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境界線

オブライエンを後にした俺達は、大都市に寄り添うように点在する衛星都市とでも言うような存在の小さな村や集落を辿りながら移動を続けた。

もはやお約束とでもいうように、いく先々で騒動に巻き込まれ続けた。

山賊に数度、囚われの村娘の救出が二度、たまたま現れた騎士との衝突が一度だ。

なんというか主人公体質でも身に付いてしまったのだろうか?

もっとも自分から次々に現れる現象に首を突っ込んだ訳ではなく、同行者達のせいで参加せざるおえない状況に追い込まれ続けた訳だが。


そんな中でカインは助け出した娘たちと良い仲にいつの間にかなっていたりして浮き名を流していた。

いつの間にプレイボーイになったのだろう?

容姿がそれなりに良いこともあり、女性に対する耐性もついていたためだと思うが、これはどうなんだ?

カインの家族に知れたら、むしろ俺が怒られそうだ。

小さな村でもたまにアルクも夜に消えることもあった。

翌日にはなんてことの無い顔をして合流していたが。

ポールとアンリはというと、どうにも良い仲であったようだ。

これは移動の最中に気付いた事ではあったが。

とはいえ何となくの雰囲気でそうだろうなぁと思った程度だが。

で、そんな中俺はというとトゥーンとバルにモテて仕方がなかった。

動物は好きだが、これはどうなんだ?

それ以外何も無かったんだが。

気にしたら負けか?

気にする前から負けている気がするけども。

なんとも言えない気持ちを心に秘めつつ俺達は歩を進めた。


そして気づけばアッガと旧都トラスの境い目に到達しようとしていた。

前回通ってきた関所は、潜り抜けて行くことは不可能だろう。

俺たちの特徴なども伝わっているだろうし。

前回のはたまたまうまく行ったが、今回は十中八九無理なのは誰でもわかることだ。

そうはいっても通る道が無い以上、何とかすり抜けるしかないのだが。

そんなことを考えていると、関所の方から凄まじい爆音が鳴り響く。

いったい何があった?

その音に興味を引かれ、思わず走り出してしまう。

そして目を疑った。


かつてあったはずの物が無くなっていた。

侵入者を阻む壁も扉も。

あまつさえそこを守護していたであろう人すらも無くなっていた。

いや、無くなっていたというのは正確ではないか。

一言で言えば関所が、爆弾などで丸々吹き飛ばされてしまったかのような様相だったのだ。

砕けた破片が辺りに散らばり、燃えカスがそこいらじゅうに散乱している。


「これはいったい・・・?」


至極当然といった疑問をポールが口にする。

もっとも警戒していたであろうポールが代表して口に出した訳だがその思いは皆一様に同じだ。

誰もいないことでスルリと通り抜ける事が出来るが、何が起きたのか気にならないわけがない。

天変地異の前触れか?

そう思ってしまっても無理の無い話だろう。

原因を知りたいが想像しても原因が思い付かない。

辺りを見回すと、一人の男が佇んでいるのが見える。

筋骨粒々といった具合の男だ。

一言で言うのなら世紀末覇者とでも言ってしまいたくなるような風貌をしていた。

いったいこんな事になってしまっている場所で何をしているのだろうか?

すでにこちらに気付いていたその男は、俺達を見ていた。

どういう経緯でこんな有り様になっているのか気になった俺達は警戒しつつ彼のもとに向かう。


「すみませんがそこの人。ここに関所があったはずなのですが、この有り様はいったい?」


「ん?ああ、まあ気にするな。ちょっと頭にきたから力を見せたらこんな風になっただけだ。」


「えっ?」


何が起きていたか見ていたであろう人物が発した発言に皆固まる。

何せ想像の埒外の発言だったからだ。


「通りたければ通っていいんじゃないか?俺にそれを左右するような権限は無いしな。」


そう言ってはにかむように笑顔を浮かべる。


「そっ、そうですか・・・」


カインがそう言うと、その男は手をヒラヒラさせる。

言外にもう行けと言われているかのようだった。

俺達はその男の前を通りすぎ、あっさりと関所を越える。

何はともあれ関所を越えることが出来たのだ。

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今後ともお付きあいのほど、よろしくお願いします。

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