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しばしの安息

防人の長の家に戻ると、フィーネが出迎えてくれる。


「おかえりなさい、カイン、クルス。」


「ただいま戻りました、姉さん。」


「失礼な事は無かった?」


「勿論無いはずだよ。ねっ、クルスさん。」


カインに聞かれ、頷いて答えとする。


「クルスも見違えたな。その姿なら旅もかなうというものだ。それに、飛ばされ者には見えないな。」


思わぬところで誉められる。

服装を誉められるなど久しぶりのことだ。

奥に行くように言うので向かうと、カーペットの敷かれた床の上に食事が用意されていた。

肉、肉、肉・・・

肉だらけだな。

申し訳程度に果物が置かれている程度だ。

野菜とか無いんかね?


そう思い、フィーネに野菜はないかと訊ねると、

高価なため、中々手に入らないんだそうだ。

この集落は季節とともに移動するらしく、畑を作っても面倒を見ることが出来ないと言う。

野草でも探せばいいと思うが、森から採ってくるのはご先祖様の言い付けで出来ないらしい。


それならばいっそのことと思い、袋に突っ込んでもらったワイルドボアの肉を手渡す。

二日前に焼いたものだし、食べれなそうなら処分をお願いする。

幸い痛んでいる様子もなく、それならばと共に並べてもらう。

ただ焼いただけだと伝えると、塩を軽く振り掛けてくれた。

促され、席に着く。


「うむ。それでは、食事にしようか。」


「今日は兄さんの歓迎会やね。ま、大したもんは無いけど好きなだけ食べてってくれや。」


「叔父さん?」


フィーネの表情が変わるのを読み取ると、ゲインは頭を掻きながら、謝罪する。

それほど怒っていなかったのか、すぐに表情を元に戻すと、何事も無かったかのように、食事を開始する。


「いや、失言失言。これだけ贅沢な品が並んでるんだった。フィーネは、怒らすと集落で一番おっかないからな。」


「ハハハハハ・・・父さん、言えてる。」


「二人とも・・・」


「あ、これヤバイやつやんか。」


「姉さん、落ち着いて。」


ゲインとカインの親子がフィーネをいじるといった構図に苦笑を禁じ得なかった。

皿に適当に肉を盛り付け、トゥーンに手渡しながら、グルガストに質問する。


「あの三人は、いつもこんな調子なのか?」


「うむ。二人が茶化し、フィーネが怒るという構図はいつものことだな。少し考え方が固いところがあるから、二人がなんとか出来ないかと始めたのだ。気づけば恒例行事のようになってしまったがな。」


「確かにしゃべり口調は、ちょっと固いな。」


「うむ。なんだかんだ言っても、年頃の娘だ。朗らかに笑うことも覚えなくては、嫁の貰い手もできないだろう。」


「そういうもんかね?」


フィーネの顔立ちは、よくわからない。

顔に施されたペイントが、表情を読みにくくする。

そういえば、この集落を回って気付いたが、ペイントをしているものはフィーネ以外いなかった。

何か理由でもあるのだろうか?


「なんでフィーネは顔を塗りたくってるんだ?」


「うむ。それは、フィーネが祖先を奉る巫女のような役割を担っているからだな。」


「これも先祖からの伝承か?」


「その通りだ。かつて我々の祖先は皆一様に顔に色を塗っていたそうだ。」


変わった風習だな。

とはいえ、かつての世界でも無かった訳じゃない。

少数民族と呼ばれる人らが、顔にペイントしているのを、テレビで見た記憶がある。

広義の意味では、京都の舞妓さんなんかも、これに含まれるかもしれないな。


それに、巫女か・・・

確か“祖霊の加護”とかいうスキルを持っていたな。

このスキル、もしかしたら防人の巫女であることも関係あるかもしれない。


その後、和やかに食事は済み、食事の後の片付けを始めるフィーネの手伝いをする。

とはいえ、食器を運ぶ程度ではあるが。


入り口付近にたらいを載せた台が置かれており、そこで食器を洗っているようだ。

たらいに食器を投入する際に、横で食器を洗っているフィーネに、さりげなく肘をぶつける。

手で触れなくとも、他の部分で触れた場合“複写”が使えるかの実験だ。

結果、上手くいった。

どうやら部位は関係なく、とにかく対象に触れる事が条件のようだ。



命中補正(LV.1)・・・遠距離での命中率を上げる



片付けが終わると、フィーネがお茶を淹れてくれた。

飲んだことの無い味だったが、不思議と嫌いじゃない。

もしかしたらマテ茶のように、このお茶からビタミンなどを得てるんじゃないか?などと考えてしまう。

ビタミンなどの栄養素の概念がこの世界にあるかは知らないが。


しばし、歓談の時間となる。

のんびりとした時間が過ぎる。

思えば、こちらの世界に来てこれほど安心できる時間というものがあっただろうか?

いつの間にか、俺の膝の上で微睡んでいたトゥーンをそのままに、話は続く。

名前 クルス・カミヤ

性別 男

年齢 18


スキル

神眼、複写


体力増大(LV.2)、敏捷増大(LV.2)

腕力増大(LV.2)、魔力増大(LV.2)

精神力増大(LV.2)、命中補正(LV.1)


短剣熟練(LV.1)


打撃(LV.2)


火魔法(LV.2)、水魔法(LV.2)

風魔法(LV.2)、土魔法(LV.2)


強奪(LV.1)、気配遮断(LV.1)

隠蔽(LV.1)、加速(LV.1)


自然治癒増大(LV.3)、状態異常回避(LV.1)

成長促進、意志疎通



ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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