第4話 ライバル?水希
わけの分からないクラブ紹介から早数日、入学式を終えてから1週間程たった。ちなみにまだ俺は部活を決めてないし、水希も彩香もそれぞれ男子バスケ部、女子バスケ部と入る部活は決めたみたいだがまだ俺に付き合って入部届けは出していなかったりする。
この学校はさすがに設備が整っているだけあって凄い。まるでレストランかカフェかというような学食や、校舎に囲まれている広場にある噴水、いったいどこから資金が出てるんですか?と。 ま、そんな事俺には関係ないし?この頃になってようやくこれらのスケールのデカさに慣れてきた。人間の順応性といったものは凄いらしいと、実感した。
今日は勉強嫌いな俺にとって待ちに待った初めての体育の授業。って、勉強好きなヤツっているのだろうか・・・あぁ、委員長あたり勉強好きなレア人がいるかもしれない。そして体育は苦手という・・・もちろん俺の偏見だが。
で、体育の授業が始まる前に1つ主張したい!何故これだけ施設が充実してるのに男子更衣室ってモンがないの!?女子更衣室はあるのに何で男子は教室で着替えないといけないの?『生着替えタ〜イム!』じゃないんだから・・・もしかしてこれは我々男子へのセクハラですか!?
はぁ〜はぁ〜はぁ〜
ただの心の主張でこんなに精神的に来るとは思わなかった・・・MP残りあと僅か、体育の授業の前に何ギブアップ寸前になってんだ俺・・・
「今日は初めての授業なので男女ともに100メートル走と1500メートル走のタイムを計る!文句あるヤツは前に出ろ!」
この体育教師(名前は忘れた。 てか自己紹介ってあったっけ?)は初授業でこうのたまった。これはネタか?それとも俺たちに喧嘩ふっかけてきているのだろうか?ネタだとしたらこの冷えきった空気を見れば失敗なのは一目瞭然だろうし、喧嘩をふっかけているのならこんな無駄に熱血で話の通じなそうなマッチョに挑んで行く馬鹿はこのクラスにはいないだろう。いや、学校中探してもいないと思う。すなわち、掴みとしては思いっきり失敗だ。この体育教師はこの空気に全く気付いていないけど・・・それにまぁ、個人的に言っても走るのは嫌いじゃないし文句なんかあるわけない。
「文句もないみたいだから始めるぞ!さっさと並べ!体育委員はタイム測って記録取れ!さっさとしないと終わらんぞ〜!」
タイムを測るヤツ1人と記録を取るヤツ・・・なし。ゴールした時に自分のタイムを聞いて自分で記入するらしい。まぁこんな事で不正をするようなヤツはいないだろう。
というわけでまずは2人1組で100メートル走なのだが・・・ミスった。何も考えずに水希と一緒に走ったのだが、こいつ運動神経抜群なんだった。俺もどちらかというと良い方なのだが相手が悪い。そして案の定完敗。この時ばかりは久しぶりに女の子の歓声を浴びる水希を殺ってしまおうかと思った。
そして1500メートル走の方はまず男子が次に女子が一斉スタートで体育教師がタイムを測った。俺も水希も中学時代から部活で走っていたしこれくらいの距離なら余裕だ。スタートから5人となったトップグループを走り水希は1位、俺は5位に終わった。とにかくスパートが遅かった。水希と同じタイミングでスパートしても勝てるわけない。
こんな学習能力がない俺。なんだかなきたくなってきた。
「くっそ〜何であんなヤツに勝てないんだ・・・」
「あ、赤井くんお疲れさまです。は、はいっ!」
そこに、俺の呟きを途中で遮るように一枚のタオルが差し出された。
次回予告
第5話 羨ましい・・・のか?
そんな羨ましそうな顔してど〜したのぉ〜?