表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

しあわせ

作者: 佐之 一希
掲載日:2025/10/02

冷蔵庫を開けると、中にはおかずの残り物や、期限の切れた納豆のパック、いつか食べようと残しておいた板チョコレートなんかが入っている。他にも紹介する価値もないような、明日燃えるゴミの日に捨ててしまっても家族の誰も気づかないような食材ばかりだ。はぁと溜息をつき、たまには整理するかと作業をしていると、廊下の1番奥にある引き戸が開き、風呂上がりで髪が濡れたままの妻がこちらへ向かってきた。

「電気代、何回言ったらわかるの?」

そう言って洗面所に行き、ドライヤーをかけると僕の「ごめん」はその音にかき消された。

冷蔵庫を開けっ放しにすると電気代が増す。これはまあ百歩譲ってわかる。でもそれなら、いったい全体いつ冷蔵庫を整理して綺麗にしなきゃならんのか。

「わけわからんねえ」

「なんか言った?」振り向くと肩まで伸びた乾き切ってない髪を下げた妻が背後に立っていた。

「うわ」

「何?」

「いや、なんでもないよびっくりしただけ」

「なんでびっくりするの?」

「突然後ろに立つからじゃん」

ふふっと笑って妻は僕の脇から、炭酸水を手に取り、勢いよく飲み始めた。気にせず作業を続ける。

「お風呂、入ってきな」

「今やってるから」

「あたしがやっておくよ」

「うーんじゃあお願いします」

「おっけー」そう言って場所をかわり、僕は廊下の一番奥の脱衣所へ向かう。

「ねえ。いつもありがとう」

「はいよ」

そう言い残して僕は少しぬるくなった風呂に浸かり、ああと声を漏らす。

こんなぬるま湯がとても心地よい、5月のとある日の夜。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ