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集落見学

建物の外に出ると、相変わらず煙につつまれていた。

いつまで、調理を続けているのだろう?

それとも、虫除けや腐食の効果を出すためにはこれだけ長く続けなければならないのだろうか?

それに視界が非常に悪い。

獣が紛れ込んできた場合、連携にも支障がでるだろうに。


『煙いー!』


トゥーンは頭の上で丸くなってしまう。

始めからわかってた話だろうに。


「この煙はいつまであるんだ?」


「夜には無くなりますよ。」


「そうなのか・・・」


夜までは、このままなのか。

特に期待はしてはいなかったが、集落に住む人間の様子を伺うことは、訪れた場所以外では出来なさそうだな。


「それで、何処からむかいましょうか?」


「そうだな、この集落に店があればそこに行きたいな。」


「専門的な店は無いですね。雑貨屋が一件辛うじてあるくらいですよ。」


「そこで構わない。案内してもらえるか?」


「わかりました。早速、向かいましょう。」


雑貨屋へ向かう間に、カインの能力を調べるべく“神眼”を発動する。



名前 カイン

種族 人

性別 男


スキル

腕力増大(LV.1)、敏捷増大(LV.2)

命中補正(LV.2)


短剣熟練(LV.2)、弓熟練(LV.2)


気配遮断(LV.1)、意思疎通



フィーネに似たスキルが並ぶ。

やはり予想通り“意思疎通”のスキルを所持しているな。

一体、トゥーンと何を話していたのやら。


やがて、目的の建物に着く。

入り口は固く閉ざされており、どうやら煙の侵入を阻んでいるようだ。

煙で燻す必要があるのは外壁にあたる部分だけなのだろう。


「カスクおばさーん。入るよー。」


そう言いながら、入り口を開け、俺に中に入るように言ってくれる。

俺は不自然にならないように、ありがとうと言いながら肩を叩き、スキルをコピーする。



短剣熟練(LV.1)・・・短剣の扱い方が上手くなる



なんとも言えないスキルだな。

どういうことなんだ?と頭で少し考えると、短剣の扱い方が思い浮かぶ。

短剣の振り方や、突き刺し方。

短剣を装備した状態での身のこなし方などだ。


店内に入ると、商品が棚にところ狭しと並んでいる。

綺麗に整理されているのを見るに、店主の性格が見えてくるようだ。

武器はカウンターの近くに並んでいた。

中でも、弓を多く扱ってるようだ。


「いらっしゃい、カイン。それと、始めてみる顔だね。」


「こちらは、クルスさん。集落を見て回りたいって事だったんで、案内しているんだ。飛ばされ者なんだよ。」


「へぇ・・・そりゃ、始めてみるのもわかる話だね。」


「少し商品を見せてもらってもいいか?」


「勿論好きに見てくれて構わないよ。」


棚に近づき、商品を見てみる。

カラフルな色の液体が入ったビンが数種類並んでいるが、これはなんだろう?

商品名も値段も書いていない。

“神眼”を使えば話は早いのだが、それでは値段が分からないままだ。


『俺様も見るぞ!』


いつの間にか頭の上から降りていたトゥーンは、別の棚に駆け寄っていく。

その棚は食品を並べているようだった。


『勝手に食べるなよ。』


『なんだよ、人のもん取るわけ無いだろ!』


トゥーンは少し怒るが、先に釘を刺しておかなければ。

気にせず食べてしまってからでは遅いのだから。


「ところで、あんた。ちょっといいかい?」


「なんだ?」


「その背中に背負っている毛皮は何なんだい?」


「あ、僕も気になってました。人の持ちもの詮索するのも、悪いかと思って聞かなかったんですけど。」


「ズケズケと聞いて悪かったね、カイン。」


「あ、そういう意味じゃないんですよ。」


慌てるカインを横目にカウンターに毛皮の包みを置くと、中身を確認していいか聞いてくるので、了承する。

包みを開き、中の肉を見て驚いているようだ。


「あんた、こりゃなんだい?」


「それはワイルドボアの肉だ。森で遭遇したんでな。持ち運ぶのに、生のままだとどうかとさすがに思ったんでな。せめて火を通しておいてある。」


「こりゃ、たまげた。ということはもしかして?」


「あぁ、その毛皮もワイルドボアの物だ。そのままで運ぶのもどうかと思うだろ?」


「ワイルドボアの毛皮なんて、久々に見たわ。」


「凄いですよ、僕だってまだ倒せる自信なんて無いのに。」


二人は驚きをより大きくしているようだ。

確かに俺も死を覚悟するくらいだったからな。

よく生き延びれたものだよ。


「仮にそれを売りに出した場合、いくらくらい値段がつくんだ?」


「そうさね・・・うちじゃ大した金額は出せないけど、それでも銀貨六十枚は出してもいいね。より程度が良ければ、もっといくだろうけどね。」


銀貨六十枚という額がどの程度の価値があるか分からないが、それなりに高価なようだな。


「そうなのか。それならその値でいいから買い取ってもらえるか?」


「あんた、いいのかい?街まで持ってけばもっと良い値がつくと思うよ?」


「路銀が無くてね。まずは先立つものがほしいってことさ。」


「凄いですよ!一気にお金持ちですね。」


興奮気味にカインが話してくる。

未だにピンとは来ないが、仕方がないな。


「ただ、一つ頼みがあるんだが?」


「なんだい?言ってみな。」


「イマイチ貨幣価値がわからなくてな、その辺を教えてもらえれば助かる。」


「まぁ、私は構わないけど。」


そうして、この世界における貨幣価値や、相場なんかを教えてもらう。

この世界には、金貨、銀貨、銅貨、銭貨の四種類あるということ。

商品と値段を照らし合わせていくうえで、おおよそ金貨が百万円、銀貨が一万円、銅貨が百円、銭貨が一円程度の価値があることを知る。

ということは日本円にして、六十万円程を手にすることが出来た訳だ。

そりゃ、カインもお金持ちだなどと言ってくるわけだ。


「どうだい?理解できたかい?」


「あぁ、分かりやすい説明だった。感謝するよ。」


感謝ついでに、俺は、今得たばかりの銀貨で商品を買うことにした。

靴、ズボン、シャツ、ローブと服装を整える。

そして、短剣を二本購入することにする。

この二本の短剣は、この店の中でもかなり上等な物であり、なんとミスリルを鍛え上げた物だという。

これだけで銀貨三十枚ほどいってしまった。

それでもかなりサービスしてくれたようなのだが。


早速、着替えさせてもらう。

ようやく、それなりの格好になっただろうか?

さすがに寝巻同然の格好では様にならないし、今後の移動にも支障を来すだろう。


残った銀貨の内、半分は取っておき、残りの銀貨十枚で保存食や、リュックを買い取る。

いくらか残ったので、カインとトゥーンに適当に食料品のうち、好きなものを買い与えてやる。

その場ですぐにかぶりつくトゥーンと、はにかんだ笑顔でお礼を言ってくるカインが印象的だった。


肉を包んでいた皮が無くなってしまったので、適当な袋に突っ込んでもらい、店を後にすることにした。

その後、適当に集落内を案内してもらうが、特に収穫もなく煙も酷いので、フィーネ達の元へ戻ることにした。



クルスの装備品が整いました。

さすがに初期装備の寝巻きのままではね。


自然に人の能力をコピーするクルスは、やはり四代目アマテラスの言う通り、盗っ人やスリの才能があるのでしょうね。


名前 クルス・カミヤ

性別 男

年齢 18


スキル

神眼、複写


体力増大(LV.2)、敏捷増大(LV.2)

腕力増大(LV.2)、魔力増大(LV.2)

精神力増大(LV.2)


短剣熟練(LV.1)


打撃(LV.2)


火魔法(LV.2)、水魔法(LV.2)

風魔法(LV.2)、土魔法(LV.2)


強奪(LV.1)、気配遮断(LV.1)

隠蔽(LV.1)、加速(LV.1)


自然治癒増大(LV.3)、状態異常回避(LV.1)

成長促進、意志疎通



2017/04/03 違和感があったため、カスクおばさんの台詞を一部変更。



ブックマークや評価を頂けると、物凄くモチベーションが上がります。

また、様々な感想を頂けるとありがたいです。

今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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