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化け猫/探偵  作者: 三枝半太郎
mystery1 影のない死者
3/8

影のない死者 転

崇典は西内の家の一室を使わせてもらっていた。

 荻野晋平は、腕に大きな傷跡があった。しかし、それだけでは殺意があったとは考えられない。彼の言う通り、酒が入っていたので乱暴な言葉を使ったのだろう。

 しかも、彼は川崎になんの恨みもなかったはずだ。

 そう考えると、荻野は犯人ではない。

 次は富田里加である。彼女は裏切られたことに怒り狂っていた。突発的な殺意としては十分な動機であるかもしれない。

 しかし、他の人間には恨みはなかったはずだ。本命を消したカモフラージュとして他の人間に協力してもらって隠れてもらったのか。

 だが、それもおかしい。川崎は現に殺されているからだ。

 坂北浩一はどうだろうか。嫌がらせを受けていたというだけで、殺すまでに至ったのか。第一彼は冷静に対応していた様子だった。

 そして、こちらも川崎を殺す動機がない。

 最後は田浦和幸だ。彼が三人に受けた仕打ちは動機として十分であるが、やはり田浦も川崎を殺す動機はないのだ。

 崇典は四人の情報を頭の中で整理していた。

 しかし、四人とも川崎を殺す動機が見当たらないのである。川崎の事件と連続失踪事件が本当は関係ないのではないかという思いが崇典の中で芽生え始めていた。

 ただ、崇典の中で何かひっかかることがあるのだ。しかし、それが何なのかが分からない。

「謎ハ解ケタカイ?」

 化が唐突に聞いてきた。

「待ってくれ、今何か掴みかけているような気がするんだよ。」

「ソウイエバ、田浦ハ、何故自分ガ騙サレテイル事ニ気ヅイタンダロウネ。三人ガ上手ク騙イレバ、分カルハズガナイ。」

「分かるはずがない?」

 聞き返した後、崇典はハッとした表情になって、西内の部屋にノックもせずに急いで入った。

「どうしたんですか、新名さん?」

 驚く西内に崇典は慌てた様子で質問した。

「西内さん、川崎さんの件は村の皆さんにどう伝えたんでしたっけ?」

「えーっと、『川崎が死んでいて、死体に影がなくて、突然消えた』と伝えましたけど……」

「西内さん今から外に出ましょう。」

 崇典の突然の提案に西内は困惑していた。その背後では化が怪しい笑みをうかべている。


次回で「mystery1 影のない死者」完結です。

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