第8話 幼馴染
結局俺にはどこの部からも誘いの話は来なかった。これでも運動神経にはそれなりに自信があったからショックと言えばショックだったが、残念ながらこんな事には慣れていると言えば慣れてしまっいた。彩香はと言えば運良くと言うか、一番始めに話に来たのが女子バスケ部であり、そのまま入部届けにサインしていた。さしずめドラフトでは自由獲得枠って感じだろう。まぁその後にも話をしにくる部活があったりして何故か俺が大変な思いをしたんだが・・・一瞬彩香の胸に“売約済”とでも名札を張ってやろうかとマジで考えてしまった程だ。いや、別に怪しい意味はこれっぽちもないぞ?
一方の水希には誘いの手が殺到した。水希は男子バスケ部への入部を決めているのだが、水希の性格を見抜いたのか誘いの話をしてくるのが女子マネで・・・それがことごとく標準以上に綺麗or可愛い子ばかりで・・・水希も面白く思ったのか、のらりくらりと返事を避けたものだからここ数日の間は休み時間に話しかける事すら難しくなっていた。別に隣に座っている羽紗や彩香と話していたから水希に話しかけられないからと言って淋しいってわけでもなかったが・・・どっちかっていうとそっちの方が楽しかったり?ただ、はっきり言ってうるさかったし、そしてキザったらしい水希はウザかった。
「はぁ〜あの性格どうにかなんないかな」
俺の視線の先には相変わらず女の子に囲まれている水希がいた。女の子たちの方も水希をスカウトに来たのか、ただ話したくて来たのか分からない状態に見える。正直、男として少し羨ましいかもしれない。そして、そんな俺の呟きが聞こえたのかちょうど自分の席に戻ってきたらしい羽紗が珍しく話しかけてきた。ちなみに、俺は彩香の席に非難中で、当の彩香は席を立ってたりする。
「赤井くんは、浅見くんとは古いんですか?」
「まぁね。とは言っても中学からだけど」
「そうなんですか?では大空さんも?」
「いや、彩香は物心つく前から。生まれた時からほとんど一緒に育てられたから」
一応言っておくが俺にそんな記憶なんかない。全ては親からの受け売りだからホントかどうかなんて分からないが、物心ついた時にはいつも隣には彩香がいたからほぼ親の言うとおりなんだろうと思う。
「それはまた、凄いですね」
「そう?」
「はい。まるで運命、みたいです」
運命。彩香との仲をそんな難しく考えた事なんてなかった。いつも隣にいる何かと俺を頼ってくる女の子。それが俺にとっての彩香だ。俺は羽紗の女の子らしいロマンチックな考え方に苦笑しながら答えた。
「俺にしてみれば、くされ縁って感じだけどね〜」
「でも、羨ましいです・・・」
急に声のトーンを落として呟くように放たれた羽紗の声は俺にははっきりとは分からなかった。
「え、なに?」
「いえ、何でもないです・・・」
そして俺のささやかな疑問の答えは返ってこなかった。その代わりに・・・
「なになに?つぅちゃん何の話してるの?」
「うわ!?彩香か。いきなりビックリさせんなよ」
「彩も仲間に入れてよ〜!ね?ね?」
「はいはい、分かったから抱きつくなっての」
周りの視線が痛いです。視線と言うよりまるで死線。寿命が確実に減ってる気がする・・・
で、羽紗さん?何故に笑ってるんですか?可愛いけど・・・彩香が怖くて口に出して言えない俺はヘタレです。ごめんなさい。
「えっと、、お二人ともとっても仲がいいんだなって・・・」
俺の疑問が顔に出てたか!?もしかして声に出てた!?もしかして、羽紗は超能力者なのか!?
「い、言いたそうだったから・・・ち、違ってたらごめんなさい!」
なんていうか、超能力者説を裏付けてない?とりあえず羽紗の前で変な事考えるのは止めよう。うん。あんな事やこんな事や・・・って、羽紗の顔赤くなっちゃったよ。やっぱり可愛いな、うん。
・・・あれ?今頃だけど彩香さん、なんかキャラ変わってない?家にいる時のテンションと同じじゃね?まぁ友達と親しく話すのはいい事だけど・・・よく考えたら確かに話に割って入ったけど、彩香が話しかけたのって羽紗じゃなくて俺な気が・・・
すでに処理出来る容量を超えている翼飛の脳内はぐちゃぐちゃになっていった。
そして、いつもは使わない翼飛の頭から煙が出始めたのは数秒後の事である。
って、ロボットじゃないぞ!?
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この前ちょっと見てみたら、なんと!!!
数票入っているではありませんか!
いや、ホントありがとうございますo(_ _*)o
ちょっと色々あってテンションダウンでなかなか進まなかったけど、やる気出たかも!w
次回予告
第9話 彩香の気持ち
私は絶対につぅちゃんからは離れたくない。なにがあっても・・・