5 エピローグ
「ここの魔物を倒してしまえば、住めそうね。」
「ここに住むって言うのか?」
「ここだったら、誰も居ないし、キラだって自由に魔道具を造っていたいでしょ。素材は直ぐに取ってこれるし、友達だって呼べる。もう聖者なんて辞めてしまいなよ。」
聖者を辞める、か。それも良いな。各国を回って歩かなくても、ちゃんとみんなは遣っていけている。聖者なんてもう必要無い。ここに転移陣を敷けば、友達はいつでも連れて来れるし自分たちも遊びに行ける。
「そうするか!」
キラ一人なら、ここには絶対住みたいとは思わなかっただろう。だがオイビーが一緒にいてくれる。気兼ねのない、キラを聖者と持ち上げない友達だっている。
今ダイダロスのことを考えると、本当に気の毒だ。知らない世界に只一人だけだなんて、辛すぎる罰だ。千年もここに一人だったなんて、よく気が狂わなかったものだ。
「でも、キラ。ダイダロスみたいに危険な物は、造らないでね。みんなが楽しめるような物を造って。」
「ああ、任せておけ、僕には昔の記憶があるんだ。洗濯機や、電話、自動車や、飛行機。魔石さえあればきっと造れるはずさ。」
「何を言っているか分からないけど、愉しそうね。でも、まずは魔物を倒してしまおう。」