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交換条件

「どういう意味だ?」


「そのままの意味だ。お前のような新人は見たことがない。」


「そうなのか?俺以上の遣い手なんていくらでもいるだろうよ。」


いきなりなんだと思ったが、素性を知りたかったということか。

しかし、自分の事を素直に全て話したとしても信じやしないだろう。

よしんば信じたとしても、何か特になることがあるのか?

変に騒ぎ立てられるような事になれば、面倒な事この上ない。

まぁ、誤魔化す一択で。


『カイン、俺が飛ばされ者ってことは秘密な。』


『わかってます。そう簡単に外の人間に話なんかしませんよ。』


良く分かってるじゃないか。

念話を使用して、意思の疎通をはかる。

リアルタイムで口裏合わせの相談が出来るのは、一つの強みだな。


「確かに、クルス以上の遣い手がいることは事実だ。だが、右も左も分からないはずの新人が、これほど自分の情報を秘匿するとなると、何かあるのか気になるものだろう?」


「さてね・・・別に特別な事なんか無いさ。」


「模擬戦闘についてもだ。魔物との戦いは、堂に入ったものだった。余程の魔物の討伐経験があると見ていいだろうな。」


「それに、カインさんが、昨日持ち込んだ魔物の素材の量にも驚かされました。一度に持ち込まれる量ではありませんでしたね。」


おっと、ここでカインの話が出てくるか。

むしろこの話をするために、引き込んだと見ていいだろうな。

大量の魔物の素材を持ち込んだ冒険者ですらなかった者と、情報を頑なに秘匿する戦い馴れした新人。

そんなのが一緒にいれば、嫌でも目につくだろう。


「で、何が言いたいんだ?」


「なに、簡単な話だ。俺はその強さの秘密を知りたい。正直、まだ底が見えない。それに、そのハンタースクイレルについてもだ。それほどの獣がなついていれば、気にならない訳がない。」


ハンタースクイレルって、それほど珍しいのか?

見た目、ただのリスだぞ。

トゥーンについては、少々特殊だが。


「別にそんなこと、どうでもいいだろう?たまたま、旅に付いてきてしまっただけだ。犬猫が付いてきてしまったのと、似たかよったかの話だろ?」


「僕は防人の一族の男です。魔物の討伐ぐらい出来なくては、森で生きてなんていけませんよ。」


「なるほど。カインは、あの防人の一族か。それなら、戦闘経験があるのも理解できる。それで?」


「俺か?特に話すことは無いな。はっきり言って、詮索されるのは好きじゃない。冒険者も、手っ取り早く先立つ物が欲しかったからなっただけだ。」


考える素振りを見せるガイエン。

その後ろでは、リフィが眼鏡を直していた。


「あくまで、話すつもりはないということだな?」


「あぁ、そういうことだ。」


「わかった、もういい。」


どうやら、諦めてくれたようだ。

いや、一旦退いただけか?

それでも、構わない。


「こちらも話がある。」


「なんだ、何かあるのか?」


「従魔についてだ。」


「あぁ、そういえばそんな話をしたな。」


「それなんだが、こいつも冒険者扱いにする事って可能なのか?」


この質問に、眉間にしわを寄せる。

やはり、こんな話はあまり無いのだろうな。

そんなことは、百も承知のうえだ。

向こうの話には答えないのに、都合の良いことだな。


「不思議な事を言うものだ。人以外に冒険者と名乗るなど聞いたことがない。」


「なら、そういう例外的な話も無いと言うわけだな?」


「いえ、そうでもないですよ。」


俺とカインの視線がリフィに向く。

ガイエンもリフィを見ているところを見ると、どうやらそんな話は知らなかったようだ。

どうせ、無理だと思っていたところに予期せぬ朗報だ。

しかし、本当に可能なのか?


「過去にそのような例外が無かった訳では無いですよ。実績が認められる程の活躍が出来れば、冒険者として認められる事もあります。」


「それなら、どうしたらいいか教えてほしいな。」


「でしたら、交換条件というのはいかがでしょうか、支部長?」


「それは良いな。クルス、お前は自分の事は話せないが、ギルドに対しては求めるものがある。それなら、俺から特殊依頼を出そう。」


特殊依頼?

いったい何をさせられるんだ?

ボードに貼られない依頼なのは、予想がつくんだが。


「実力を確認したい。その強さの一端を知りたいのだ。それを知ることが出来れば、素性の詮索をするのは止めにしよう。」


「いったい何をさせる気だ?」


「ここ街から、南へ一週間程の距離を行くと村がある。そこでどうも異変が起こっているらしいのだ。それを調べてきてほしい。そして、叶うのなら、解決してきてくれれば、なお良いな。」


「異変?」


「あぁ、死者が蘇るという現象が起こっているらしい。本来ならありえないのだが、仮に本当にそんなことが起きているならば捨て置く訳にはいかないだろう。」


死者が蘇る?

俺のような話ではないだろう。

となれば、アンデッドというやつか?

しかし、いくら実力が見てみたいからといって、いきなりそんな重要そうな依頼を出してくるか?


「無論、今のままではこの依頼を出してやるわけにはいかない。いくつかの依頼をこなしてほしい。その上での依頼となる。」


「急ぎでは無いのか?」


「無論、それほど時間をおくわけにはいかない。期限はそうだな・・・三日の内に10個くらい依頼をこなしてこい。討伐依頼に限るぞ。」


「わかった。それなら、時間が惜しいな。早速行ってくるか。」


「ええ、トゥーンくんの為に頑張りましょう。」


そうして、俺達は部屋を出る。

さて、依頼を受けてみるとするか。

少々強引でしょうかね?

強引だらけで申し訳無い気持ちで一杯ですよ。

続けるでしょうけど。


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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