV.4)

神聖魔法(LV.1)


強奪(LV.1)、気配遮断(LV.3)

隠蔽(LV.2)、加速(LV.3)

連携(LV.1)、幻惑(LV.1)


自然治癒増大(LV.4)、状態異常回避(LV.3)

成長促進、意志疎通

解体、調理(LV.1)



ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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