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ダンジョン攻略記  作者: 井の中の蛙
第1章 フロウ編
7/7

第六話 ベイルーンの魔塔 1

久し振りの投稿です。

 冒険者ギルドから真っ直ぐ南に進むと、直ぐに頂上の見えない塔が目の前に現れた。


「へぇー、これがベイルーンの魔塔か」


 塔は真っ直ぐ上に向かって伸びていた。上の方が気になり、しばらく眺めていると首が痛くなった。


 俺は塔に入るために塔の前に居る兵士に許可証を見せてから、塔に近付いた。


 その兵士に塔に触れると中に転送されると言われたので、恐る恐るだが触ってみた。


 指先が塔に触れた瞬間、不思議な光が目に飛び込んできて俺の意識はなくなった。






 気が付くと、一面煉瓦の狭い部屋の真ん中で倒れていた。


 ダンジョンは、中に入るとスタート地点に転送される。スタート地点はダンジョンによって違うが、同じダンジョンであればスタート地点は何度入り直しても同じらしい。


 ダンジョンから出るには、各層の何処かにあるボス部屋の魔法陣に入ると、隔離された別の部屋に転送される。

 その部屋には、二つの魔法陣とアイテムがある。


 アイテムとは、ダンジョンでしか出土しない上に非常に珍しい性能を備えた物で、代表的なものは『東雲の勾玉』という姿を変えることの出来る装飾品や、『フェンリルの牙』という魔法付与効果の付いた短剣である。この様なダンジョンで出土したアイテムは基本的に高値で取引されている。今回俺はモンスターの素材と比較的手に入れやすいアイテムを集める予定だ。特にモンスターの素材は帰りの馬車代にしなければいけないので、それなりの量を取らなければならない。


 魔法陣には、外に転送される物と、次の層に転送される物の二種類がある。外に出る魔法陣を使えば入った場所に戻り、もう一つの魔法陣を使うと次の層のスタート地点へと転送される。だが、稀に二つの魔法陣の転送先が同じだったり装備やアイテムが消滅するようなトラブルがあるらしい。これらの現象はダンジョンに入った時にも起こるらしいのでギルドでも注意を呼び掛けていた。


 俺は何もトラブルが起こっていないのを確認してから、前に進んだ。



 ベイルーンの魔塔は何層にもなっている。下の方は敵も弱く、単独行動が多い。上に行くに連れて敵が強くなったり、連携を取る様になっているらしい。


 このダンジョンは一層から五層までは、道が一本で分岐せず、そこまで敵も強くない。

 五層までで出てくる敵は、額に大きな一本の角の生えた兎ホーンラビットと何処のダンジョンでも生息している掃除屋スライム、体毛が真っ赤な猪レッドアグリオスの三種類のみで、連携も取らない。動きも単調なので簡単に倒せる。

 つまりこのダンジョンの五層までは初心者の練習場となっている。俺も今日はこの場所で二時間程狩りをすることにした。


 五分程歩くと早速ホーンラビットが一羽現れた。このモンスターは村の近くでもよく見かけ、子ども達に驚かされたり狩りの対象となったりする。そのため少しばかり戦闘経験もあり、手強い敵ではないので、俺はそのモンスターに狙いをつけた。

 ホーンラビットは臆病な性格で、強い殺気を感じるとその場から動かなくなる。その上不意打ちに弱く、先制攻撃ができれば取り逃がすことはない。

 俺はゆっくりと近づき、気付かれないギリギリの距離まで詰めて、一気に飛びかかった。


 俺の殺気に気付いたホーンラビットが俺の方へと振り返った。その瞬間俺の剣がホーンラビットの身体を縦に両断する。


 ……はずだった。

 ホーンラビットは前方へ飛び、剣を紙一重で躱し、俺の身体へと思いっきり突っ込んできた。ホーンラビットの頭にある長く尖った角は、確実に俺の心臓に狙いを定めていた。

 俺はこの予想外の攻撃にかなり驚いた。だが、このままでは死んでしまうので俺も回避行動に移った。剣を振った勢いを使い、身体を翻す。少し転倒したがあの角が刺さるよりかはマシだ。

 俺は目標に当たらず、煉瓦の床を滑るホーンラビットを壁に蹴り飛ばし、気絶させてから止めを刺した。


 この後二時間程で五羽のホーンラビットを狩った。その後すぐにダンジョンを出てギルドに向かい、素材を買い取ってもらった。五羽のうち三羽は外傷が少なく、それなりに大きな角が付いていた為、相場より少し高く買い取ってもらえた。だが残りの二羽は少し角が欠けていた為、捨て値での買取りとなった。

 結果、今日の報酬は銀貨四枚だった。ホーンラビット一羽の相場が銀貨一枚なので少し損をした気分になった。

 また、実はダンジョン内でアイテムを見つけたのだが、そのアイテムは持って帰らなかった。いや、正確には持って帰る事が出来なかった。何故ならそのアイテムは子ども一人程の重さのナイフだったからだ。確かに珍しいがそんなもの一人で持って帰れる訳が無い。


 大漁とはいかず、少しがっかりしながら宿屋に帰る時も今日の戦闘の事を考えていた (今日のダンジョンのホーンラビット、何だか行動がおかしかったなぁ……なんだか狂っていると言うか何と言うかなぁ……)

 そうして考えているうちに宿屋に着き、疲れを癒す為に早く夕食を済ませ、風呂屋に行き、明日の準備をしてすぐに眠った。

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