第10話 休日
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ、ピピピピッ・・・
「ん・・・」
ベッドで眠っていた少年の手がゴソゴソと布団の中から伸び、いまだ鳴り続ける目覚まし時計を少々乱暴に止めた。
「う〜ん・・・よしっ!起きたっ!!!」
と一気に起き上がり大きく伸びをしてカーテンを思い切りよくあける。うん、今日もいい天気だ。今日は土曜日、そして今は朝の8時。星雲高校は完全週休二日制で土曜日は休み。ただその分進学クラスはほぼ毎日7限まで授業が詰まってる。ゆとり教育とは名ばかりで、そのしわ寄せは全て学生に来てるんだからたまったもんじゃない。
というわけで休みなんだから昼過ぎまで寝ててもいいのだか、早起きは俺の毎日の日課だったりする。寧ろ平日は5時や6時には起きてるのでかなり遅いかもしれない。俺が毎日早く起きる理由、それは・・・って、こんなゆっくりしてたら休みの日に早く起きた意味ないじゃん!さっさと着替えよっと!!!
時間がないと食べないこともあるのだが、赤井家の朝食は基本的に洋食だ。トーストにコーヒーか紅茶、あと適当にサラダやらスクランブルエッグやら色々。レパートリー云々ではなくて時間の問題。
「「いただきまぁ〜っす!」」
・
・
・
「「ごちそうさまでしたぁ〜!」」
なんで声が2つ聞こえるのか、それは俺と一緒に朝食を食ってる人がいるから。こいつ最近毎日うちで朝食とってない?これは気のせいなんて事はない。入学式からずっと一緒に朝食を食べてる・・・なんで?ちなみに俺の両親は既に食べ終わってリビングでくつろいでいる。少しくらい待っててくれてもよくない?一人息子がこれくらいに起きてくる事知ってんだから・・・そう、俺には兄弟なんていない。
で、今まで俺の正面で朝食を食べていた張本人は今は食器を片付けて洗い物中。って、お前がやんなくていいからっ!
「おぃおぃ、そんな事やんなくていいから!母さん!!!」
「・・・・・」
無視ですか?
「涼風さん〜?」
「なぁ〜に?翼飛」
「お客さんに何させてんだよ・・・」
「お客さん?」
「彩香だよ、彩香!」
「彩香ちゃんがどうしたの?」
「彩香に洗い物させてなにやってんの!」
「大和さんとまったり♪きゃ☆」
きゃ☆じゃないっての!歳を考えろ!!!ちなみに大和さんってのは赤井大和。俺の父親だ。背は180くらいあって高い・・・ホントに父親か?って、こんな所で衝撃の新事実なんかいらねぇ!事実だったら泣くに泣けないし・・・
「翼飛・・・」
「な、なんでもありません・・・」
俺ってそんなに考えてる事がバレやすいのだろうか?母さんの声が一段と低くなった。これは明からに涼風さん怒っていらっしゃる。
「それにね、彩香ちゃんはうちの子みたいなものだからいいのよ♪翼飛も幸せね〜嫁姑問題なんか全くないわよ♪」
はぁ〜ダメだこりゃ・・・別にそんな心配してないし。そもそも何で彩香と結婚するって決め付けてるんだよ。
「彩香〜俺やるからお前は座ってろって」
「で、でも・・・」
「いいからいいから。それよりこれ終わったら行くけど、お前どうする?」
「行く!!!」
「んじゃさっさと帰って準備してこいって」
「うん!!!それじゃつぅちゃんココお願い!涼風さん大和さんお邪魔しました!」
「あら、彩香ちゃんもう帰っちゃうの?これから式場の打ち合わせしようと思ってたのに♪」
・・・意味分かんない。彩香も顔を赤くするんじゃありません!
「おぃ彩香、ボーっとせずにちゃんと歩けよ!それじゃまたコケるぞ?」
「彩はそこまでドシじゃありません!きゃあ〜!」
どっかで足を引っ掛けたらしい。頼むからマジでコケないでください。
というわけで俺は洗い物をさっさと終わらせて出かける準備を始めた。
次回予告
第11話 彩香とお出かけ
これはデートではない!繰り返す。デートではない!!!