現状確認
身を起こして周囲を見渡す。
一体どこなのだろう?
もっとも、その辺の知識がまったく無いので考えても無駄なのだが。
まずは人のいる場所を探さねばなるまい。
しかし、闇雲に動き回るのも危険か。
まずは今何が出来るか、そして出来ないかの把握をすべきだろう。
それが今後の行動の指針となるはずだ。
現状の確認か。
服装は寝間着として着用していたTシャツにハーフパンツというかなりの軽装だ。
幸い気温が比較的高いのか、過ごしやすい温度だ。
これが冬の突き刺すような寒さならば耐えきれなかっただろう。
これはまあいい。
ただ、いただけないのは裸足であるという点だ。
ちょっと歩いただけで足を怪我する可能性がある。
どちらにせよ、移動するとなれば裸足で動かざるおえないので仕方ないといえば仕方ないのだが。
それこそ寝間着のままでこちらへ飛ばされてしまったわけで、所持品といえるものは何もない。
ということはつまり、食糧や水も持っていないということであり、これらの獲得は最優先になるだろう。
動物を捕らえることも視野にいれなければならないだろうが、ナイフ一本持っていない状態でどう捕らえ、解体して食糧に変えるのか?
火をおこす事すらできないのであれば、生で食べる事になるが、危険性はないか?
そうなると、丁度森の中ということもある。
何か生食で食べれそうな木の実などを探してみた方が懸命な気がする。
考えていくたびに、何ともならない現実を突きつけられているようでなかなかに辛い。
「ステータスオープン。」
何もない空中に不思議な板が浮かぶ。
名前 クルス・カミヤ
性別 男
年齢 18
スキル
神眼、体力増大(LV.1)、強奪(LV.1)、気配遮断(LV.1)、複写、隠蔽(LV.1)
やはり、見間違いではないな。
年齢がかなり若くなっている。
運動をあまりしなくなり弛みだしていた体ではなく、ある程度引き締まっていた頃に戻っていた。
新たな人生を歩んでいく為にいくらかサービスしてくれたんだろうか?
さて、何か使えるスキルは有るだろうか?
スキルの名称でおおよその能力はわかるのだが、あくまでおおよそである。
詳しい説明はないかと、板を触る。
スキル名が書かれた部分に触れると、予想通り?説明が浮かんできた。
神眼・・・全てを見透かす神の目。
体力増大(LV.1)・・・体力を増幅する。
強奪(LV.1)・・・対象より物を奪う。
気配遮断(LV.1)・・・自らの気配を断つ。
複写・・・対象の能力を複写し自らのものにする。同じ対象から連続して能力を複写することはできない。
隠蔽(LV.1)・・・自らの能力を隠す
うーん、どうなんだ?
条件さえ揃えば非常に強力なスキルなんじゃないか?
ただ、今の状況を考えると辛いものがあるかもしれないな。
何せスキルの説明にもある“対象”がいない。
そうなると単体で使っていけるものは?
神眼は使ってみないとわからないが、気配遮断はいいんじゃないだろうか。
訳の分からない生き物に出くわす可能性を減らすことが出来るのは大きいと思うのだが。
体力増大というのもいい。
今の若くなった体と相まって良い効果を発揮しそうな気がする。
さて、スキルの確認は出来た。
早速、スキルを使用してみよう。
まずはスキル欄の始めに位置していた、神眼というスキルからだ。
しかし、どうやって使用するのか?
そんな風に考えると、自然と使い方が頭の中に浮かぶ。
もしかしたら、スキルを習得すると思い浮かぶのかもしれないな。
理由は分からないけども。
目を一度閉じ、頭の中で“神眼”を使用すると念じる。
そして目を開く。
辺りの風景にさほどの変化は無い・・・?
丁度、真正面にそびえている木を注視してみる。
すると、どうだろう。
その木の情報が頭の中に浮かぶ。
種族 古代樹
スキル
意志疎通、自然治癒増大(LV.MAX)、成長促進
そうか、この木は古代樹というのか。
しかし、植物にもスキルなんて存在するのか。
いや、ここは異世界。
自分の持つちっぽけな考えなど及ばない世界なのかもしれないな。
しかし、スキルがあるというなら折角だ。
自分の持つ別のスキルを使用してみるか。
複写というスキルを思い浮かべる。
やはりなのか、スキルの使用方法が分かる。
木に触れると“複写”と念じる。
脳内にどの能力を複写するのかという問いかけが有るように感じた。
選択式なのか。
ひとまず古代樹の持つ能力の最初にある意志疎通を複写してみよう。
“意志疎通”を選択すると念じると脳内で最適化されていくような不思議な感覚が瞬間的に走る。
これだけで複写が出来たのだろうか?
「ステータスオープン。」
再び、何もない空中に不思議な板が浮かぶ。
名前 クルス・カミヤ
性別 男
年齢 18
スキル
神眼、体力増大(LV.1)、強奪(LV.1)、気配遮断(LV.1)、複写、隠蔽(LV.1)、意志疎通
ふむ、追加されている。
一体どんな能力を秘めているんだ?
意志疎通・・・“意志疎通”の能力を持つ者通しで念話をすることが可能になる
つまり、このスキルを有するもの同士で念話?をすることが出来るのか。
ということは、もしかしたらこの大木とも会話が出来たりするのだろうか?
出来るとすれば、まさにファンタジーの世界だ。
映画やゲームの中の世界が、目の前に有ることに改めて驚かされる。
同じ対象に“複写”は連続して使用することは出来ないということなので、他に使用できる対象はいないかと別の古代樹に視線を移す。
どの古代樹も同じスキルを有しているらしく、有益そうな能力だし複写させてもらおう。
自然治癒増大(LV.1)・・・治癒能力が増幅する。
成長促進・・・能力の成長及び進化を促す。
自然治癒が促進されれば、怪我をしても心配が減るか。
しかし、どの程度の速さで回復するのだろうか?
いずれは検証しなくてはならないかもしれないな。
しかし、レベルまでは複写出来ないようだ。
成長促進は有難いスキルといえるな。
あくまで補助的なスキルだが、スキル名の横にあるLVとはおそらくレベルということだろう。
この数値が上がれば、スキルの効力が上昇するということだろうか。
さて、現状の確認は済んだ訳だし、この場にこのまま居続けても仕方がない。
移動をしようか。
どちらに向かうか・・・
名前 クルス・カミヤ
性別 男
年齢 18
スキル
神眼、体力増大(LV.1)、強奪(LV.1)、気配遮断(LV.1)、複写、隠蔽(LV.1)、意志疎通、自然治癒増大(LV.1)、成長促進
能力などに関することは、後書きに記していくことにします。
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