Part 3
アルビオンとジェード帝国の境界線 1月9日 24:59
リン、后太子の先の宣言により、誰も彼らの戦いに介入してはならないとされた。彼女は自陣営とアルビオン陣営の両方から、これを絶対の命令とした。
しかし、戦いの展開の中で、どこかで何かがおかしくなった。戦場に侵入しようとした悪意に最初に気づいたのはエースだった…いや、彼しか気づかなかった。なぜなら、彼は常に王国への悪意を探る任務を負っていたからだ。そして、この戦場にいる者の中で、彼は1年前の戦いを生き延びた数少ない者の一人だった。この忌まわしい予感を確かめるため、エースは時間を稼ぎ続け、ジェード帝国の美しき王との距離を広げ、周囲の偵察を試みた。
パッキン...バキバキ
「よそ見する暇はない、エース・C・ブラッドフォルト…」エースの行動を一瞬の弱みと解釈したリンは、即座に容赦ない攻撃をエースに放つ。
マンティス・ストライク
リンは空中に飛び上がり、両刃の鋭利な刃をエースへと向ける。エースの視線が逸れた今、リンは攻撃が命中したと確信し、勝利を確信した。リンの顔には笑みが浮かび、勝利は揺るぎないものとなった…しかし、実際に攻撃がエースに命中する直前、視界の外で何かが動くのを感じた…
エースか…いや、目の前にいる…?
リンは思わず、今や無防備になった背中を睨みつけた。振り返ると、襲撃者がはっきりと見えた。エースでも、エースの仲間でもなかった…
あの赤く光る瞳は、真夜中の会衆の闇に潜む、野性的で、荒々しく凶暴な獣の象徴だった…
陛下!レムナントです!
リンは決闘の最中に何が起きたのか説明は不要だったが、空中にいるリンはヘルタディ一族の一人、リザードナイトの攻撃に翻弄されるしかなかった。
クリック
リンは敵であったにもかかわらず、エースは一瞬の躊躇もなく、自らの技を放った。
千鬼道流・雷の舞・雷神雷光
稲妻の閃光のように、エースは瞬時に圧倒的な攻撃を繰り出した。その軌跡には雷の痕跡が刻まれていた。ジェードの皇妃を襲おうとしたレムナントは、激しい雷撃によって灰燼に帰した。
「陛下、戦いに気を取られている暇はなさそうです」エースはリンの背中を庇いながらそう言った。
空気が濃くなり、戦場のあちこちに亀裂が生じた。開いた亀裂は空間に穴となり、そこからレムナントの群れが姿を現した。
リンは困惑しながら、レムナントの群れから恩人へと視線を移した。…その瞳から、エースはジード帝国の王が混乱状態に陥っているのがわかった。しかし、なぜ突然そうなったのか。その時のエースは、タオ・リンという名の少女が、後太子と真夜中の集会の住人の間で揺れ動いていることに気づいていなかった。彼女は王にふさわしいオーラを放つどころか、混乱で思考が真っ白になった、ただの少女になっていた。
戦況は混沌としており、誰からの指示も受けていないジェード帝国F.A.T.軍は混乱に陥っていた。事態は悪化の一途を辿り、両王国間の戦闘は膠着状態にあるだけでなく、間もなくレムナントが全域を制圧するだろう。唯一冷静な判断力を持つエースは、この喫緊の課題を解決するため、迅速な決断を下さなければならなかった。
「我らの理想のために創造された世界の住人たちよ、古き反乱の残党が現れた…ミッドナイト・コングレゲーションの敵を殲滅せよ!」
エースの声が、広々としたマンバリング-SRP道路に響き渡った。
エースをチームリーダーと仰ぐキアとジェラールは、迷うことなく亀裂の空間に出現したクリーチャーの殲滅に取り掛かった。十三花は誰の命令も必要としない。アルビオン騎士団の主たる任務は、住民を何者からも、何物からも守ることであり、今やジェード帝国の脅威よりも、レムナントこそが彼らの最優先事項だった。
ジェード帝国軍でさえ、その命令一つで散開し、戦場に侵入した怪物たちへと攻撃を集中させていた。
ようやく気力を回復したリンもまた、赤面を抑えきれなかった。王の…口から発せられるべき言葉は、敵国の兵士に過ぎなかった。彼女はしばし、レムナントを刃で仕留める勇ましい姿を見つめていた。敵国の騎士のたった一言で、王の気概が再び燃え上がり、新たな決意を固めたかのように…
双鎌
ジェード帝国の女帝、反撃する。
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1年前、何らかの理由で「幻影王」として知られる王が、フィリピン政府への反乱を扇動しました。彼の軍勢は、城内で次々と出現し続ける無数のクリーチャーの群れでした。しかし、王の計画を阻止しようと集結したギャングたちの迅速な対応のおかげで、クリーチャーの発生源を封鎖する計画が立てられ、クリーチャーの狂乱的な出現は阻止されました。
現在、アルビオンとジェード帝国と同じ戦場で襲撃しているクリーチャーは、当時の反乱の残党と言われており、レムナントと呼ばれています。
それぞれの王国には独自のレムナントが存在し、これらは契約によって召喚士のサーバントとなるクリーチャーであり、「幻影王」の意図的な反乱行為を継続させようとするクリーチャーでもあります。封印された神の源を滅ぼそうとするかのように、レムナントは、統一されていない王国同士の戦争の真っ只中を進軍していた。
リザード・ナイト、ラプター・ライダー、シェル・グライダーといったヘルタディ一族の面々が集結し、ドラゴン一族も集結。シー・サーペントやヒュドラなど、数え切れないほどの種族が集結。DからCまで、様々なサイズ、クラスのレムナントが、この戦場に無尽蔵に出現していた。
互いの戦闘で既にエネルギーの大半を消耗していたにもかかわらず、自らの理想を守る意志は、その消耗を全く感じさせず、進軍を続けていた。つい先程まで戦っていた二つの軍勢が、今、互いを援護し合っていた。