プロローグ
真っ暗な部屋の中、四人の冒険者が息を潜めている。ここは、とあるダンジョンの最深部である。
部屋には、三つの扉がある。彼らの後ろの扉は入口である。
入口から見て右手側にある扉は、このダンジョンの固有種でミミックの一種であるグラオスティウムが擬態している。
左手側の扉はボス部屋に繋がっている。
このダンジョンのボスは、ヴイーヴルと言う瞳がダイヤモンドで出来たドラゴンである。このモンスターのドロップするヴイーヴルの瞳と言うダイヤモンドには、強い魔力が込められている為、魔導具の材料として非常に有能である。これを売れば、大の大人四人が一年間働かずに贅沢しても余るほどの大金が手に入る。
しかし、彼らの目的はヴイーヴルの瞳では無い。彼らの目的はとある魔導書である。その魔導書を手に入れる為にグラオスティウムと闘うのだ。
しばらくして、大きな金槌を持った大男が合図をした。すると、四人は一斉に扉に飛び掛かった。
グラオステイウスムは非常に危険な魔物だ。
世界中に存在する魔物には、危険度が決められている。危険度はFランクからSランクまでの七段階で表される。
FランクとEランクは新人冒険者でも一人で簡単に倒せる雑魚である。
DランクからBランクは腕に覚えのある冒険者ならすぐに倒せる程度である。
AランクとSランクは一流の冒険者がパーティを組んで挑んでも非常に危険な程強い。
グラオスティウムの危険度はAランクで、かなり危険な魔物である。
グラオスティウムの主な攻撃は、強酸性の唾液と摂氏マイナス100度以下のアイスブレスである。唾液を撒き散らして敵を近付けず、アイスブレスで敵を凍らせて、吸い込んで捕食する。
動かないこと以外に弱点らしい弱点が無い為、非常に倒しにくい魔物である。
だが、冒険者達は何の躊躇もせず近付き攻撃を始めた。グラオスティウムも彼らに気付き攻撃を開始した。だが、グラオスティウムの攻撃は、全て、背の高い女騎士がその手に持った大盾で受け流している為、他のパーティメンバーには当たらない。
その間に紅いローブを着た魔法使いが唱詠の短い魔法を繰り返し唱え、自分の身長よりも大きな弓を持つ弓兵がグラオスティウムに複数の矢を飛ばして波状攻撃を始めた。
弓と魔法による波状攻撃でグラオスティウムが怯んだ瞬間、金槌を持った大男がグラオスティウムに渾身の一撃を叩き込んだ。叩き込んだ後の一瞬の隙にグラオスティウムがアイスブレスを吐こうと大きく息を吸い込もうとした。
だが、その行動が始まる前にグラオスティウムの視界から大男が消えた。魔法使いが魔法を使い、大男を一瞬だけだが見えなくしたのだ。
突然敵が消えた事で混乱したグラオスティウムの攻撃が一瞬だけ止まった。その一瞬の間に、彼らはグラオスティウムの命を刈り取った。まるでこうなる事が予定されていたかの様に全員が同じタイミングで高威力の技を繰り出したのだ。
彼らは、ボロボロになったグラオスティウムの死体を消滅させてグラオスティウムのいた窪みを調べた。そして魔導書を見つけた。
目的の物を見つけ、ダンジョンから脱出しようとして、彼らはもう一冊本がある事に気が付いた。
彼らがその本を手に取り、持ち帰ったことで、世界中の王族や貴族、冒険者や盗賊達によるダンジョン攻略競争が始まるのだった。
初投稿です。初めて書く小説なので余り出来が良く無いと思います。定期的に更新できないかもしれませんが、よろしくお願いします。