第三話 相棒決闘。
相棒決闘。
それは、二人の騎士が敵陣を攻めるときに連携を取るためにした模擬戦が元になったと言われる試験で、冒険者になるための関門の一つ。この戦いを勝ち抜けるために必要なのは相棒への信頼と、味方・敵かかわらず状況とスキルを把握すること。つまり、空間把握能力が必須となる、厳しい戦いなのだ。
「対戦相手がこんな初心者とはな。この学園も落ちたものだ。」
「それに関しては同意かな〜。あまりにも動きに覇気がなさすぎる。」
そんなことを言い合っているのは俺達の対戦相手である、やりを背負った目付きの悪い少年、ガイと仮面とパーカーを身に着けた不気味な少年、ナナシ。
「おい、お前ら。戦う前からそんな事言うのはないんじゃねえの?こっちは本気で行くからな。」
「そうだよ。戦う前からそんな事言うのはひどいと思うんだけど?」
「ちょっとまって、二人とも。」
軽くキレた俺とサンダンが突っかかると、フェイが止めてきた。
「なんだよフェイ。いきなりこんな事言うやつが悪いんだろ。」
「そうだよフェイ、僕だって流石にひどいと思うよ。」
「違うんだよ。この人たち、確か一週間ぐらい前の武闘大会に出てて、その決勝戦で戦った人たちなはず。」
「はあっ!?」
なんだって?こいつらがこの学園都市の武闘大会の優勝者と準優勝者だって!?
「いかにもだよ、猫ちゃん。君がこの人たちを降参するよう説得してくれると助かるんだけどねぇ?」
「うるさい、試合前に口を出すな仮面野郎が。勝負の意味がなくなる。」
「お断りさせていただきますよ、ナナシさん。ボク達は正々堂々と戦わせていただきます。」
決意に満ちた目で言い返すフェイに、少し驚いたのか、
「へぇ。そいつは期待しているよ。じゃあね。」
「さらばだ。」
と言い残して二人は去っていった。
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二人が去っていったあと、俺達は否理先生の指示で戦闘訓練場へと向かった。
「おい、どうするよあの二人。二つ名的にも装備的にもふたりとも前衛みたいだったけど、サンダン一人じゃ荷が重いんじゃないか?」
「ああ、そうだね。ボクもメルトが前線に加わってボクが援護、のほうがいいと思うけど。」
そう言うと、サンダンは落ち込んだような表情をしていた。
「.........そうだね。流石に僕一人じゃきつそうだ。ごめんね、僕は前衛なのに。」
「そんなことはないさ。相手が悪すぎるだけだし、そもそも君一人でいいって言ったのも君を信頼していたからさ。君自身に落ち度はないよ。」
そう言うと、サンダンは少し笑った。
「あぁ、ありがとうメルト。君が相棒で良かったよ。」
その言葉に、俺は大きく頷いて言った。
「よーっし!そうと決まればあんな事言いやがった奴らをぶっ殺す勢いで行くぞ!!一切手加減無しだ!全面戦争だオラァ!」
「・・・・・やっぱりさっきの言葉取り消そうかな.........」
「ボクもそうしたほうがいいと思う。まったく、すぐ調子に乗るんだから......」
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「では、次のペア。メルト&サンダンVSガイ&ナナシ!戦闘、開始ッ!」
否理先生の号令で訓練場への扉が開かれる。
「じゃあ作戦通り、サンダンは前線へ頼む!俺もすぐ後ろをついてくからな!フェイは防衛兼援護魔法!よろしく!」
「了解!」「わかったよ!」
二人と声をかけ合わせ、前線へと突撃する。
この相棒決闘、ルールは至ってシンプル。互いの陣地の一番奥においてあるオーブを守りきること。勝利条件は相手を戦闘不能にするか、相手のオーブを砕くかだ。禁止事項は、相手の殺害、禁術の使用、それだけだ。
「〈天帝射程〉、〈土石城生成〉!」
フェイが早速スキル込みの魔法で巨大な城(まあ城壁と玉座だけだが)を生成した。それを確認した俺はスキルを発動する。
「〈星に願いを〉!〈流星形態〉!」
スキルが発動し、ネックレスと指輪の結晶が変化し、瑠璃草色で軽装の鎧と、片手直剣を作り出す。
「〈鏡の国の牢獄〉!」
隣を見ると、サンダンの手から鏡が飛び出し、サンダンの体の周りに何枚もの鏡が回りだした。これがさっきサンダンから聞いた固有魔法によるものだろう。その後サンダンはニヤッと笑うと後ろを振り向き、俺達の城に向けて魔法を放った。
「〈姿見の回廊〉、〈反射せし攻撃〉!」
すると巨大な鏡が一枚とサンダンの体の周りにあるのと同じくらいの大きさの鏡が飛び出し、城の前に浮かんだ。
「おいサンダン!あの鏡は何だ!?」
「大丈夫、後で分かるよ!これで最後だ!〈鏡よ鏡〉!〈保持回廊接続〉ッッ!」
そうサンダンが叫ぶと鏡たちが淡い紫色に光り始めた。
「おいサンダ.....っまずい!」
何が起こったのか聞こうとしたが、眼の前から火球が飛んできたため、右に移動してなんとか避けた。
「ッチ。当たらないか。流石にその程度のフィジカルはあるようだな。」
その攻撃を放った当人は気だるげな表情を浮かべ、俺を睨んでいた。
「やあガイとやら。いきなり攻撃か?野蛮だなぁ戦闘狂が。」
と煽ってみる。するとどうやら効果てきめんだったようで、
「うるさいクソッタレの天才が。俺がこの技を打てるまでどれだけ苦労したかわからないくせに、俺について話すんじゃねえ。.....この状態でどれだけ苦労したかを、な。」
とブチギレながらそう言うと、左手で持った槍で自分の右腕を切り裂いた。するとそこには、右腕はなかった。そして左手だけでやりを構え言った。
「お前に関して手加減はなしだ。凡才の、持たざるものの努力によって消し飛ぶがいい。」
そう言ってガイは一息つくと
「〈魔法闘気〉。〈炎〉。」
そう言ってスキルを発動すると、ガイの槍の穂先に炎が灯った。
「早速だが、とっとと退場になってもらおう!」
「それはこっちのセリフだ馬鹿!」
そう俺も言い返し、片手剣を構え直した。
本当の戦いが、今、始まった。
次回は一旦お休みで、スキルの説明とステータスの開示をします。




