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旅立ちの朝

歓談の時間は続く。

これまで自分が、どんな世界に住んでいたのか。

どういう原因で、こちらに飛ばされてきたのをか。

森から脱出する際に、どのようにして行動してきたか、などなど様々なことを聞かれる。


対してこちらも、この世界はどのような国があるのか。

どのような生活をしているのか、など聞くことは広範囲に渡る。


聞くたびに驚かされ、話すたびに驚かれる。

そんな感じに会話が進んでいった。


スキルなどについて、特に聞かれることは無かったことから、スキルの概念は一般的では無いのかもしれない。


もっとも、仮にこちらのスキルを覗かれたとしても、“隠蔽”のスキルのお陰で簡単にはわからないだろう。

トゥーンにしても、覗かれる事があったとして、見ためただのリスが“勇者”など誰が信じるのだろうか。


会話を続ける間に、グルガストとゲインの能力を覗く。



名前 グルガスト

種族 人

性別 男


スキル

体力増大(LV.3)、腕力増大(LV.3)

敏捷増大(LV.4)、命中補正(LV.2)


短剣熟練(LV.2)、槍熟練(LV.4)

弓熟練(LV.2)


解体、気配遮断(LV.5)



名前 ゲイン

種族 人

性別 男


スキル

体力増大(LV.2)、腕力増大(LV.2)

敏捷増大(LV.3)命中補正(LV.4)


短剣熟練(LV.2)、弓熟練(LV.5)


解体、気配遮断(LV.5)



二人とも総じてスキルのレベルが高い。

防人の長と、その弟。

経験値は、フィーネやカインが及ぶことは無いだろう。

グルガストは近接、ゲインは遠距離での戦いが得意なのだろうな。


「そろそろいい時間やね。俺はそろそろ寝るわ。」


「うむ。ならば私も床に着くことにしよう。フィーネ。」


「分かってる。クルス、寝床を用意してある。今日はそこで休んでもらうといい。」


席を立ち、自分の寝床へと移動するグルガストとゲイン。

移動するといっても、仕切のないワンフロアの建物だ。

横になる様子が見てとれる。

こんな中で、フィーネも眠るのか?


「そうだな。そろそろ俺も休むか。」


「じゃあ、僕が案内しますよ。」


カインが、率先して寝床まで導いてくれる。

うとうとし続けるトゥーンを、そっと抱えるとその後ろを追従する。


「皆、同じ建物内で休むのか?」


「そうですね。それが普通じゃないんですか?」


「まぁ、そうなんだが・・・フィーネのように、年頃の娘がいるのに、仕切りも何もないからな。」


「あー、そういうことですか。」


どうやら、言いたいことを理解してくれたようだ。

さすがに、年頃のうら若き娘と、同じ部屋で休むことに抵抗があった。

近くに親が寝ているとしてもだ。


「仕方ないですよ。それに、家族ですしね。」


「まぁ、お前はそうだろうけどな。」


「クルスさん、考えすぎですよ。今日のところは気にせずに休んでください。」


カインが、布を敷き詰めた籠を渡してくれる。

どうやら、トゥーンの今日のベットのようだ。

その中にそっと寝かせる。


「疲れているでしょうし、眠ってしまえば気にならないはずですよ。」


「そういうもんか?まぁ、そうだな。」


郷に入っては郷に従えという言葉もある。

素直に従うことにするか。


指定された場所に横になる。

そこにもカーペットが敷かれており、食事をしたところに敷いてあるものと比べて、若干柔らかく感じた。

目を閉じると、すぐに意識を手放すことになった。


目を覚まし、体を起こして上半身だけで伸びをする。

よく眠った。

それこそ、泥のように。


建物内にはすでに人の姿は無く、皆起き出して活動しているようだ。

籠を覗き、未だ眠るトゥーンを起こすと、外に出る。

とてもいい天気だ。

空が澄み渡り、雲一つ無い快晴。

移動するのにちょうどいい。


『出発するのにいい天気だな。』


『おう!俺様もそう思うぞ。それで、どこ向かうんだ?』


『近くの街に、案内してもらう話になってるんだけどな。』


「お、起きたね兄さん。よく眠れたようでなによりだわ。」


少し離れた所から声を掛けられる。

この、防人の長らしからぬ話口調はゲインだな。

何か抱えている。


「おはよう。それは?」


ゲインの抱える荷物を指差す。

大きめの箱のようだが、中身はなんだろう?


「こりゃ、昨日の煙の原因だわ。ほら、薫製肉。」


「なるほどな。それが完成したから、朝から回収していたのか。」


「そうやね。さあ、家に入り。すぐに皆、戻ってくるから。朝メシにしようや。」


俺たちは、昨日食事した場所に戻ることにした。

しばらく待つと、皆勢揃いする。

昨日のように輪を作るようにして、食事をするのもいいものだな。

思えば、こちらの世界に来る前は、食事をするときはいつも一人だった。


「それで、出来れば今日出立したいのだが。」


「うむ。そうであったな。では、案内をつけてやらないといかんな。」


「そうやね。俺が行こうか?」


「叔父さんは長なのですから、無理言わないでください。」


「おいおい、フィーネ。たまには叔父さんも羽伸ばしたいのよ?」


ふざけた感じで発言するゲインをバッサリ。

責任ある立場だ。

たまには逃れたい気になるのも分かるがね。


「うむ。ここはカインに頼みたいと思うがどうか?」


「僕ですか!」


「ま、妥当やね。案内だけじゃなく、修行含みでしばらく行ってき。」


「次代の長になるのだろうから、それもいいと思う。」


「・・・わかりました。クルスさん、よろしくお願いします。」


「ああ、こちらこそよろしく頼む。」


こうして、俺は新たにカインという仲間を迎えることになった。

ということで、道案内はカイン君に決定しました。

最初はフィーネにしようと思ってたんですけどね・・・


ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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