死体が人を殺した 転
今回すごく短いです。
「一つ解ったことがあるんだよ。」
崇典は化に話かけた。
「解ッタコトッテ?」
「伊野が犯人ではないということだよ。」
「伊野ガ犯人ジャナイ?」
「伊野は殺される直前にスマートフォンで動画を撮っていた。ということは当然、スマートフォンのロックを解除したということになる。パスワードは本人しか知らないものだよ。」
「デモ、伊野ガ犯人ダトシタラ、パスワードガ分カルンジャナイカナ?」
「伊野は頭を落とされて死んだ。それ以外に外傷も死因となるような毒物もなかったんだから伊野は犯人じゃないよ。」
「ナルホドネ、ジャア、残リノ二人ノドチラカガ犯人ッテコトカ。」
「そうなるね。どちらかが事件の時に殺されて、そして、もう一人がその前に死んでいた。そういえば、『死人憑き』には何か弱点はないのかい?」
「弱点ハ、一ツダケアルヨ、奴ラハ自分ノ名前ヲ呼バレルコトヲ嫌ウ。」
崇典はしばらく腕を組みながら考えたあと、何か思いついたように顔をあげた。
「犯人は慎重で証拠を残さないようにしている。推理をかく乱されるために様々な工作をしたような人間だ。この作戦は使えるかもしれない。」
「作戦?」
「明日、また葬儀社に行こう。あと君に探してほしいものがあるんだ。」
「何カナ?」
崇典は化に用件を伝えた。