第四話 冒険者になろう 中編
朝早くに起きた俺は、宿屋の庭で水浴びをしてから食堂に向かった。昨日の晩風呂に入らなかったまま過ごすのが嫌だったからだ。
俺が食堂に着いた時にはもうすでに数人の冒険者がいた。俺も直ぐに朝食を食べ終えてギルドへ向かった。
今度は迷うことなく冒険者ギルドに着いた。
まだ朝早いにも関わらず多くの冒険者がギルドの方へと向かっていた。冒険者の朝はこれ位早いらしい。
ギルドの中に入ると、多くの冒険者がクエストを受けていた。俺も掲示板に貼られた依頼書に興味があったが、登録しないと受けられないので、先に受付に向かった。
「おはようございます。冒険者ギルドベイルーン支部です。本日はどういったご用件でしょうか?」
受付に行くと若い女の職員さんがいた。
「冒険者ギルドに登録したいのですが。」
「登録ですね、それではこちらの書類に必要事項の御記入と、こちらの誓約書に同意のサインお願いします。代筆は必要ですか?」
「いえ、大丈夫です。」
俺は本が好きだ。自分で書こうとした位好きだ。だから読み書きについては全く問題無い。
それよりも、俺はマニュアル通りに進む様な登録に少しびっくりした。てっきり子供扱いされて雑な対応を受けるのでは、と心配していたが余計な心配だった様だ。
登録用の書類には名前と年齢、誕生日、出身地、それと犯罪歴の有無が必須で、称号と経歴は自己申告らしい。俺は必須事項だけを埋めて誓約書に目を移した。
誓約書の内容は主に以下の五つだった。
1、冒険者ギルド(以下当ギルド)は、当ギルドの依頼を受けている冒険者を支援する義務がある。
2、冒険者は、当ギルドの依頼中に盗賊ギルド等の別の依頼を受けてはいけない。
3、当ギルドの依頼中に死亡しても、当ギルドは、例外無く一切の責任を負わない。
4、依頼に失敗しても当ギルドは基本的に責任を負わない。
5、当ギルドは、誓約書に違反する要求には、例外無く一切応じない。
その他にも細かいルールやマナーが書かれてあったが、常識があればルール違反やマナー違反にはならないだろう。
ちなみに誓約書に違反すると罰金や活動停止、最悪登録抹消となるらしい。
俺は誓約書へのサインも済ませて、登録用の書類と誓約書を職員に提出した。
「フロウさんですね、それでは登録作業をするのでしばらくお待ち下さい。」
そう言って職員はギルドの奥へと消えていった。
作業が終わると呼び出してくれるらしいので、受付近くの資料コーナーで本を読むことにした。
本棚を見ていると『新人冒険者の為の冒険者講座』と言う本を見つけた。どうやらこの本は、貸し出し可能らしいので借りてからゆっくり読むことにした。
本の貸し出し手続きが終わった時、丁度登録の手続きが終わったので、俺は受付に戻った。
「こちらがギルドカードになります。」
そういった職員から一枚の鉄板を受け取った。
「こちらのギルドカードはランクが上がると、より質の良い物になります。今はランク1なので鉄板ですが、ランク2になると銅板、ランク3で銀板、ランク4で金板、最高ランクのランク5は水晶板になります。ランクは依頼を成功させて行くと上がります。色々な待遇もあるので頑張ってランクを上げて下さい。それでは登録は終了です。何かご質問はございますか?」
「はい、大丈夫です。」
「それでは、お疲れ様でした。」
俺は受付から離れた。そしてギルドの二階の冒険者用の商店に向かった。