第二話 魔術教師と別荘。
否理先生がサラッと爆弾発言をしたあと。俺達は先生に連れられて学園の近くにある一軒家に来ていた。
「ここが私の別荘で、今日から君たちが住む場所だよ。」
何いってんだこの人。
「いや、先生!いいですよ申し訳ないし!しかもめっちゃ広いじゃないですかこの家!本当に借りちゃっていいんですか!?」
緊張感を込めてそう聞くと、先生はやはりニヤッとした顔で、
「いやいいんだよ別に。しかも貸すんじゃなくて君たちにあげるんだよ。今日からこの家は君たちのものだ!」
ほんと何いってんだこの人。
「いや、先生....」
「メルト。せっかくだからそうさせてもらおうよ。」
「フェイ!?」
フェイまで何いってんだ!?
「いやちょっとフェイ?」
「そうか、それなら良かった!家具は一通り揃っているが、欲しいものはまた買い揃えてくれたまえ。じゃあこれはこの家の鍵だ。はいフェイ君。」
「ありがとうございます、否理さん。」
「君も私のことは先生でいいよ。じゃあな少年たち!」
そんなことを言って、先生はそのまま帰ってしまった。
「おいフェイ!なんで受け取っちゃうんだよ!先生から家もらうなんて異常だって!」
「いや、これが良かったと思うよ。.....................それにね、メルトは覚えてないかもしれないけど、昔ボクたちはあの人に助けてもらったことがあるんだよ。」
「え.............?」
急に告げられた言葉に俺の体は固まる。
「それに関してはまた話すよ。取り敢えず今日は寝よう。せっかくこんな良いお家をもらったんだから有効活用しなきゃ。明日、宿屋に荷物を取りに行こう。」
「えぇ.................」
たしかにフェイの言うことは正論だ。やすい宿屋ぐらしはもうこりごりだし、せっかく家をもらったのに活用しない手はない。それに何より、.............今は超絶眠かった。
「ふわぁ....たしかにそうかもな。今日はもう寝よう。」
そう言ってフェイから鍵を受け取り、家の中に入ると.....
「いやめっちゃ広いな!」
家の中はとても広く、家具も豪華で、豪邸と言っても差し支えないほどの家....というかもはや屋敷だった。
眠かった俺はそのままベッド(これも豪華なキングサイズだった)にダイブし、そのまま寝てしまった。
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「やっぱりメルトは覚えていないか.....でも、なんであの人が学園に?」
メルトが寝てしまったあと、ボクは一人机の上で考え込んでいた。僕達を助けてくれた否理さんがなぜこの学園に居るのか。それに、否理さんの家を渡してくれたということは、またあの世界に絡んだ何かが起きているのか...........わからない。ボクには知ることができる情報が少なすぎる。
ボクも寝よう。明日からは、もはや何が起きるかわからない。
しんと静まり返った屋敷の中、窓の外に見える星がキラキラと輝いていた。
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次の日。耳元で目覚まし時計がなり、俺はベッドから飛び起きた。
「やっべぇ!遅刻し.........てないな。あれ?てか俺はなんでこんな大きなベッドに寝てるんだ?」
そうだ、思い出した。昨日、入学初日で初めて出会った先生から、超豪華な屋敷をもらったんだった。ここなら学園から近いし、まだ余裕で間に合う。
「おはよう、メルト。ぐっすり眠れたみたいだね。」
豪華なベッドの寝心地の良さに浸っていると、メルトから話しかけられた。
「おう、おはようフェイ。いやあ、やっぱベッドってすごいな。ぐっすり眠れたよ。」
「それは良かった。まだ学校へ行く時間には早いけど、さっき否理さ.....いや、先生から魔術書面が届いたよ。『おはよう少年たち。今日は相棒決闘を行うため、武装してくること。使い魔が居るものは連れてくるように。』だってさ。武装する時間を含めたら、もうそろそろ準備をしないとだよ。」
そういやサンダンがそんなこと言ってたな。武装は久しぶりだな......
「わかった。今日は早めに行こう。」
そう言って俺は立ち上がり、俺の武装を取りに行った。
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「おはようメルト!昨日はぐっすり眠れたかい?」
学園の自分のクラスに入ると、サンダンが話しかけてきた。
「おはよう。それはもうバッチリだよ。」
「それは良かった!あのさ、もしよければ相棒決闘の前にお互いの能力を確認しておこうかと思ったんだけど....いいかな?」
「う〜ん、まあ、いいよ。別に隠すようなもんじゃないし。」
「ありがとね!じゃあ僕から。僕の職業は聖拳士。前衛職だよ。そしてスキルは〈鏡よ鏡〉。鏡の中に入ることができるスキルで、鏡と鏡を連携させることでテレポートもできる。ただし、その鏡より大きいものは通せないけどね。鏡自体は僕の精霊としての固有魔法で作り出せるから心配いらないよ。」
それを聞いた俺は驚愕した。スキルの中でも、良い悪いは存在する。その中でも、『独自領域系』と呼ばれるものはトップクラスの性能を持っていると聞いたことがある。更にサンダン自身の能力ともシナジーがあるというのはすごいことだ。
「驚いたな......すごいスキルじゃないか!」
「まあね、ありがとう。」
てへへと笑いながら頭を掻いたサンダンを見て、改めてすごいやつだと思った。
「じゃあ、俺も。俺は魔導戦士。前衛も後衛も一応できる。スキルは〈星に願いを〉。」
俺はネックレスと指輪の宝石を見せながら言う。
「この宝石、まあほんとは隕石の中にあった結晶部なんだけど。これを自由に変形させて武器やら防具やらに変形させられるんだ。ちなみに、魔力を強化する性能があるよ。」
「へえ!そっちのスキルも強いね!そういえば、メルトってなんか魔法使える?」
「ああそうだ、言い忘れてた。このスキルのお陰で星魔法っていう闇、土、風属性の魔法の複合.....まあしょぼいんだけど。を使えるよ。」
本当はもう一つのスキルがあるんだが......使いたくないし、使う機会もないだろうから言わないでおく。
「そうなんだ!すごいじゃん!じゃあ今回は後衛をお願いしてもいい?」
「いいよ、そんなに身体能力がいいわけじゃないしね。」
嘘である。そこそこ身体能力高いけど、言いたくないし。後衛のほうが楽だし。
「あ。そうだ、俺の使い魔も見せてあげないと。ちょっと来てくれる?」
「うん!っていうか、使い魔居るんだね。すごいや.....!」
もとから俺とサンダンは一番隅っこの席だが、他の人に見られないように隅によった。
「〈使い魔召喚〉、フェイ」
「うわっ!」
黒い霧とともに、フェイが現れた。
「サンダン。こいつが俺の使い魔のフェイだ。」
「フェイです。よろしく、サンダンくん。」
「すごいね、使い魔が居るなんて!!しかも可愛い!猫ちゃんじゃん!」
目をキラキラさせたサンダンがフェイを抱きしめた。てか抱きつくスピード早いな。さすが聖拳士。
「ちょっ、やめろおおおおおお!」
唐突に抱き上げられたフェイが暴れ、空を飛んで離れた。
「あのねえ、唐突に抱きつくのはどうかと思うよ?しかもボクは....いや、なんでもない....」
ぐったりしたフェイがブツブツ話す。なんか今重要なこと言ってた気がしたんだが....まあいいか。
「すごい.......空も飛べるの!?」
「ちょっ、サンダン声が大きい!」
更に目が輝いたサンダンがとんでもないことを口走ったので、口を塞いで止めさせる。
「ごめんね、大きな声出しちゃって。フェイくんもごめんね。」
「まあ、別にいい。あと、呼び方もフェイでいいよ。えっと、スキルの説明だっけ?ボクのスキルは〈天帝射程〉。魔法を使うときに魔力を二倍消費する代わりに、魔法の威力を少しと、魔法の射程距離を大幅に拡大することができるスキルだよ。」
「フェイもすごいね!二人の相性ぴったりじゃん!」
「ふっふーん。まあね!」
褒められた瞬間、フェイが急に得意げになった。俺がいつもフェイのこと褒めてないからかな.....なんかごめんな....
「おっけ、これでスキルの開示は終わりだな。じゃあ戦法は、サンダンが前衛、俺が後衛、フェイは援護兼後衛ってことで。それでいい?」
「「了解!」」
そこまで言ったところで、先生が教室に入ってきた。
「おはよう少年たち!今日は早速相棒決闘をしてもらう!昨日までに相棒は決まっているので、早速対戦相手を発表していく。対戦表はこれだ!」
先生がバッと手を広げると、黒板に対戦表が映し出された。そこで対戦相手を探していくと......あった。〈魔導戦士〉メルト&〈聖拳士〉サンダンペア。対戦相手は......
「........お前らか。対戦相手は。」
そう言って、槍を背負い、袖をぶらんと垂らし、腰巻きをした目付きの悪い少年と、
「まあちょっと待ち給えよガイ。初対面だろう?」
そういった肌全体を包帯で覆い、黒のズボンと灰色のパーカーを着た仮面の少年が目の前に立ちふさがった。
「ふん、お前も初対面のくせにな、仮面野郎」
「僕の名前はナナシですぅ〜〜ちゃんと覚えてくれよ〜〜〜」
.......結構ヤバそうだな。
対戦相手、〈漆黒槍〉ガイ&〈仮面武人〉ナナシ。
次回から相棒決闘開始です!お楽しみに!




