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エレナ・ノーストラのはじまり

…へへ、自律神経死んでました。

みなさんも生きてこの夏を乗り越えましょうね^^


*文章が重複してたので訂正してます


「ううう…頭が、、割れる…」




絶対にワインのせいだろ。

あの誓いと契約後に自分は意識をなくしたはずだ。記憶が至ってない。

それにあの最後に書いた契約書だが、あまりにも読めてないのに承諾している。これはまずい。とてもまずいな。


うんうんと唸っているとドアにノックがかかった。


「はいっ」


あまりにも驚いてしまい上擦った声で反応する。

ドア越しに長男ヴォルテールが不安そうな声音で「あけていいか」と聞いてきた。

今先ほど起きたばかりだと伝えたら「かまわない」と言われ強硬対面になった。かまってくれ。

入室したヴォルテールはオールバックではなく前髪を降ろした髪型で一瞬誰であるのかわからなかった。


「あのあと意識を失った君を医師に見せた」


打撲痕、内出血、捻挫、ひび、栄養不足、睡眠不足、ストレスによる免疫低下…etcとスラム出身?と疑いたくなるような傷と病気のオンパレードであった。

実質、3か月は安静に治療に専念する必要があるのだという。ノーストラ家にいる以上弱みの対象となる人物は徹底的に隠さねばならないらしい。それはそうしてほしい。暗殺されては困る。



「…君はそのケガであのカジノに来た。それほど弟が大事であると理解した。…ルドの行先は知っておくかい?」


「‥‥」




ルドは今全寮制の学校に入ったらしい。

安全圏にいると把握したが、彼の心境を考えると正直複雑な気持ちとなってしまう。

ヴォルテールは少し小さく息を吐いて「すまない」と謝ってくれた。




「酷なことを聞いたな。知りたいと思った時に聞いてくれれば、話そう。

そして、これからのことを話そうか」





* * * * * * *




ヴォルテールは真剣な表情で今後の自分の立場について話してくれた。

彼の言葉をかみ砕いて飲み込んだのは彼が部屋を出て行ってから1時間ほど後のこと。

それは聞き捨てならない“条件”に自分がサインをしていたということだった。



ーーーーノーストラ家の弟、ジョバンニと婚約…?嘘だろう、○太郎。



弟ジョバンニはノーストラ家の次男で現在は王太子の側近兼警護をしているらしい。滅多に帰ってこない次男は自由奔放な性格で結婚しようとも考えてないらしい。




ーー「すまない‥さすがに止めたんだが母上が止まらなくな。それにあいつ…ジョバンニも‘うん、いいよ‘って軽く返事しやがって…すまないな。そんな状況じゃないのに…」




ものすごく優しくないか長男。本当に天秤屋の跡取りなのだろうか。それとも内輪にいれたらとことん甘くなるタイプなのだろうか。いつかこの人をおにいちゃんと呼ばないといけなくなるのだろうか。

周囲は軽く高級車を変えそうな調度品ばかりおいてある。これは逆に要安静のほうが下手に触らなくてちょうどいい。庶民の感覚が抜けない自分は微妙に労われることにむず痒さがあった。


もう一度寝ようと思いシーツに潜ろうとした際にふと横に視線を飛ばした。


















「 やあ 」




















おっと、あまりにも驚きすぎると人間って固まるんだな。

目の前に現れた美形の男はおそらくだが、暗殺目的ではないような気がする。多分。

おーい?と手をふる男の瞳がどこかで見た色と似ていたことから推測してみる。



「ジョバンニ・ノーストラ様ですか_?」


「おっ、生きてた良かった良かった。ふうん、よく気が付いたね。本当にうちの者なんだね」



美形の向ける笑みがあまりにもまぶしくてこれは母譲りの破壊的な美かとあまりの眩しさで眼を細める。

困惑した表情でいるとジョバンニはにやにやと笑みを浮かべてきた。

“本当にうちの者”という言葉にひっかかったことに気が付いたらしい。






「この眼、母さんと同じだろう?でも今僕は王太子の側近だから瞳の色を隠している。でも、同じ天秤屋には通用しない」

「…なるほど」

「指輪の誓いをしてない人間からはこの眼は濃い茶色に見えるんだよね」


「ほう」




純粋にその魔法すごくね。というか、あの指輪怖くね。血を吐かせるし、血筋隠せないってやばい代物すぎる。

確かに実際にジョバンニという青年は明らかに母親の血を譲りすぎている。同じ色素の薄いブロンドがサラストボブウルフっていう超絶イケメンにしか似合わない髪型というかなんというか眩しいとしか形容しがたい。決して某アニメ映画のイケメン魔法使いを思い出している訳ではない。




「ねえ、君が僕の婚約者らしいね?」


「…急なお話となり、申し訳ございません」


「いやいや、僕は母さんからおもしろ…ゴホン。素敵な縁談があるよって言われて乗っただけだよ」




ー乗るなよ




「そうでしたか…いきなりのぽっと出の自分でしたので、ご不満でしたらいつでも解消していただいて大丈夫です。弟の自立を見届けてからは、自分はこの地位を返上しようと考えてます」


「…ふーん、なるほど。ノーストラ家の誓いをしたものが地位を返上できると考えているの?」


「…まあ、難しそうですが、なんとどうにか」




そこらへん何も考えてないが、ノーストラ家の華道に加わってから手柄をあげて少しでも地位が上がればそのうえで放棄や返上はできないだろうか。恩返し後に行うからチャラってことでもいいかなってもしかして甘い考えだっていうことか…だとしたら、自分これ沈められるエンドってことか。




もんもんとあっちの世界のマフィアとこっちのマフィアをごちゃまぜに考えていたら、横にいた美形のジョバンニはクスクス笑い始めた。そして、長ロレンツィオとマルツィアと同じことを話した。






「あの人に似てるね」


「‥‥あの、そのあの人って誰ですかね‥‥」




気になりすぎて夜しか眠れないんだが、と聞いてみたら「大丈夫、気にしないで。しっかり寝れてていいね」とさりげなくあしなわれた。


ジョバンニはよく笑う男だが、微妙に眼が笑ってない感じがする。この男が一番危険な匂いがするのだが気のせいだろうか。




「ああ、そうだ一番伝えないといけないことがあったんだった。一応、きみと婚約したけど僕は正直結婚とかそういうの興味ないんだ。でも縁談とか色々うざくってそれで今回君を盾役に選んだって訳。結構ファンがいるらしくて手荒な真似をする馬鹿は一人ぐらいいそうな感じするけど、この家に来たのなら覚悟してるよね?」


「はあ」


「なんとも言えない顔してるけど、まあいっか。一応パーティーとかに行く感じだけど君の体調面だと3か月くらいはさぼれるね~よかったよかった」




よくはない、ぞ。

ジョバンニという男の話を聞いてるとだんだんわかってきた。この男、顔はいいがノンデリだ。

蛙化現象という言葉がいまいちわかってなかったが、つまりこの感じだ。

ありがとう、現代用語を理解する大いなる一歩を抱けたよ。まあ、現代とは他界してますが。

ぼうとしているとジョバンニはご機嫌でいなくなった。この男魔法で来たらしい。着替えのシーンとかどのように責任を取るんだろうか。




愉快愉悦タイプと知れただけで吉か。と状況を静観することにした。

エレナ・フーヴァーからエレナ・ノーストラとなり、次男ジョバンニと婚約を結んだ。

そのジョバンニは王家の王太子側近兼警護を担っている。

性格はよくいえばフラット。悪く言えば、ノンデリ。顔がいいだけ余計質が悪そうだと把握した。

長男のヴォルテールが真面目君なら次男は自由奔放な手のかかる子って感じなのだろう。

なぜ、私と婚約させたのか不明だけどなんかしら理由があるのかもしれない。






はあ、とため息をつくと起きてから何も食べてない腹がなった。


気が付けば、二日酔いの頭痛がなかった。







* * * * * *



王宮、東殿内部、王太子執務室。




シックな内装だが非常に物がすくない殺風景な風景に一人コツコツと筆を動かす人物が気配を知り、文句を垂れた。




「おい、職務中は実家に飛ぶなっていっただろ」




眉間に皺を寄せた艶のある黒髪の前髪の間から鋭い眼光を向ける。しかし、筆を動かす手は止まらない。

文句を言われた当の本人はにこやかな笑みを浮かべて軽い感じで謝った。




「ごめんって。だって、僕に婚約者ができたんだよ?どんなにねだってダミー作ってって母さんに言ってもダメだったのに、急に!そりゃ、見に行くさ」

「…お前に婚約者?ご令嬢が可哀そうで仕方ないな」

「ええ?そこまでいう?でもさ、あのフーヴァー家の長女だよ」

「…あのフーヴァー家か」



フーヴァー家、ここ最近ブラックリストに入った伯爵の爵位を持った家。裏稼業で違法物の生育や販売を行っていると天秤屋から情報が流れていた。

そして、後妻による長女への折檻などの虐待情報。これはここ最近はいった情報であった。エレナ・フーヴァーの婚約者であったレオナルド・カーターのメイドからの情報であった。


特段なにかするかと聞かれても、王家としても何もしなかったが情報は存在していた。




ここ最近、フーヴァー家長女エレナが動いたのだ。

この行動によって天秤屋が動いた。そして、何十年ぶりに「天秤屋に新入りがはいった」のだ。

これはエレナが天秤屋にはいったことを王宮内は理解した。早急にフーヴァー家長男ルドを学園内保護に動いた。

それほどまでに天秤屋にはいるということは「この国のパワーバランスが変わる可能性のある人物」であることを指している。さらには、歴代最年少の天秤屋加入だ。王家はフーヴァー家を知らない訳にはいかなかった。




「そうか、その子をお前の横に置いたのか」




「悪いような子ではなかった。でも、なんだろう僕を見ても女の顔を出さなかったな」


「はッ、内面を見抜かされたんじゃないか?」


「ええ?今までこの顔で“女”になる人ばっかだったからなあ。だからこそ、母さんは僕に渡したのかもな」




ーー言っていることを最低な発言と認識してないだけで俺が女だったらお前は“なし”だがな。




青年はため息をつきながら筆を動かし続けた。









ご拝読、感謝申し上げます。

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