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みんなの気持ち


5章…みんなの気持ち




はっ!

「…ここは、知らない天井だ!」

名台詞を言ってやった

ここがどこかわからない

確か僕はユナにキ、き、キー…

接吻されて

いや、うんキスされて気を失ってしまったんだ

どんだけうぶなんだよ僕

「あ!起きたのね!良かった!」

声とともにユナがあらわれた

当然その方向を向く僕

「ああ、起きたよ!!!!!!」

なんとユナは下着姿でした

だからエクスクラメーションマークがいつもより多めになった

いや、改めて見ると本当に…

美人だしスタイル良いし運動神経も良くて

あれだけ走ってたから筋肉ムキムキなんじゃ?とか思ってたけどそんなこと無いし

締まるとこはしまってて良いというか

…ん?なんで僕はじっとユナの下着姿を見てるんだ?

「ユウト体調は?ユウトお腹空いてない?ユウトなにか欲しいものある?」

僕の視線など気にせずに聞いて来るユナ

いや、気にしないってのも傷つくんだけど

「ねえユウ…ト」

気づいたらユナの顔が僕の目の前にあった

自然と見つめあってしまう

「あ…えと…ぅう」

ユナはキスのことを思い出したのか真っ赤になってしまう

僕も同じなんだけど

「…ご、ごめん!」

ユナは謝りながら走って部屋を出て行ってしまった

「というか…ここどこなんだろう」

心臓が落ち着いたらユナを追うことにしよう


@


「あれ、ナノカさん」

心臓が落ち着いてくれたのでユナを探しに行こうと部屋を出た

居間のような場所にはユナではなくナノカさんが座っていた

「あら、起きましたのね」

「おかげさまで」

ナノカさんにも面倒をかけたんだろうなぁ

僕気絶してたし

「いいんですのよ。それより…」

ナノカさんは立ち上がると僕の前に来た

そして頭を下げた

「えっ…どうしたの?!」

「…昨日は本当にありがとうございました。あなたがいなければユナと私…この国も終わっていました。本当にありがとう」

「いや…そんな」

戸惑ってしまう

こんな真剣に感謝されたことなかったから

それだけのことを成せたのかななんて思うけど

「…ですが」

「へ?」

顔をあげたナノカさんの顔は怒っていらっしゃった

「なぜあなたはユナのことをユナと呼んでいるんですか?」

「それは、そう呼べって言われたから」

「そんなはずはありません!」

その迫力に少しひるんでしまった

「ユナは…本当に信頼した相手にしかユナと呼ばせてないはずだもの!」

「ぬおっ!」

ナノカさんに押し倒された

「あなた…ユナに何をしたの?」

僕をみつめる瞳は不安げに揺れ動いていた

「僕は何もしてないよ」

「嘘よ!」

「したとしたら…恋を教える!って宣言したくらいかな」

「恋?」

「そう、恋。人を愛することだよ」

僕の言葉を聞いてうつむいてしまうナノカさん

「私は…あの子のことを愛してるわ」

「うげっ!」

ナノカさんは立ち上がって僕を踏んで去ってしまった


@


あれからユナを探すために家を出た

ちなみにあの家はユナとナノカの住んでいる家のようだ

歯ブラシの数がそう告げていた

「にしても、何も無いなぁ」

外にでたはいいけど身動きがとれない

あまり歩き回ると昨日みたいなことがあるかもしれない

「喫茶店があった通りとはちがうな」

けどオルトディランタであることは間違いないな

建物のつくりが同じだもの

「それにしても人の気配が全くしないな」

この通りが人通りの少ないところってこともあるのかもしれないけど

それにしても静かすぎた

「この国は滅んでしまったからな」

「!」

この声は

「お前!グラン帝国の!」

あの時の槍使いだ

「何しに来たんだ!またさらいに来たのか!」

「お前を捉える気はもう無い」

それは良かった

けど、こいつがユナとナノカを傷つけたのを僕は許していない

「オルドディランタは男を確保できなくて滅んだ国の一つ。おそらくあの2人しか生き残りはいないだろうな」

滅んだ国

すでに滅んだ弱小国

また栄えることができる

この前聞いた言葉がつながる

「ユナは…国の再建をしたかったのか」

男を求めるもう一つの理由

いや、こっちがメインなのかもしれない

「今更男にこうことになるとはな…お前、名は?」

「そっちが先に言ってよ」

「…シンフィア=ファンディル」

「僕は木野優斗」

僕が名前を言ったら明らかにシンフィアの表情が変わった

「木野?!…もしや、貴様は異世界から来たものか?」

「そうだけど」

「…やはり偶然では無かった」

彼女は思案顔で頷き僕をまっすぐな目で見つめてきた

「キノユウト。貴殿に頼みたいことがある」

頼み事?

けど、ユナとナノカを傷つけたってのがあるしな

「先日の件は謝る。こちらが悪かった」

あ、謝られちゃった

…まあ

「内容によるよ」

「聞いてもらえるだけありがたい」

そしてシンフィアは頼み事を言った

「私と国の再建をして欲しい」

こっちも国の再建か

「我が祖国はオルドディランタと同様に滅んでしまった国だ。生き残りは私しかいない」

シンフィアは頭を下げてお願いしてきた

「どうか私を助けて欲しい」

「いいよ」

「へ?」

なんか可愛い間の抜けた声が聞こえたな

「そのくらい協力する」

というか可愛い女の子の頼み事を断れないってのがある

男ってそういうものである

「そう言ってもらえるとありがたい!…これで私の役目が果たせる」

シンフィアはよほど嬉しかったのか目に涙を浮かべてる

「喜んでもらえると嬉しぐぼへっ!!」

なぜか僕はまた持たれてる

僕ってそんなに持ちやすいのかな

「ユナ!!」

「ユウトちょっと我慢してて」

ユナはシンフィアのことを睨んで距離を置いた

「ユナ、シンフィアはもう僕を捉えないって言ったんだ」

「嘘かもしれないわよ」

「この前のことを謝ってもくれた」

「本心は違うかもしれないわよ」

ダメだ

取りつく島もないってやつ

「キノユウトの言っていることは全て真実だ」

シンフィアが言ってくれた

「傷を負わせたことは謝る。私が悪かった」

「な、なによ!急に謝ったりしたって許さないわよ!」

ユナがテンパってる

まさか本人から謝られるとは思っていなかったんだろう

「これだけで許してもらえるとは思っていない。いつか借りは返す」

嘘じゃないってことがわかってユナはそっぽを向いて黙ってしまった

顔は赤い

「ユナ、恥ずかしがってないでそろそろ下ろして」

「は、恥ずかしがってなんかいないわよっ!」

「ふげっ!」

「あっ!ごめん!」

「いいよ…大丈夫」

テンパりすぎで落とされた

気をつけて欲しい…痛いし

「僕はシンフィアに頼まれごとをされただけなんだ」

シンフィアに何を頼まれたのかを伝えないと

「我が祖国の再建に協力してもらいたいと頼んだ」

その言葉を聞いた瞬間ユナの表情が固まった

「再建に協力…え?」

「もちろん引き受けることにしたよ」

「…え?」

「国の再建に少しでも貢献できるんなら嬉しいしね」

ユナの表情が変わった

なんか嫌な予感

「…国の再建って具体的に何をするの?」

「もちろん子孫を残すことだ」

「へ?」

シンフィアさんがなんかおっしゃった

聞き間違いかな?

「生き残りである私の子供からどんどん子孫を反映させていく。それができればあとはどうとでもなる。それだけ手伝って欲しい」

聞き間違いじゃなかった

マジだった

それだけっつーかなんつーか

そういえばユナもそうだったなぁ

国の再建のためにっていう理由もあるから僕を攫ったって言ってたなぁ

「てか結局国の再建するなら子作りすることになるんじゃん!」

「何を当たり前のことを」

「やっぱりわかってなかったのね」

呆れる2人

なんだ、これじゃあ僕がおかしいみたいだ

そりゃあこの国ではおかしいんだろうけど

「まずは一週間ほど続けてしよう。それからは2日に1度。様子をみつつその後も…」

やばいよ

シンフィアさんなんかプラン立て始めた

「ねえユウト。ユウトは愛のないセックスはしないんじゃないの?」

ユナさんが良いこと言った

「そう!僕は愛のないセックスはしません!だからシンフィア!君との子作りは」

「なら私はユウトを愛する」

「だからっ違うっ!!」

なんだこのデジャヴ

この世界ってみんなこうなのか

「シンフィアさん?ユウトは優しいからきっと愛さえすればあなたの頼みを引き受けてくれるわ」

「…お前はもうしたのか?」

「!!」

ユナが真っ赤になった

「な、な、ま、まだよ!そ、そんなにすぐ愛せないわよ!」

まあそうだよね

あって間もないのに好きになるなんて無理だよね

「…愛することもよくわかってないんだから」


その時ユナが悲しい表情をしていたのに僕は気づかなかった



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