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買い食いは楽しい

宿を出て街中を散歩し始める。

キョロキョロと、右や左を見ながらのんびり歩く。

そのさまは、端から見ればお上りさんに見えるだろうが、あながち間違いではない。

この世界で、これほど人が密集した場所に来たのは、初めてなのだから。

目的地があるわけじゃない。

でも、そんな状態でブラブラ歩くのも、たまにはいいものだ。

ひとまず、街の入り口である門の方へ向かっていくことにした。


やはり、綺麗な町並みだ。

よほど、計画的に造られた街なのだろう。

軒並み、高さを揃えられた建物が並ぶ。

どれも三階建てとなっており、様々な店が一階で商売をしており、威勢の良い声が響く店もチラホラだ。

また、出店も数多く出ており、適当な店で買い食いするのも楽しいだろう。


『何か食べたいものがあったら、言えよ。』


『お!食べていいのか?』


『ここに来るまでに、随分助けられたしな。さすがに手持ち以上は無理だけどな。』


『おお!やったーーー!』


素直に喜ぶトゥーン。

自分一人では、買うことも出来ないもんな。

せめて、言葉の一つでも話せれば違うんだろうけど。

いや、それも無理か。

怖がられるかもしれないし、最悪攻撃を受けてしまうかもしれないな。


『さて、じゃあどうするか。』


『俺様は、あれが良い!』


髪の毛を引っ張って、行きたい方向を示してくる。

なかなかの勢いで引っ張るものだから、結構いたいんだが。

あんまり引っ張られて、剥げやしないよな。

はやるトゥーンをなだめながら、示す方へと進む。


『なっ!コレ、スゲーうまそー!』


『串焼きか。』


なんの肉を使用した串焼きなんだろう?

でも、確かに旨そうだ。

滴る肉汁が、その身を焼く炭に落ちて、凄まじいほどの香りを醸し出している。

香りだけで、ご飯が食べれそうだな。


「らっしゃい!兄さん、どうするね?」


「いや、旨そうだなと思ってね。こいつは、一体なんの肉を使ってるんだい?」


「そいつは企業秘密ってもんだ!ってな嘘だ。ハハハハハ・・・こいつは、ブルオークの肉さ。」


ブルオーク?

恐らく魔物だろうな。

ここに来るまでには、出くわさなかったな。

オークって食べれるのな。


「へぇ・・・食べたことないな。」


「そいつはいけねぇ。早速食べてみたらいいぜ。」


「そうだな・・・二串貰えるか?」


「はいよ!銅貨二十枚になるよ。」


銀貨を一枚渡し、つり銭を貰う。

商品を受け取ると、頭から降りるようにトゥーンに告げる。

さすがに頭の上で食べられるのは具合が悪い。


『しょうがないなぁ。』


といいながらも、素直に降りてくれる。

頭の上に乗ってるよりも、目先の肉が優先のようだ。

まぁ、当然か。

地面に降りたトゥーンに一串渡し、残りのもう一串にかぶりつく。

歯が入った所から、かなりの肉汁が飛び出す。

これは・・・旨いな。


「おいおい、兄さん。その頭の上に乗ってたのにくれてやるのかい?」


「ん?ダメか?」


「いや、ダメじゃ無いがペットに食わせるなんて、中々そんな奴はいないからな。」


「あぁ、なるほどね。ペットに与えるには上等すぎるだろってことか。まぁ、こいつは、ペットっていうより相棒って感じだからな。食い物も対等にしないとな。」


「はぁー、そりゃ、奇特なこった。まぁ、買ってくれるなら何でも良いけどな。」


動物に対して、同じ条件で付き合うなんて奴は中々いないだろうな。

でも、トゥーンにはコレまでも何度も力を借りてきているしな。

好きなものくらい食わせてやってもいいだろうし、それに他人にとやかく言わせる気は微塵もなかった。


トゥーンは、あっという間に平らげてしまい、まだ残っている俺の串をジーッと見ていた。

しょうがないな。


『なんだ?食べ足りないのか?食べ掛けでも良いなら、分けてやるけど。』


『いいのか?・・・いや、でもそれはクルスのだからな。』


変なところで遠慮する奴だな。

串を目の前に出してやる。


『遠慮するなよ。食って構わないぞ。』


『そうか?そんなに言うなら、食ってやる!』


そう言って、嬉々として食べ始める。

凄い勢いだな。

よほど、旨かったのだろう。

食べ終わるのを待つまでもなく、直ぐに食べ終わってしまう。


「さて、行くか。旨かったよ。」


「まいど!また寄ってくれや。そっちのちっこい方も、連れてきてくれや。」


「あぁ、ありがとう。『さ、トゥーン行くぞ。』」


『おう!次は何食おうか?』


『ははは・・・何でもいいぞ。ブラブラしながら色々見ていこう。』


かなり満足な気持ちになりながら、出店を離れる。

他にも沢山の出店が出ている。


『あそこはなんだ?』


好奇心を爆発させたトゥーンの後ろを付いていく。

せっかくだ、今日はトゥーンの好きにさせるのも面白いかもしれない。

食い道楽のような散歩になりそうだな。

腹を軽く擦る。

俺よりも体が小さいのに、相当食べるからな。

それでも、嬉しそうなトゥーンを見ていると、何だかこっちも楽しい気持ちになってくる。

さて、散歩を続けようか。

今回のような話はほのぼのしていいですね。

トゥーンは、純粋さと好奇心の塊のような存在として上手く表現出来るようにしたいですね。


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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